こんにちは、manotchです。PART1からの続きになります。
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さて、前回の記事でついに「なぜ音が変わるのか」の核心に迫るデータが取れました。しかし、その道のりは平坦ではありませんでした……。 探求の旅、第2弾をお届けします!
目次
■科学に犠牲はつきもの?相次ぐアンプの「戦死」
実験をさらに加速させようとした矢先、悲劇が起きました。 結論から言うとデジタルアンプ2台目壊しました🔥
12月の寒い冬、クリスマスの日です。何やっているんでしょう、私。これはサンタさんにもう一台お願いするしかない!


■謎解き:なぜ「部品単体」より音が大きくなるのか?
……と、天を仰いだのも束の間。サンタさん(という名の配送業者さん)にお願いしたら、なんと本当に新しいデジタルアンプが届きました!ありがとうサンタさん! 壊れてしまったFX-AUDIOさんのデジタルアンプ自作キットをもう一度ハンダ付けして作り直し!(苦笑)

サンタさんの贈り物はこちら!FX-AUDIO デジタルアンプ自作キットです(笑)
気を取り直して(3台目で)、前回の大きな疑問だった「なぜ部品単体で測るより、アンプを通した方がマイクロフォニック音が大きいのか?」の検証を再開します。
マイクロフォニック音の測定方法ですが、ケーブルやコンデンサの振動試験と同じく下記の測定系を使用しました。

測定風景は下記の写真になります。

基板の裏から振動スピーカーを当てているところです。色々な場所に、一定の力で振動がかかるように振動スピーカーの自重で当てています。
実験すると、早速面白いことが分かりました。様々な部品の中でもアンプの信号の入り口である「入力カップリングコンデンサ」あたりに振動スピーカーを当てるとマイクロフォニック音が特に大きくなることがはっきりとわかりました。

入力信号を上げ下げするボリューム近くにある、黄色の丸で囲んだ円筒型のコンデンサが、入力カップリングコンデンサです。このコンデンサを微弱なオーディオの音楽信号が通過し、その後アンプで増幅されます。
例えるなら、これは「拡声器」と同じ原理です。
- 部品(コンデンサなど)が発生させる音: 小さな「ささやき声」
- アンプの入力回路: 性能の良い「高性能マイクと拡声器」
アンプの入力部分で拾った小さな振動がマイクロフォニック音によるノイズになり、アンプ自身が「これもお仕事だ!」と勘違いして、音楽信号と一緒に全力で増幅してしまっていたのです。
実際に、デジタルアンプに付いている増幅率(ゲイン)を変えるスイッチで3段階に変えて測定した周波数特性グラフを見ると、それは一目瞭然。ゲインを「小→中→大」と上げていくにつれて、マイクロフォニック音のピークも目に見えて巨大化していったのです。このことからマイクロフォニック音の信号レベルはゲイン(増幅率)と強い相関がある事が分かりました。

グラフの見方ですが、左からゲイン18dB(増幅率8倍)、真ん中がゲイン24dB(増幅率16倍)、右がゲイン30dB(増幅率32倍)です。横軸は周波数で20~20KHzとなっていて人間の耳で聴こえるレンジになっています。
縦軸は電圧です。測定された電圧は1~10mV。これは「ノイズかな?」で済まされるレベルではなく、可聴帯域(耳に聞こえる範囲)ではっきりと認識できてしまう音量です。 しかも、この振動を起こすのに必要な振動スピーカーのパワーは、わずか1V(250mW/4Ω負荷)程度。ごく普通の音量で音楽を聴いているだけで発生するレベルです。 このことから、常に走行振動にさらされるカーオーディオや、スピーカーの振動が直に伝わる内蔵アンプなどは、特にこの影響を受けやすく、「音の個性」が発生しやすい事が明らかになりました。
■コンデンサ対決!「オーディオ用」vs「汎用セラミック」
次に、音の個性を決める重要パーツである「入力カップリングコンデンサ」を振動させ、マイクロフォニック音の周波数特性を比較してみました。 選んだのはこの2つです。
- ELNA CE-BP(オーディオ用無極性電解コンデンサ)※キットに最初から付属していたもの(左)
- 汎用セラミックコンデンサ※ほぼ上記と同じ容量のもの(右)

結果は、驚くほどグラフに現れました。

・オーディオ用電解(ELNA): (左側グラフ)
全体的にノイズが低く抑えられ、特性も素直で滑らか。こちらは「クッションの上で叩いたような、落ち着いた反応」です。FX-AUDIOさんの紹介文によるとオーディオ用に開発されたコンデンサを使用していることが売りの一つのようです。なるほど、音を吟味した結果なんでしょうね。
汎用セラミックコンデンサ: (右側グラフ)
中高域に鋭い「トゲ(ピーク)」がいくつも現れ、非常にピーキーな特性になりました。例えるなら、「硬い金属の板を叩いたような、カンカン響く音」が電気信号に混ざっている状態です。
昔からオーディオファンの間で「コンデンサを変えると音が変わる!」と言われてきましたが、それは単なる経験則やオカルトではなく、「外部からの振動をどう電気信号に変えてしまうか(あるいは逃がすか)」という物理特性の差として、はっきりとデータで裏付けられました。※もちろん、その他の電気特性の差などの要因も大いにあると思います。
■さらに深掘り!デジタルアンプ機種毎に「個性」はあるのか?
「部品で変わるなら、アンプの機種によっても変わるのでは?」 そう思い、メーカーの異なる2種類のデジタルアンプ(アンプA:FX-AUDIO製、アンプB:NOBSOUND製)を用意し、同じ条件(0.65Wのパワー)で基板を振動させて比較してみました。下記写真の赤色基板がFX-AUDIO自作キット、緑色基板がNOBSOUND市販品となります。

すると、ここでも興味深い違いが出ました。

- アンプA: ノイズのピークの裾野が広く、周波数がゆらゆらと揺らいでいるような特性。
- アンプB: 裾野が狭く、ピークの周波数があまり揺らがず、鋭く立っている特性。
「デジタルアンプだからどれも同じ音」というわけではなく、振動の影響を受けることで、アンプ固有のマイクロフォニック音が音楽信号に重なり、それがその機種独自の「音の個性」となっている可能性が高いことが分かりました。オーディオでも高級機などでは振動対策を謳っている製品がありますが、今回の結果から振動対策はオカルトでも何でもなく、機種ごとのくせや固有音に対する物理現象を各メーカーのノウハウとして対策している可能性がある事も分かりました。まぁ、効果が良く分からない製品もありますけどね‥。
■まとめ:1mVの「隠し味」が個性を生む
今回の実験で分かったのは、この現象が決して「特殊な環境」だけで起きるものではないということです。 ごく普通の音量で音楽を聴いているときに、基板にドンという音圧が加わる事(例えばドラムの音などが入るなど)で微振動すると、それがアンプで10倍~20倍に増幅され、1mVという「十分聴こえるレベルの音」となって回路内に発生します。
デジタルアンプといえども、その入り口や出口はアナログな物理現象に支配されています。
部品が振動を拾い、それが増幅され、音楽に「隠し味(あるいは雑味)」として加わる。この微細な付帯音が、あるときは「温かみ」や「響き」として、またあるときは「歪み」や「うるささ」として感じられ、そのアンプ固有の『音の個性』となっている大きな原因の一つである、ということが、今回の実験データから強く示唆されたと思います。
アンプが2台も犠牲になるという波乱の展開でしたが、その分、非常に濃いデータが取れました。 ここまで検証した内容は、分かりやすく1枚のイラストにまとめてみました。

今後はアンプだけでなく、各種ケーブル、パーツなどでも、この「音の個性」をデータ化し、開示していく試みを検討しようと思います。オーディオの謎を解明する旅は、まだまだ続きます!

今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。
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