Petit Susie DC電源ノイズクリーナーの音を聴いて見ましたが、ノイズフィルターの実際の効果の方もオシロで実測して波形を確認しておきましょう。

③ヘッドホンアンプの別売ACアダプターの出力にスイッチングノイズが50KHz~160mvPP(7W負荷時)出ていましたので、ここにPetit Susie DC電源ノイズクリーナーを経由させてノイズがどれくらい小さくなるか実測してみます。配線は下記の写真です。

■Petit Susie DC電源ノイズクリーナーのノイズカット効果は?

ACアダプターの出力はDC12Vでスイッチングノイズが発生していました。そこでPetit Susie DC電源ノイズクリーナーの出力に前回同様に20Ω負荷を接続しここで7W消費させます。この時のスイッチングノイズを測定します。

負荷20Ωのスイッチングノイズの実測が下記です。160mVpp⇒32.8mVppへと79%削減されています。前回作成したシンプルノイズフィルターが39.2mVppまで削減したのですがそれ以上の効果がありました。

しかし、見た感じこの残留ノイズの成分はかなり高い周波数(MHzオーダー位)なのでどちらのフィルターでも取り切れていない感じです。別途対策が必要かもしれませんが、スイッチング周波数の大きな三角波形状のノイズが無くなっているのでまずは良しとしましょう。主要なノイズ成分はかなりカットできていそうです。

FX-AUDIOさんの公式にもこのPetit Susie DC電源ノイズクリーナーのノイズカット効果が掲載されていますが概ね効果は確認できたと思います。スイッチング電源のノイズの出方や出力レベルで大きく変わってしまうので絶対値で比較するのは難しいですが。

■Petit Susie DC電源ノイズクリーナーはどんな人にお勧め?

音の方は前述したとおりですがトロイダルコアによる高周波ノイズカットと電解コンデンサによるノイズカットの両方が効いている分、ノイズカットの効果は高いと思いました。フィルターのタイプでいうとπ型フィルターと呼ばれるタイプだと思います。

音は耳触りの良い音でマイルドな感じになりますが、音場の方はというとシンプルなノイズフィルターのように広がる感じは少ない感じ(どちらかというと若干見通しが悪くなる)がしました。それから音の力感が多少落ちる感じがあります。良く言うと聴き疲れしない。です。その為、万人にお勧めできるという訳ではないです。ACアダプターの出力にノイズが乗っていないような低ノイズな電源に接続してもそれほど効果が感じられないのでは?と思いました。つまり効果があるときと無いときがありそうです。

上は表から見た写真です。330uF×3パラの電解コンデンサに加え入出力にトロイダルコアが入っているのでノイズカット効果は高そうです。ここまで必要なんだろうかという気もしますが汎用のノイズフィルターでは色々な周波数帯の色々なピーク波形のノイズが入ってくるかもしれませんのでオールマイティーに対応するにはこのようなフィルターになるかもしれないと思いました。電解コンデンサにはルビコンという文字が記載されています。これは国内メーカーの電解コンデンサですね。

上は裏から見た写真です。FX-AUDIOのロゴが入っていますね。

逆にACアダプターを何種類か持っていてPetit Susie DC電源ノイズクリーナーを色々付け替えて音の変化や効果を試して見たいという方には向いていると思いました。比較的安価で汎用品のACアダプター(家電用なので一般的にそこまでノイズ対策されていない)と組み合わせて音質改善するのに向いていると思います。

■FX-AUDIO- Petit Tank DC電源ノイズクリーナーも購入してみた

ついでにPetit TankDC電源ノイズクリーナーも面白そうなので購入して見ることにしました。Petit Susieと一見外見は良く似ているのですがPetit Susieはノイズカットが目的なのに対し、Petit Tankは電解コンデンサの並列容量アップによる電源供給能力アップが目的のようです。電解コンデンサに電気が貯まるのでドカンと音が鳴った時、電流が不足するのでそれを補うため電解コンデンサを並列にしています。電流が不足すると電解コンデンサから電流を供給するイメージです。

写真左側がFX-AUDIO- Petit Tank DC電源ノイズクリーナー・バルクキャパシタ 延長ケーブル型 出力プラグ外径5.5mm 内径2.1/2.5mm両対応・・・です。

公式サイトからの抜粋を下記に記載しておきますね。注意すべきはDCジャックのタイプがセンタープラスであることです。一般的にはオーディオ機器はセンタープラスのジャックなので大丈夫ですがセンターマイナスの機器とつなぐと破損してしまいます。そこだけは念を入れて接続しても問題ないか確認しておきましょう。こちらの電解コンデンサは国内メーカーという事ですがメーカー名は確認できませんでした。なんとなくニチコンっぽいかな。

【製品仕様】
ブランド:FX-AUDIO-
シリーズ:ACCESSORY SERIES
製品型番:Petit Tank
製品保証期間:お買上げ日より6ヶ月間
電源入力:DC 35V以下 / 電流容量 1A以上の電源に対応 ※交流電源は非対応
最大定格出力電力:140W (35V時 MAX4Aまで)
最大定格出力電流:5A
DCジャック(IN):外径5.5mm 内径2.1mm (センタープラス仕様)
DCプラグ(OUT):外径5.5mm 内径2.1mm/2.5mm両対応 (センタープラス仕様)
付属品:付属品・説明書無し ※本体のみ(バルク/簡易梱包)
サイズ:幅25.5mm×奥行き98mm×高さ20mm
ケーブル長:約30cm(コネクター部を含む)
重量:45g

■Petit Tank DC電源ノイズクリーナーの使用方法は?

写真のようにACアダプターの出力にPetit Susieを接続してまず、ノイズをカットします。Petit Susieの出力コネクタを今度はPetit Tankの入力に接続します。ここで電気がいったん蓄えられ、電源容量をアップさせます。そしてその後にオーディオ機器に接続します。

公式にも掲載されているのですが、Petit SusieとPetit Tankの接続には順番があって写真のようにACアダプター⇒Petit Susie⇒Petit Tank⇒オーディオ機器という順で接続します。理由はPetit Tankは電流供給能力アップのための電解コンデンサ並列回路なので、ドカンと電流が必要な時にはオーディオ機器の直近にあって瞬時に電流供給する必要があります。Petit Susieは逆にドカンとノイズが入った時に急峻に内部の抵抗値が上がってノイズを止める効果があるのでPetit Tank⇒Petit Susie⇒オーディオ機器の順ではPetit Tankの電流供給(瞬時に電流が流れる点ではノイズと同じ)がPetit Susieで止められてあまり効果が無いわけです。

写真は配線した所です。このままだと基板が動いて気になるので公式専用のアクリルケースに入れたいところです。収縮チューブががっちり巻いてありますが、音的には余り良くない気がします。アクリルケースを購入したら剝がしてしまいましょう。被覆のゴムなどをかぶせると概ね音がきゅっと締まって窮屈な方向に行ったという記憶があります。

■Petit Tank DC電源ノイズクリーナーの音のインプレッション

課題曲は星街すいせいさんのstellar stellarで同じように聴いて見ます。Petit SusieにPetit Tankを追加することでどうなったかというと大分、中低音が出てきてなーという感じです。厚みのある低音が出ますね。でもちょっと音の出方が重いかな。電解コンデンサを並列にしているからでしょうか。ちょっとやりすぎのような気もしますがこれはこれで好きな人いるでしょう。下のオーディオ電源の強化でいうとA.電力供給能力アップですね。その右の方にコンデンサ並列沼というのがあるのですが、これに該当するわけです。

電源がプアーになりやすいローコストな機器では、こういったアイテムも面白いかもと思いました。Petit Susie単体よりPetit Tankを組み合わせた方が良いと思いました。公式がPetit Susieに組み合わせて使うアクセサリーとして開発したというのも何となく納得がいきます。Petit Susieのみだとノイズが減って聴き取りやすい感じが出るのですが、反面音の力感が減ってくる感じがしました。Petit Tankを入れることでノイズカットと音の力感を両立するというコンセプトなのかなと思います。使うなら組み合わせてみることをお勧めします。

低音が出てきた半面、ボーカルから高域の方はやや物足りない感じがあります。電解コンデンサを並列にしていくとなりやすい傾向があったと記憶しています。容量の大きい電解コンデンサは低域のインピーダンスは低くて低域は良いですが、高周波特性があまりよくありませんので並列にすると高域が出にくくなる感じです。メリットもあるけどデメリットも目立つという感じです。この辺はバランスがあると思います。Petit Tankはまずは低音重視でパワーがモリモリ出るというコンセプトだと思いました。

今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました!

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電源沼は中々楽しいですねー。

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【後日談】それぞれやったことの詳細は、オーディオの電源を強化しようのpart1~part9のいずれかに書きましたのでそれぞれのページを参考にして見て下さい。一応下記にリンクを貼っておきますね。

ACアダプターから発生するスイッチングノイズに気が付いたことから物語がスタートします。

FiiO K7やその他、ACアダプターから発生するスイッチングノイズをオシロで見てみました。また、対策としてシンプルなノイズフィルターを作成して効果を確認しました。まさかのあの人物もヒアリングをしてくれました。

シンプルな電源に入れるノイズフィルターの定数を変更して音の変化を確認しました。また、市販の電源に入れるノイズフィルターも試しています。

市販の電源に入れるノイズフィルターの使いこなしや音のインプレッションなどを書きました。電源沼楽しー。

ノイズが小さいリニア方式のACアダプターを試して見ました。また、スイッチングノイズをAMラジオで受信して音を聴いてみる実験を行いました。(動画あり)

超ローノイズのACアダプターというiFiさんの電源を試して見ました。音のインプレッションや電源ノイズの波形観測など行っています。

電源ラインの強化という事で電源タップをオーディオグレードに変えてみました。音のインプレッションや一般的な電源タップとの比較で内部を分解して構造を比較をしてみました。

究極の低ノイズ電源といえばバッテリーですね。乾電池によるバッテリー電源の音のインプレッションやLANハブからくるスイッチング電源のノイズを取るとどうなったかなど記事にしました。

今までのオーディオの電源を強化してみようpart1~part8までの総括になります。

By manotch

■自己紹介 manotch まのっち ■職業 以前、オーディオメーカーで回路設計と音質チューニングにたずさわってきました。専門はオーディオ用パワーアンプ、AVアンプ、デジタルアンプ、スイッチング電源など。現在もエンジニアとして仕事をしています。