そうそう、ここでちょっとPCオーディオの音質を改善しようという事で、電源ケーブルのリケーブル概要をまとめてみました。
目次
■PCオーディオの音質改善まとめ(ツイスト1ペア編)
【対策前】
PCオーディオの問題点として電源ケーブルから出る輻射ノイズがあります。それがマザーボードやその他のケーブルに輻射して干渉が起きたり、USBやHDMIといった小信号を扱うケーブルに重畳して音質が悪化しているのではないかということがこれまでの実験結果で予想されています。試しにわざと音質が悪化するようにケーブルを接続すると可聴帯にまで高周波ノイズの影響でノイズが聞こえるようになりました。これがどうやら音質悪化の一要因だと分かりました。
そして、自作PCはノイズ規格を通す必要はないのでトータルで組付けた時にノイズが多かろうとどうしようもないです。一種の無秩序状態ですね。
ATX電源(オウルテック社SEASONIC製)を見てみるとノイズ規格であるFCC適合マークが箱に記載されていました。しかし、MSI社製マザーボードの方は分かりませんでした。ノイズ規格は基本的に製品を手を加えずそのままの状態で動作させてノイズを測定します。
マザーボードは基板むき出し状態では輻射ノイズがもろに出るのでノイズ規格を取るのは難しそうに思います。ATX電源はそのままでも金属ケースに入っていて輻射ノイズが低減できますのでFCC規格を通そうと思えば通せると思います。
※FCC規格(FCC規則)とは?
アメリカ合衆国(アメリカ)の連邦政府機関であるアメリカ連邦通信委員会(Federal Communication Commission)が定める、アメリカで販売される無線機器などの技術要求事項。市場に出荷される機器がFCC規格に適合していることを認証する制度を管理しており、FCCのロゴマークは「FCC規則に適合した最終製品」の証として機器に付けられます。日本の技適マークに相当します。※Googleさん調べ。
また、ATX電源から出るCPU電源ケーブルなどはオーディオに配慮された配線にはなっていません。例えばCPU電源ケーブルは4パラ+4パラの並行配線ですが電流を流すための構造であってオーディオではやらないです。音が悪くなるので私はやった記憶がありません。※これやっちゃって痛い目に遭った記憶はありますが・・・。(苦笑)
ノイズが乗りやすく、輻射が多い問題があります。また、配線がシンプルではないので音にも違和感が出やすいです。これは宜しくない。
【対策案】
そこで4パラ(+12V)+4パラ(グランド)のケーブルを1本(+12V)と1本(グランド)を撚線(ツイスト)にした1ペアのケーブルにしてみます。同じようにグラフィックカードやマザーボードに接続するケーブルなども+側とグランド側の線をツイストします。
こうする事によって配線が8本から2本になり、シンプルになるので音も自然になるようです。また、デジタルノイズ特有の嫌な感じ、(長時間聴いていて耳が痛くなるとかざらついた音)が減少して音が聞き取りやすくなります。ノイズを受ける影響が小さくなるからだと推測します。ボーカルに色気が出たり音場が広くなる効果があるようです。
■PCオーディオはノイズ対策が効果的かも
これらはノイズ対策の基本と言えば基本ですがPCオーディオの音質対策でノイズ対策を行っている例を見かけなかったので図にまとめてみました。ネットワークオーディオの音がもう一つ、とか悪いと思っている方、一度試してみてはいかがでしょうか。面白いテーマだと思います。フォロワーさんではすでに対策してらっしゃる方もいるようですね。
■4芯2ペアCPU電源ケーブルの自作(カナレ4S8)
CPU電源ケーブルのリケーブル第二弾で4芯のスピーカーケーブルを使用した2ペアリケーブルにチャレンジしてみます。1Mほど購入し50センチにカットしました。
4芯はスピーカーケーブルなどでよく使われていますが、メーカーサイトによると2芯より4芯の方が輻射ノイズが小さくなるとか。2芯の方は以前、電磁界強度を計算してグラフにしたことがありますが4芯だとどうなんでしょうね。カナレは以前スピーカーで鳴らした時に自然で落ち着いた感じが良かったので購入しました。後、結構安価(@350/M)なのもいいです。この辺は線材など変えて色々試してみると面白いと思います。
今回購入したのはこちらのケーブル。注意するのは写真は黒色の被覆ですが現物は灰色です。黒色だと思って購入してしまいました。まぁ、PC内部配線なのでそこまでこだわる必要ないかもしれません。
そういえば、黒色のケーブルの方が少し高かったです。
カナレ4S8の被覆を向いたところですが薄い紙?が巻いてあり、ケーブルどうしも位置が絶縁被膜内で固定されるように白い糸が何本か出ていて固定されている構造です。この辺の構造面白いですね。音的にどういう効果があるのかカナレのエンジニアに聞いて見たいところです。
4芯なので赤と薄い赤をプラス側にしてコネクタに差し込みます。また、白と薄い白はマイナス側にしてコネクタに差し込みます。これで2ペアリケーブルの完成です。※内部でツイストしているかは良く分かりませんでした。被覆を剥いだ感じでは軽くツイストしているように思いました。
■4芯2ペアCPU電源ケーブル(カナレ4S8)音のインプレッション
4芯2ペアだとどうなるんだろうなーという興味で試してみましたが、ベルデンに比べて力強さは上かと思いました。直流抵抗が2ペアで低くなるからでしょうか。音の出方はこちらがストレートに思いました。ただケーブルが太いので結構取り回しが悪いです。
ベルデンのいい所は中高音にメリハリがあって雰囲気がいい所でしょうか。こちらの方がノイズ低減の効果はありそうに思いました。ケーブルはカナレに比べると良く曲げられるので取り回しは良好です。この辺はお好みですね。
■CPU電源出力-マザーボードのケーブル間に電源ノイズフィルターを入れてみる
以前、ブログで公開したATX電源の使いこなしとして12V出力に電源ノイズフィルターを入れて良好な結果でしたので今回も効果があるかもしれないと思い、音を確認してみます。
その時の検討結果は過去記事にまとめていますので興味がある方はご覧くださいね。
ただ、電源ノイズフィルターでも10Aクラスの電流が流せるもので入手性が良いものは限られてきます。
FX-AUDIOさんのSusieですと許容電流が5Aですのでちょっと定格不足です。CPUのケーブルにはお勧めできないですね。
そこで今回は以前の検討で音的に好みだったCOSELの電源ノイズフィルターを使ってみます。こちらはモノタロウで購入しました。定格は10Aで価格は2,000円程度です。
後はTDKさんのフィルターがありますね。定格は10Aになります。こちらは重量もあってごっついです。
先回作成したCPU電源のツイストペアケーブルにこれらの電源ノイズフィルターを間に入れて接続します。どうかなぁ20分もあれば出来ますね。ケーブルの先端処理ですがY字の金具をカシメています。
完成して蓋をすると写真のような感じになります。接続方法は端子が左右4か所づつありますがプラスが2パラ、グランドが2パラで接続できるようになっています。私はショートが嫌だったので外側のプラスとグランド端子に接続しました。それから入力と出力がありますので入力側をATX電源、出力側をCPUやグラフィックカードになるよう接続します。ケースにシールで書いてあるので間違えないようにします。
ところで、大きさが意外と大きいので置き場所が限定されてしまいます。私の場合は以前SSDが置いてあった場所に置くことにしました。後は端子が出ていて何かとショートすると怖いので・・・。ちょっと写真ではわかりずらいかもしれませんが、A6整理用チャックパックというビニール袋をかぶせて一旦絶縁を取ることにしました。うーん、カッコ悪い(汗)。これは後々何か対策したいですね。
ブロック図的には下記のようになります。
■電源ノイズフィルターを入れた音のインプレッション
さっそく音を聴いて見ます。これは中々良いかも。音がマイルドになり女性ボーカルにしっとりとした艶が出る感じです。反面、力感は少し落ちるかな。ただ、もともと配線がシンプルになってそれなりに音が力強く出ていたのでこれでも十分良いかと思いました。低音とか明らかにキック力がついてますね。それと、CPUの電源ケーブルの方がグラフィックカードのケーブルよりフィルターを入れる効果が高いように思いました。これは何でかなぁ。
ATX電源は今回SEASONIC製という事で低ノイズな電源のようです。オシロで確認した感じは通常動作時に数十mVpp台のリップルノイズが出ていましたのでそれなりに低ノイズなのかなとは思いましたが、フィルターを入れることで更に-20dB程度のリップル削減効果が期待できるので今回の対策で相当低ノイズになったと思います。
ATX電源でFCC規格を通っている製品はノイズ規格を通すためにある程度ノイズ対策を行っていると思いますが、オーディオ用途に作られた製品ではありません。オーディオ用途として使いこなすには出力に更にフィルターを入れてしっかりノイズ対策した方がトータルで見ると良さそうに思います。
音のクオリティーは随分上がった感じです。Amazon musicを聴いて見てボーカルの立体感が増してしっとりとした色気が出るなど、今まで中々出にくかった系統の効果を感じました。これはやって良かったと思います。以前に電源強化part1~part9であれこれノイズ対策を行ってきましたがまだまだでしたね。
今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。
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