オーディオの電源でも低ノイズな電源といえばリニア電源が挙げられますがその他にも低ノイズなスイッチング電源というのもあります。そこで低ノイズなACアダプターという事で探して見ました。はい、こちら!

My New Gear. iFi audio iPower II 12Vお迎えしました!一般的なACアダプターに比べると10倍くらい高いので存在は知っていましたが値段を見て躊躇していました。まぁ、これも好奇心ですね。

■ iFi audio iPower IIのスペックを考察する

スペックは下記です。一般的な電源の1/10のノイズと謡っていますがどうなんでしょうね。後で測定してみましょう。気になるのはアクティブノイズキャンセリングという機能ですが具体的な回路とか詳細は記載がないです。FiiO K7のスイッチング電源はオシロで観測した波形から推測するとスイッチング周波数可変(変調)をかけてスイッチング周波数を基本周波数から分散させ、広帯域で低ノイズにするという方式だと推測しました。iFiさんの方式はアクティブと書いてあるので電源入力側のピーク電流を抑えるために細かくスイッチングする方式かなぁと推測します。

これは一時期流行って、最近ではもう一般的になった力率改善回路というたぐいのものです。後は出力側の回路でノイズ波形を打ち消すような機構を取り入れているかですね。一般的なスイッチング電源で例えばフライバック方式と呼ばれるような回路ですとノイズを打ち消すような回路ではないので結構ノイズが出てしまいます。その為、回路をプラスマイナス電源のような構成にしてノイズを打ち消すとか考えるわけですがこのへんは推測です。スイッチング電源の歴史はノイズ低減技術の進化ですね。ノイズ低減は何かと大変です。いずれにしても回路的におごっているのでその分高くなるわけです。

ブランド‎iFi audio
付属品‎センターマイナスDC入力に接続するための極性変換プラグ、プラグ径変換アダプタ
メーカー‎iFi audio
ネットワーク‎USB
消費電力‎30 W
梱包サイズ‎20.5 x 9.3 x 5 cm; 165 g
製品の特徴‎アクティブノイズキャンセリング
サイズ‎12V / 1.8A
電池使用‎いいえ
商品重量‎165 グラム

値段は高いですが、オーディオのためなら買える!ぽっちゃーん。(沼に飛び込んだ音)

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■ iFi audio iPower IIを使ってオーディオの電源強化を試みる

iFiさんといえば、コンパクトな据え置きのDACやヘッドフォンアンプなどをリリースしているイギリスのハイエンドオーディオメーカーのブランドという事ですが、ユニークなのは据え置きの機器で外部電源に専用の低ノイズなACアダプターを用意していることです。DACやヘッドホンアンプと組み合わせることで音的にも有利な構成を狙っているようです。

箱の裏書です。謳い文句を見ると一般的な電源はノイズが1000uVレベルに対してオーディオ用のリニア電源が20uV、それに対しiFi audio iPower IIでは1uVとなっています。1uVというと手持ちのオシロでは測定限界以下で測定できない領域ですね。用途はiFiさんの写真に有るようなDACやヘッドホンアンプの電源用でオーディオ用に開発されたようです。ノイズが1/10になった分、値段は10倍くらいになったのでしょう!

箱を開梱した所です。ACアダプター本体のほかに色々なオーディオ機器に接続できるよう変換用のコネクターが何種類か準備されています。手持ちのオーディオ機器は一般的な2.1mmのサイズでコネクターセンター端子がプラスというものなので、変換用のコネクターを接続する必要はありませんでした。その為、そのままDC12Vに接続してちゃんと音が出ました。

箱から取り出したところです。iFiのロゴが大きいです。きっと性能に自信があるからでしょう。ブランド力ですね。一般的なACアダプターに比べてサイズはやや小ぶりなほどです。

ACアダプターの裏書です。入力電源電圧は100~240Vです。外付けタイプのスイッチング電源の良いところは国内でもヨーロッパ、アメリカなど電源電圧が異なる国でも各国用のコネクタを付ければ動作するところですね。リニア電源ですとトランスを各国専用のトランスを用意したりと色々面倒です。

■音のファーストインプレッションは?

ノイズ測定もありますが、早速音を聴いて見たいと思います。接続図はこちらです。今回購入したのは12Vタイプなので②のDACと③のヘッドホンアンプは接続できます。③のヘッドホンアンプのスイッチング電源から出ているノイズが160mVppと大きかったのでこちらから聴いて見ることにします。ACアダプターを外してiFi audio iPower II 12Vに交換して聴いて見ます。課題曲は今まで同様に星街すいせいさんのstellar-stellarからいくつか曲を聴いて見ます。

冒頭のボーカルですが綺麗ですね。透明感があります。それから音場が立体的で広いと思いました。これはいいですねー。パワフルかというと最初に付けていた12V/72Wの電源のようなバーンと音が出る感じではないのでそこまでパワフルではないですが、低音から高音までバランス良く纏まっていると思いました。値段が高いのでどうかなと思っていたのですが、なるほどこれは値段の分の価値があると思いました。今まで気が付かなかった細かくて繊細な音も出ますね。これは楽しい。低ノイズな電源の傾向はあると思いました。フォロワーさんによると何台も購入しているとか。

あらま、iFiさんの公式からイイねが来ている!

面白いのは②のDACでも効果があることです。DACはアナログ出力をヘッドホンアンプに入れているわけですがデジタル回路の部分がメインだと思いますのでこの辺の原理は良く分かっていない領域です。デジタル回路の領域で音が変わるわけがない、と良く聞くのですが実際は音が変わってしまうので困るというのが実情です。デジタル回路といっても0と1の信号だけという訳ではなく波形にノイズが乗った状態で信号が伝送されますのでそれがアナログ回路に混入するのが問題になると思っているのですが本来はデジタル回路にはノイズが乗っていないのが理想です。

つまりデジタル回路の対策で音質が変わるのは技術がまだまだ未熟で改善の余地があるという事ではないかと思うのです。以前、ノイズ対策ありとなしでテレビの画質がどう変わるか見せていただいたことがあるのですが、これもデジタル回路的な問題だと思うのですが、ノイズ対策が無いと画質がくすんでぼやっとした感じでした。それが対策があると綺麗な画質になっていました。オーディオだと分かりにくいかもしれませんが画像だとどなたでも一発で分かると思います。オーディオも恐らく同じですね。

■iFi audio iPower IIのノイズを測定してみる

音も確認したのでオシロでノイズを測定してみようと思います。しかしローノイズすぎて測定できるのでしょうか。

測定系は他のスイッチング電源と同じです。12V出力に20Ωのメタルクラッド抵抗を負荷として接続し、7W消費させます。出力をオシロで波形を読み取ります。

LOW BATTERY表示が出ていますが気にしない!

ん?ノイズが出ていますね。47mVppくらいです。以前測定した一般的なスイッチング電源のACアダプターよりは全然小さいですが。自作したシンプルフィルターをいれてノイズを低減した状態くらいの波形です。しかし、謳い文句にあるような1uVという値ではありません。測定方法が悪いのかな。

どうやら、出力のプラスとマイナスにつながなくても片側をつなぐと出るノイズのようです。GND経由でノイズを拾っているようです。プローブが10:1なので拾いやすいかもしれません。これは1:1のBNCケーブルで測定する必要があるかもしれません。手配しておくことにしましょう。iFi さんのノイズ測定方法は分かりませんが低ノイズの電源の測定にはもう少しきちんと測定する必要がありそうです。良い測定器と測定系が欲しいなー(再度の呟き)

今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。

値段は高いですが、オーディオのためなら買える!ぽっちゃーん。(沼に飛び込んだ音)

ここまでのノイズ対策はこちら。色々です!

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【後日談】それぞれやったことの詳細は、オーディオの電源を強化しようのpart1~part9のいずれかに書きましたのでそれぞれのページを参考にして見て下さい。一応下記にリンクを貼っておきますね。

ACアダプターから発生するスイッチングノイズに気が付いたことから物語がスタートします。

FiiO K7やその他、ACアダプターから発生するスイッチングノイズをオシロで見てみました。また、対策としてシンプルなノイズフィルターを作成して効果を確認しました。まさかのあの人物もヒアリングをしてくれました。

シンプルな電源に入れるノイズフィルターの定数を変更して音の変化を確認しました。また、市販の電源に入れるノイズフィルターも試しています。

市販の電源に入れるノイズフィルターの使いこなしや音のインプレッションなどを書きました。電源沼楽しー。

ノイズが小さいリニア方式のACアダプターを試して見ました。また、スイッチングノイズをAMラジオで受信して音を聴いてみる実験を行いました。(動画あり)

超ローノイズのACアダプターというiFiさんの電源を試して見ました。音のインプレッションや電源ノイズの波形観測など行っています。

電源ラインの強化という事で電源タップをオーディオグレードに変えてみました。音のインプレッションや一般的な電源タップとの比較で内部を分解して構造を比較をしてみました。

究極の低ノイズ電源といえばバッテリーですね。乾電池によるバッテリー電源の音のインプレッションやLANハブからくるスイッチング電源のノイズを取るとどうなったかなど記事にしました。

今までのオーディオの電源を強化してみようpart1~part8までの総括になります。

By manotch

■自己紹介 manotch まのっち ■職業 以前、オーディオメーカーで回路設計と音質チューニングにたずさわってきました。専門はオーディオ用パワーアンプ、AVアンプ、デジタルアンプ、スイッチング電源など。現在もエンジニアとして仕事をしています。