こんにちは、manotchです。先日ついにMy New Gear.したFiiO K9AKM DACアンプを徹底レビューしてみたいと思います。分解動画もあるよ!

※FiiO K9AKM 2024年1月29日発売

梱包箱です。いつものようにキラキラです!

■K9AKMとK7との音の差はなぜ?

K9AKM音良いですよねー。昨年購入したK7も電源強化したりしてかなりいい線行っているかもと思っていたのでK9AKMと差が無かったらどうしようと思っていたのですが杞憂でした。

K7とK9AKMを縦にして並べてみました。K9AKMは筐体が大きくずっしり重い。

ファーストインプレッションは、音楽をより楽しめる方向に振ったなぁという感じです。

低音が分厚い。ボーカルが艶やかで生々しい。今まで聞こえなかった音が聞こえる。音場が広がった。SN感がいい。とまあ聞かせどころが多くなっています。流石の実力機だと思います。K7は以前のレビューで『解像度の高い写真のような描写』という表現をしたのですが、K9AKMは上回ってきましたね。

FiiOがいうようにDACのチップセットが旭化成エレクトロニクス(以下AKM)製のオーディオ向けDACチップのフラッグシップシステム「AK4191EQ+AK4499EX」搭載っていう所と、オーディオ回路や基板レイアウト等は最上位モデルであるK9 Pro ESSと共通の設計を採用って所が効いているのでしょうね。個人的な見解として後で分解してK7と比較しましたが電源が内蔵になって強力なリニア電源を使っているという所も大きいと思いました。分解した写真ですがこんな感じ。筐体の半分以上が電源です。

K7もコスパは十分高いと思いましたが、K9AKMもこの内容ならコスパが高いのではないでしょうか。同価格帯で見ると内容的に競合を上回っている感じです。K7もK9AKMもFiiOの戦略モデルだと思っています。つまり、価格競争力のあるモデルで据え置きDACアンプのマーケットシェアを取りに行っていると思います。伝統の中国方式。日本のメーカーも頑張ってほしいですね。

楽しくなってきたのでK7の時に聴いていた過去の曲を総ざらい。良くあるパターンです。一通り聴いていたのですが、生まれてきた疑問は何で音の差が出るんだろーです。そりゃお金のかけ方とか違いますけど、どこがどう違うのか?です。

これは分解するしかない!(苦笑)

■いきなりFiiO K9AKM分解方法。(自己責任ですよー)

という訳で分解です。オフィシャルサイトとかリリース記事を見て、あぁこれは背面のねじをとれば分解できそうだなぁと思っていました。しかし、購入したら中身が見れない残念仕様だったらどうしようと思っていたのですが分解できました。良かった良かった。この辺は自己責任ですのでお願いしますよ。

まずはフロントのボリュームを取ってみました。K7はとれなかったんですよね。K9AKMはボリュームが圧入なのでそのままぐっと引っ張ればとることが出来ます。アルミ無垢にプラスチック成型の複合構造ですね。アルミ無垢は分厚く回した時にヒヤッとしていて重厚感があり好感触です。以前アンプで試した時はアルミ無垢は音も良かったです。

ここはご覧の通りナットを外しても分解には関係なさそうでした。リアパネルの方を見てみましょう。

リアパネルのネジ類を外してみます。FiiO K7の時もそうでしたがK9AKMも非常にビルドクオリティーが高いと思いました。パネルの勘合が隙間なくぴったりなんですよね。精度が高くないとこれは出来ないです。

こんな感じで外すことが出来ました。気を付けないといけないのはBluetoothのアンテナで細いケーブルが一本で基板へと繋がっています。適当にパネルを外すとケーブルが切れてしまいそうです。慎重に行きましょう。買って間もないので動かなくなったら涙です。

後ちょっと難しいのはリアパネルと基板間をAC100V系のケーブルが繋がっているところがありますが、ここはファストン端子で圧入されているだけなのでぐっと抜けば外せます。気を付けるのはケーブルの色で緑はシャーシのグランド、赤はACラインです。

この2本を外したあとは写真のようにシャーシのグランドに接続されている緑のケーブルのネジを2か所外します。

後はリアパネルを押してフロントパネルをスライドさせながら前に引き出していけばOKです。

フロントパネルのXLR4端子の蓋です。これは指で取れます。単なるカバーですね。

これで分解した基板を見ることが出来るようになりました。パチパチパチ。(拍手)

■FiiO K9AKM分解動画をアップしてみた!

分解はロマン。まぁ好きな人もいるかもしれないのでXにアップしておこうかなと思ったら意外と反響があって良かったです。K9AKMを分解してみようと思ったのは他に分解している人がほぼいなかったからという所もあります。(海外サイトではK9 PROで分解している方がいました)

■FiiO K9AKM分解レポート

この辺は先行してXにアップしている所もありますが、文字制限もありますし書きたいことも沢山あるのでブログの方に纏めておきたいと思います。

総括すると入念に設計され完成度の高さを感じました。これはいいですねー。

気の付いた点をレポートしたいと思います。 開けてまず目に付くところは透明なプラスチック成型で囲われた構造ですね。ハンドリングの都合でしょうか。

K7を以前分解したときもこの構造だったと思います。筐体が筒状で基板をスライドして入れる形なので構造的に適しているのかもしれません。

透明なプラスチック成型で気になる点ですが基板上部を囲う事で放熱性は落ちるのではないか?という所です。ところが成型品の熱が抜ける開口は写真のようにそれほど大きくとっていません。 その為、温度上昇の点はクリアできると考えたと思われます。

プラスチック成型品が透明なのは中身を魅せる工夫でしょうね。FiiOの製品には天板がシースルーなタイプもあるので蓋を開けてもカッコいいように設計されているようです。もちろん、見た目が良くて音がいい製品が最高ですね。

THX-AAA 788+ヘッドホンアンプ回路のチップセットには比較的大きなヒートシンクがおごられています。 透明なプラスチック筐体が近接しているので放熱は結構問題になったかもしれないと思います。

ヒートシンクや固体コンデンサと透明プラスチック筐体とのすきまは2mm程度でしょうか。結構攻めていると思いました。(機構屋さんのほうが)

電源周りを見ていきます。AC側にはノイズ対策のフィルタが入っています。 トランスには黒くてカッコいいカバーが付いています。見た目は重要ですもんね。 フィンが付いているのですが樹脂の様で放熱用というよりは飾りのように見えます。

いいなと思ったのは、CUSTOMIZEDの印字です。売れる製品をリリースするセンスを感じます。なんか特別感があるじゃないですか。

ブロック図がオフィシャルサイトより公開されているので分解した写真に推測で書きこんでみました。こうして見ると電源回路のスペースが大きくとってあり相当力を入れているのが分かります。 デジタルもアナログも電源は重要そうですね。

上から見てチップセットが分からなかった箇所はブロック図に書き込んでいませんが、恐らくアナログフィルターや電子ボリュームの回路あたりだと思います。

FiiO K9AKMでサブスク聴きながらブログを書いていますが筆が進む。進む。音楽って良いですよねー。

さて、Xの投稿の方でも分解レビューは書いていますがどうしても文字数制限があって長文書きにくいです。その代わりフォロワーさんの話が面白い。よりよい記事が書けそうです。ありがとうございます。

ただ、Xの方だとタイムラインが流れてしまいアレ?この話何だっけ?と分からなくなるのでブログで時折まとめていきたいと思います。

■K7とK9AKM THX-AAA 788+チップセット比較

K9AKMとK7ヘッドホンアンプ回路の比較です。 THX-AAA 788+チップセットは同じですが、周辺回路を含めるとK9AKMの方が多くのパーツを投入しているように見えます。 それと供給電圧が±12.5Vと±11Vという事で若干K9AKMの方がパワーで上回っているようです。

フォロワーさん情報によるとオペアンプが違っているようですね。オペアンプによる音の違いはやれていない領域です。ここは回路など調べてみたいところですが時間がなく残課題です。

THX-AAA 788+チップセットですが、基板を開口させて裏面にも部品を実装しているのは興味深いです。表面だけに部品実装するとサイズが大きくなるので嫌ったのでしょうか。

■重量2.6Kgの秘密

FiiO K9AKM 分解レポート8.

K9AKMは約2.6kgと結構重さがあります。 筐体はアルミニウム合金にCNC加工して成形されているとありますが、厚みは最大6mm程度でした。 重さの理由はコレのようです。経験則ですがオーディオでは重さや剛性が音に影響がでる場合があります。これも検討の結果でしょうか。

重量がある程度あると何か所有欲が満たされますね。(笑)

放熱孔ですが側面にあります。どちらかというと縦置きの方が下から上に熱が逃げるので放熱的には縦置きの方が良さそうに思いました。天板に穴がないのはほこりや飲み物がこぼれた時の対策だと思いますが放熱的には不利になります。穴が無くてもいいなら無い方が良いですね。

過去の例だと例えばアンプで上級モデルでパーツが多い方がパワーは出るけど下位モデルの方がパワーは下がるけどシンプルで音は好みとかあったと記憶しています。パーツが多いと良いわけばかりでないというのもオーディオの面白い所です。

さすがにボンド塗布までは自動化されていないようです。ネジロックの塗布があるのですが均一に出来ていたのでこの辺は技術力を感じました。最近は専用装置があるのでしょうか。

■FiiO K7も分解動画をアップしてみる

以前、FiiO K7を購入したときは途中まで分解出来ていたのですがてっきりフロントボリュームが取れないから無理だと諦めたんですよね。その時のレビューはこちら。(苦笑)

今回FiiO K9AKMが分解できたのでもしかしたら同じ方法で基板筐体をスライドするだけじゃね?
と思ってもう一度分解したらあっさり出来ました。うぬぅ~、ぐっと力を入れて前にスライドするだけだったのか。勘合が良すぎて取れないと思い込んでいました。(泣)

これでK7とK9AKMとで何が違うのか比較も出来そうです。はい、動画はこちら!

FiiO K7分解レポート1.

K7の方もFiiO K9AKMと同じ方法で分解できましたので動画をアップしておきます。

K7のほうも基本的にK9AKMと同じように筒状の筐体に基板をスライドして入れています。プラスチック筐体で基板を固定している所も同じでした。バックグランドでセミが鳴いている所に季節感が。(汗)

K7は電源が外付けのACアダプターとなっていて電源がない分、大分小型になっていますね。

分解した感じですがK7のヘッドホンアンプはK9AKMと共通の部分が多かったのでコスパは高いでしょうね。

K9AKMは何と言っても旭化成のハイエンドDACのチップセットを積んでいることが売りでしょうね。

K9AKM分解レビューですがそろそろK7との比較を行ってクローズとしたいと思います。

■K7とK9AKMの製品構造比較

FiiO K7分解レポート2.

例の基板に取り付けられているプラスチック成型品についてK7とK9AKMを比較してみました。K9AKMが透明でK7は黒の不透明でした。 K7は中身を見せる機会はないと考えていたのでしょうか。部品が見えないので個人的には残念。

K7のプラスチック成型の写真です。中身はプラスチック成型品を外せば見れそうですが余り分解すると元に戻らなくなりそうなのでやめておきました。裏側から見れば大体のイメージは分かりますね。

K7の方はプラスチック筐体を開口させて黒色のヒートシンクが飛び出していますね。K9AKMはちょっと熱的に苦しそうだったので個人的にはこちらのほうが合理的な設計だと思いました。

■FiiO K7とK9AKMの音質差の理由

K7とK9AKMの基板サイズ感を比較しました。 K7ですがサイズ的にはK9AKMの半分ほどになりそうです。 K7はACアダプター方式ですが外部電源にして電源回路を簡略化したため小型化できたと言えそうです。

K7はスイッチング電源によるACアダプター方式ですがK9AKMはリニア電源による内部電源方式ですのでこのへんが音質の差になっていると推定できます。 もちろんDACなどチップセットの違いもあるでしょうね。

プレイしている内に音質のチェック忘れましたー。

■FiiO K9AKM分解レポート総括

確かにFiiOの製品としての商品性は高いと思いましたが、やっぱり旭化成のDACチップセットやTHX社の アンプ技術といった技術の進歩を抜きにしてはいけないかなぁという感じがしました。つまり、FiiOだけが製品の出来を左右しているのではないという点です。しかし、魅力ある製品を高い総合レベルでリリースする点でFiiOは一歩抜けている感を感じました。

買って期待外れだったーとかは少ないんじゃないでしょうか。そういった意味では満足度の高い製品ではないかと思います。もちろん、他社含め更に上位機種とかありますが、上を見ればキリがないので。※ただ、今回は上位機種も試聴した上で購入しています。まぁ、好みというのもありますね。

中身を見たインプレッションですが入念に設計され、完成度の高さを感じました。音も良かったので買って良かったと思います!

今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。

★K9AKMにはK9無印もありますが売れ行きを見てAKMに移行するか決めるのでしょうか。

★K7はK11もありますのでどちらを買うか悩ましい所です。

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By manotch

■自己紹介 manotch まのっち ■職業 以前、オーディオメーカーで回路設計と音質チューニングにたずさわってきました。専門はオーディオ用パワーアンプ、AVアンプ、デジタルアンプ、スイッチング電源など。現在もエンジニアとして仕事をしています。 開発経験DC~110GHz。