KOAG HA-Sですが、充電池にしても単一電池にしてもどちらにしても電源を切り忘れますね。今の所一番の対策はオープン型ヘッドホンを使う。です。音漏れで電源つけっぱなしが判明します!

真空管ヘッドホンアンプKOAG HA-S レビュー総集編と後日談を公開しました。まとめ読みできます。

今回のリファレンスヘッドホンにしたbeyerdynamicさんのオープン型ヘッドホンDT990PROです。音は独特の高音の切れの良さ、低音のガツンと来る腰の重い感じ。ボーカルは吐息や息継ぎやら反応が良く細かい音まで良く出ます。それなのでヘッドホンアンプの音の差も良く分かるのではないかと。インピーダンスは250Ωと高めです。これを鳴らし切りたいですね。

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■ヘッドホンアンプのドライブ力を上げられないか検討する

真空管ヘッドホンアンプKOAG HA-Sのバッテリー駆動ですが、良くヘッドホンが鳴らし切れないとか駆動力が足りないという話を聞くのでその現象を理論的に視覚化できないかと思いました。今回の件で思いついたのですが音に関連性があると思う測定方法をメモ書きしますね。

やり方ですが、ヘッドホンアンプに30Hzくらいの正弦波の低周波をいれてバッテリーの電圧をオシロで見ます。出力には対象のヘッドホンを接続します。30Hzにするのは1KHzとかだと結構うるさいからです。そして 音量を大きくして電圧に出るリップルの大きさと形を見るというものです。

接続はiPhone 11proのアプリSONICを使用します。SONICで30Hzに周波数を合わせます。周波数はタッチパネルから周波数の所を上下にスライドさせることで簡単に変更できます。iPhoneのlightnig to 3.5mmコネクター出力ケーブルを使ってHA-Sのヘッドホン入力に接続します。ヘッドホン出力にはDT990PROやその他ヘッドホンを接続して見ます。ヘッドホンの負荷ですのでヘッドホンを壊さないように注意します。出力の振幅を見ながら電力を計算するのが安全ですがここは簡単に耳で聞きながら音量を上げていきます。下記の写真はsennheiser HD550(インピーダンス50Ω)を接続して30Hzの正弦波を鳴らしている時の電源に表れるリップルをオシロで見たものです。結構歪んだ波形になっています。電圧の波形のディップで下がっているところは電圧が低下している様子が見えます。電圧が低下するのは電源の電流能力が不足していることを表します。理想的にはフラットで電圧低下が無く平坦な波形です。リップルが大きくなると音もプアーで出方が悪く反応が鈍いような聞こえ方になります。俗にいう鳴らしにくい、とかです。

電源の電流供給能力が低いと音量を上げていくとリップルが出てくると思います。リップルの波形のディップ部分は電圧が低くなっていて電源がプアーだと分かります。聴感でどれくらい許容できるかは人それぞれだと思います。写真だと電源のリップルが正弦波ではなくかなり歪んでいます。

HD550はインピーダンスが50Ωと低いので電流を供給する能力が高くないとリップル波形がひずみやすくなりそうです。DT990PROはインピーダンスが250Ωと高いので電圧を供給する能力が高くないとドライブ出来ないという事になります。

下記の写真はDT990PROで30Hzの信号を鳴らしている時の電源のリップル波形です。リップル波形がきれいで正弦波に近いです。250Ωというようなハイインピーダンスのヘッドホンの良いところはこういう所で駆動する電圧が必要ですがその代わり駆動する電流が小さくても鳴るので歪が出にくい所ですね。リップルの波形が正弦波に近いと聴感上の違和感が小さいようです。デメリットがあっても人間の耳には分かりにくいという事じゃないでしょうか。

ドライブ力を上げるには電源を強化するという手があります。良く電源で50Wとか100Wとかの容量があると書いてありますが容量が大きいという事は電流供給能力が高いという事なので先ほどの電源電圧が低下しにくく、リップルが小さい電源という事になります。

ヘッドホンの電力といっても数百ミリワットもあれば音量的にはガンガン鳴ると思います。しかし人間の耳は電源がプアーかどうかを聞き取れる様です。ガンガン鳴っていてもあれ?何かラジカセの音みたいにしか鳴っていないなー、という現象です。

バッテリーで一番簡単な電源強化は電池を並列に繋ぐことです。これでヘッドホンアンプのドライブ力が上がるか見てみたいと思います。

■電池を並列に繋いで電源のリップルを見てみる

写真は単一電池×2本で3Vの所を2本づつそれぞれ並列に単一電池を接続してリップルをオシロで確認してみます。

電池を並列にすると電流供給能力が上がり2倍近くになると思います。効果はリップルが小さくなることで写真でいうとリップルが26mVあったのが16mVというように大分小さくなりました。音的にもボーカルが太くなり音の出方も力強くなったように思います。

オシロが無くてもお手持ちのヘッドホンアンプに電池を並列に繋げることで電流供給能力が十分かどうか聴感で分かるかもしれませんね。必要な電流ぎりぎりより数倍の供給能力がある電源の方が音に余裕があったと記憶しています。

■ヘッドホンアンプのドライブ能力・電圧供給能力を測定してみる

ヘッドホンアンプのドライブ能力として電源の電流供給能力を電源の波形に発生するリップルの大きさや歪かたを見ることで確認してみました。そしてもう一つが電圧の供給能力です。ヘッドホンアンプのドライブ能力としてどれくらいの高さの電圧まで供給できるか測定してみたいと思います。

結局ヘッドホンアンプのドライブ力は電源の電流供給能力と電圧の供給能力の両立という事なんでしょうね。今度は1KHzの正弦波をいれてヘッドホン出力を無負荷の状態でオシロに接続してどれくらいの電圧まで上げると出力がひずむ(クリップする)かを測定します。無負荷だと正確ではないかもしれませんが大体の目安にはなると思います。

KOAG HA-Sの電圧をあたっていたらオペアンプのVccは+26Vと高い電圧が供給されていました。クリップする出力電圧は実測で13Vppくらいです。

HA-Sはてっきり単三1.5V×2本=3Vと思っていましたのでハイインピーダンスのヘッドホンを鳴らすのは厳しいかなと思っていたのですがK7のような出力電圧が高くとれるDACの出力に繋げればDT990PRO(250Ω)でも良く鳴りそうです。

ぺるけさんのヘッドホンアンプの本でも出力は14Vppくらいで設計してますし、この辺が性能と価格のバランスが取れているのかもしれませんね。という訳でKOAG HA-Sの電圧供給能力は概ね十分そうです。電流供給能力に関してはパワーを出すと電源波形がひずむので改善余地がありそうです。

■PANASONIC乾電池EVOLTA NEOと充電池Ni-MHの音の差

乾電池は電源切り忘れで電池が無くなってしまいますので、根本対策になりませんね。そこで充電池を購入することにしました。購入したのはPANASONICニッケル水素電池単一Ni-MHです。電池といえばPANASONICがメジャーで良くコンビニも置いていますね。

このニッケル水素電池は比較的新しいタイプの充電池のようで1.2V 5700mAhと大容量なのが特長です。1A(アンペア)で5.7時間も流せるなんてちょっと信じられませんが電池も進化していますね。

こちらは裏側の覚書です。1000回放電できるのか600回充放電できるのか良く分かりませんが使用状況によるのでしょうか。それにしても乾電池よりお得です。

充電器も買ってしまいました。こちらはPANASONICの単一から単四まで充電できます。一度に4本まで充電できる仕様です。届いた梱包を見たら意外とでかいです。充電器メーカーも様々ありますがやっぱりPANASONICのブランドということで選びました。

さて、肝心の音ですがPANASONIC EVOLTAは元気があって少し華やかな音色という感じですがそれに対しNi-MHはおとなしくて自然な感じの音色に思います。どちらも好みだと思いますがNi-MHの方が好みだと思いました。Ni-MHは2本しか買っていないので並列には出来ませんが充電器で充電できるのは安心ですね。

EVOLTA NEOと比較していて気が付いたのですが電圧がEVOLTA NEOの方が高くNi-MHの方が低いですね。0.13Vくらい違ったのですがもしかするとこの電圧の差が音の差になっているのかもしれません。何でそう思ったかというと充電池と並列にEVOLTA NEOを接続したとたん音が元気がある傾向になることに気が付いたからでその時に電圧を測定すると電圧が0.13Vくらい上がっていたからです。そういう訳で電圧の差による音の差というものが有るかもしれないと思いました。

今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました!

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おしてー。

By manotch

■自己紹介 manotch まのっち ■職業 以前、オーディオメーカーで回路設計と音質チューニングにたずさわってきました。専門はオーディオ用パワーアンプ、AVアンプ、デジタルアンプ、スイッチング電源など。現在もエンジニアとして仕事をしています。