真空管ヘッドホンアンプXDUOO TA-66の内部写真

こんにちは、manotchです。先週から重量級真空管ヘッドホンアンプを分解して回路を推定しました。分解楽しー!!オーディオ的な養分で言うと『真空管』の養分を補充しました。これで当面大丈夫でしょう!(苦笑)

真空管ヘッドホンアンプXDUOO TA-66内部写真

■配線にはいくつかの流派がある

インパクトのある配線です。配線にもいくつか流派があって『直線派』『最短派』というのがあるんですがこれはそうでしょうね。スペースを取って最短距離で配線を行き来させるのはある意味こういった方法しかできないかも。しかもポイントtoポイント配線。手が込んでいます。

プリント基板の配線は2Dの平面なのでこういった立体的な3Dの配線をするには多層基板にするしかないんですよね。

真空管ヘッドホンアンプXDUOO TA-66内部の入力カップリングコンデンサの写真

吟味したパーツを使っているようです。初段のカップリングコンデンサかな。XDUOOの印字が入っていますね。特注品でしょうか。以前、300B真空管パワーアンプを自作した時にカップリングコンデンサをアレコレ変更したのですが音の変化が大きかった記憶があります。

音質を気にするメーカーさんはココをポイントだと分かっているようですね。

■周波数特性/出力インピーダンス測定

さて、Xduoo TA-66の周波数特性と出力インピーダンスを実測しましたので参考までに載せておきます。測定には負荷抵抗が必要になるので100Ωから500Ωくらいまでのメタルクラッド抵抗を購入して写真のようにヘッドホン出力に接続できる治具を作ります。

真空管ヘッドホンアンプXDUOO TA-66の出力インピーダンス測定用治具

アンプの測定をやって見たい方は4Ω~500Ωくらいまでの抵抗を揃えると良いと思います。

測定系ですがこんな感じ。写真のオシロスコープは信号源が付いているので出力をヘッドホンアンプの入力に接続し、ヘッドホンアンプの出力には負荷抵抗を接続します。負荷抵抗の両端をオシロのプローブで電圧を読み取ります。

真空管ヘッドホンアンプXDUOO TA-66周波数特性測定の様子

オシロスコープが一台あると便利です。HANMATEKは比較的安価ですが3年ほど使用して特に不具合もなく使えています。正弦波、方形波などの信号発生器が付いていて周波数特性など調べることが出来ます。

周波数特性と出力インピーダンスの実測結果を下図のグラフにしてみます。左は周波数特性、右は出力インピーダンスです。こうしてみるとヘッドホンアンプの性格が良く分かります。周波数特性は300Ω負荷だと30Hzから50KHzくらいまで±0.5dBに収まっていてカタログ値に収まっています。良好な特性ですね。

しかし、負荷が100Ωくらいに低くなると少し低域やゲインが落ちてきます。こうしてみるとやはり100Ω~600Ωといったハイインピーダンスのヘッドホンを鳴らすために設計されたヘッドホンアンプと言えるでしょう。

真空管ヘッドホンアンプXDUOO TA-66の周波数特性と出力インピーダンスのグラフ

ヘッドホンを選ぶ代わりにインピーダンスが合ってくると生き生きと魅力的な音を出してくれるアンプだと思います。これはハイインピーダンスヘッドホンを買いたくなる!後でどんなのがあるか調べよっと(沼)

出力インピーダンスはというと80~60KHzで概ね136Ω程度でした。

無帰還アンプでしょうか。 もしかすると少しNFBをかけているかもしれません。

■ダンピングファクターの影響

アンプの出力インピーダンスが143Ωで負荷にインピーダンス250Ωのヘッドホンを接続したときのダンピングファクターを計算したところ約1.75でした。

ダンピングファクター(DF)は、アンプがスピーカーやヘッドホンの振動をどれだけ効果的に制御できるかを示す指標でアンプの出力インピーダンスとヘッドホンのインピーダンス(負荷インピーダンス)の比率で計算されます。

DF=​ZL​​/Zo

  • ZL​:負荷インピーダンス(ヘッドホンのインピーダンス)
  • Zo​:アンプの出力インピーダンス

この計算式に、与えられた値を代入すると

  • ZL​=250Ω
  • Zo​=143Ω

DF=250Ω/143Ω​≈1.75となります。

ダンピングファクターの値は、アンプとヘッドホンの組み合わせによって変わります。一般的に、値が大きいほどアンプが負荷をより強く制御できるとされ、低音の締まりや解像度が向上すると言われています。いわゆるドライブ能力が高いというアンプです。

しかし、過度に高いダンピングファクターが必ずしも良い音質につながるわけではありません。アンプとヘッドホンの相性が重要で、ダンピングファクターが低い組み合わせでも、ヘッドホン本来の音を活かせる場合もあります。

TA-66を聴いていると必ずしもドライブ能力が高いヘッドホンアンプが良いとは言えないなぁということが良く分かります。ゆるくてふわっとした音にも心地よさがあるんですよね。これは勉強になりました。

真空管ヘッドホンアンプXDUOO TA-66の出力が緩やかな波形でクリップする様子の写真

Xduoo TA-66の出力をクリップさせるくらい上げてオシロで波形を測定してみます。14Vppくらいまで上げると丸く緩やかに歪んだ波形になりますね。真空管の音の良さの理由の一つでしょうか。

■おまけ

XDUOO TA-66のボリュームに手を近づけるとハムが乗る件ですが、教えて頂いたシールドケースを買って被せてみました。

真空管ヘッドホンアンプXDUOO TA-66のハムノイズ対策にシールドケースを付けた写真

シャーシの下まで押し込むとハムが止まりました。これは良いですねー。しかし、見栄えが・・うーん、うーん。

シールドケースですが、ネジで固定すると少し澄んだ音になるようです。マイクロフォニック音もでなくなりました。ふわっとした感じは減るかな。シールドケースはバネ圧で真空管を押さえるので振動対策にもなるようです。

本日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。

ふるさと納税検討時期到来。肉、フルーツ、カニのどれか行きたいですね(涎)

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By manotch

■自己紹介 manotch まのっち ■職業 以前、オーディオメーカーで回路設計と音質チューニングにたずさわってきました。専門はオーディオ用パワーアンプ、AVアンプ、デジタルアンプ、スイッチング電源など。現在もエンジニアとして仕事をしています。 開発経験DC~110GHz。