人気の高いFiiO Desk Top DAC K7のレビュー総集編になります。同価格帯のDACといえばiFi audioのZEN DAC等が挙げられますが競合他社のスペックやコストを意識して戦略的にリリースされたモデルではないかと後々思いました。

『イヤホンやヘッドホンの音質』『使い勝手』『分解写真』など盛りだくさんでお話ししたいと思います。

【後日談】8か月ほど愛用してみて更に欲が出て電源を強化して見ることにしました。電源強化とノイズ対策でずいぶんと音が良くなりますね。纏めましたので興味がある方は見て下さいね。

■購入までの経緯

さて、sennheiser HD660Sをしっかり鳴らすにはヘッドホンアンプ買えばよかった!という事が分かりましたのでヘッドホンアンプかDACでアンプ付きモデルを探したところFiiOさんのK7が目に留まりました。サイズも割と小型でデスクトップにおいても余り邪魔にならなさそうです。フォロワーさんの評価も上々でしたので大丈夫だろう!という事で購入しました。

私は割と同じメーカーの違う機種を購入することが多いのですが今回はKA3とK7の比較も興味がありました。『携帯DACと据え置きDACだと何がどう違うのか?』とかです。据え置き型は小型化に関しての制約が少なくなるので音質的にはかなり有利だと思います。

実際に聴いて見ながらレビューしていきたいと思います!結論から言うと音がしっかり出て安定感があり、細かいニュアンスも良く出る!ですね。未試聴で購入したのでどうだろうと思いましたがこれでほっと一安心です。

■開梱!

FiiO K7のパッケージです。KA3の時もそうでしたが箱がキラキラです!
内容物はこんな感じです。本体と取説です。あれ?電源が無いのかな。まさか?別売??
電源は別売ではありませんでした。良かった。AC100VからDC12Vに変換してから本体の電源ジャックに差し込んで使用します。出力は12V,2Aで24W相当です。これくらいなら電力的に余裕がありそうです。電源が分離されているので別に購入して電源を強化したりすることで後々音質向上させることもできそうですね。

■据え置き型はパワーが高い!

主な仕様を見ていきます。やっぱり今回はパワーが取れそうという事で据え置き型を選んでみましたがどこが違うかというと携帯型のKA3に比べてバランスで15.4倍のパワーが出ていることですね。アンバランスでも5.1倍のパワーが出ています。この違いは大きそう!

K7 ≥2000mW (バランス, 32Ω負荷時 / THD+N<1%) KA3 130mW@32Ω
K7 ≥1220mW (シングルエンド, 32Ω負荷時 / THD+N<1%) KA3 240mW@32Ω

主な仕様

DACチップAK4493SEQ ×2
アンプテクノロジーTHX AAA-788+ ×2
USBレシーバーチップXMOS XUF 208
デジタル入力USB Type B ×1
RCA同軸 ×1
TOS光 ×1
アナログ入力RCAライン入力×1系統
アナログ出力RCAライン出力×1系統
ヘッドホン出力4.4mmバランス ×1系統
6.35mmシングルエンド ×1系統
対応サンプリングレートUSB:PCM 384kHz/32bit, DSD 256 (Native)
RCA同軸:PCM 192kHz/24bit
TOS光:PCM 96kHz/24bit
ヘッドホン推奨インピーダンス16~300Ω
出力≥2000mW (バランス, 32Ω負荷時 / THD+N<1%)
≥1220mW (シングルエンド, 32Ω負荷時 / THD+N<1%)
S/N比≥120dB (A-weighted, USB入力時)
THD+N0.00028%未満 (ヘッドホン出力時)
0.0005%未満 (ライン出力時)
ノイズフロア7.7uV未満 (バランス, A-weighted, USB入力時)
4.4uV未満 (シングルエンド, A-weighted, USB入力時)
出力インピーダンス1Ω(32Ω負荷時)
寸法120mm x 168mm x 55mm
重量約610g
付属品ACアダプタ
電源ケーブル
USB Type A to Bケーブル
6.3mm to 3.5mm変換アダプタ
クイックスタートガイド
保証書
出典 FiiO K7 ホームページ 

上から見たところです。すこし凹凸のある表面加工にマットな艶消し黒塗装です。高級感がありますね。

■パワーが高い理由は?

出力のパワーがこれだけ大きく取れる理由ですが据え置き型は電源が家庭用コンセントからとれるので供給電圧が高くできるところだと思います。K7の電源はDC12Vですが内部のブロック図を見るとヘッドホンアンプに相当する電源は電源ロスの小さな定電圧電源で11Vで供給されています。一方、マイナス電源もおごられていますね。

マイナス電源はDCDCコンバーターで-11Vを生成しているようです。これで±11Vの高い供給電圧を使ってヘッドホンアンプの電源を形成しています。電圧に余裕があると高いインピーダンスのヘッドホンでも余裕でドライブできます。

HD660Sは150Ωで比較的インピーダンスが高いヘッドホンですが計算すると1.8Wくらいは出せるかもという感じです。壊れるくらいのパワーが供給できるのでHD660Sは余裕でドライブできそうです。

携帯型のDACの欠点ですが電源電圧に制約がある所で通常3V程度で動作していると思いますので供給電圧がとれないぶん出力電力がどうしても200mWとか落ちてしまいます。以前KA3の出力がどれくらい出ているかオシロで確認した時も1.5Vppくらいでしたからドライブ力も差が出てきます。

そもそも目的が違うのでこれは仕方ないと思います。使い方を目的によって使い分けるのが良いかなと思います。KA3は現在、主に寝室の寝ホンのドライブ用として使用しています。

ドングルDACで手持ちのFiiO KA3とShanling UA2です。

■FiiO K7 DACとノートPCの接続

K7はDAC付きアンプなのでノートPCのUSB-Aコネクタからケーブルを介してK7の背面にあるUSB-Bコネクタに接続します。接続ケーブルは付属しています。ただし、USB-AからUSB-Bのみなのでその他の機器と接続する場合は別途ケーブルが必要です。

K7の出力は4.4mmバランス ×1系統と6.35mmシングルエンド ×1系統がありますので、バランス接続でHD660Sを繋いで聴いて見ることにします。

■早速音出し

さあ、音出ししてみます。ドキドキ。毎日数時間鳴らして経過を見てみます。その為、インプレッションはある程度エージングした後の音になります。


K7の電源を入れたところです。ボリューム周りにライトが点灯します。今時な感じでカッコいいです。ボリュームを左下から右に回すとカチッといって電源が入ります。これは昔の電源スイッチ付きのボリューム仕様じゃないですか。

今時な感じと昔の感じがミックスされて面白いです。こういう面白いオーディオ機器はもっとトライしてほしいと思います。国内のオーディオメーカーではこういう仕様は通らないだろうなー。

■音のファーストインプレッションは?

K7の音のインプレッションですがKA3に比較して立ち上がりが良くて切れがあり、一つ一つの音が明瞭に聞こえてきます。KA3は割とふわっとした鳴り方で良く言えばウォーム、悪く言えば物足りない感じでした。その為、くつろいで寝室で寝ながら聴くのに適していると思います。

K7はそれに対して音が明瞭なので引いている演奏の雰囲気や音の強弱が良く分かります。全体的にピントが合った画質の良い写真のようです。K7は電源回路がDACやアンプごとに独立していて定電圧化されています。その効果かな。パターンは複雑になりますし、GND周りもどう配線するか悩ましいと思いますが電圧が一定になるので音的には安定するのではないかと思います。

また、音量を上げていくときのリニアリティーも予想通り良い感じです。ボリュームを上げただけそのまま音が大きくなっていきます。ここは予想通りで良かったです。低音も以前聴いて見たカーオーディオアンプのharman kardon CA215ほどの低音は出ないのですがぐっと低い所から出る感じです。

上を見ればきりがないかもしれませんが良い意味でここまでなってくれたのは良かったと思いました。

■据え置き型のメリットとは?

K7ですが据え置き型の良さである電源電圧が高く取れるメリットがあることから音に余裕が出てHD660Sのようなインピーダンスが150Ω位あるヘッドホンでも十分ドライブ出来そうだと分かりました。

結論から言うと32Ωくらいのイヤホンを聴いているのでしたらUSB DACのような携帯に直接差して音楽を聴くようなときはそれほど気にしなくてよいと思いますがヘッドホンのような少し鳴らしにくい機器の場合は据え置き型のパワーの取れるDACがおすすめだと思いました。

ただ、据え置きなので持ち運びできないですよね。この辺は使い分ける必要がありそうです。デスクトップPCをやりたいのであればK7のような小型でアンプもおごっているDACは良い選択肢になると思います。

左側がFiiO K7 Desk Top DAC、右側は関係ないのですがharman kardon CA215 カーオーディオアンプです。
iPhoneのlightning端子からK7のUSB-Bインプットにケーブルを接続して聴いて見ます。lightning端子からUSB-B接続するケーブルはK7に付属していませんので別途購入する必要があります。

所で携帯に接続して気が付いたのですがK7のボリュームのインジケーターが青色から黄色に変化しました。
K7のインジケーターの色はサンプリング周波数のようで24bit 96KHzの音源で携帯で接続するときは24bit 96KHzで再生されるようです。ノートPCの時はインジケーターが青色で同じ音源でも24bit 48KHz表示になります。これは仕様でしょうか。

携帯の再生となると音源の上流の方の音質をよくするにはどうしたら良いか?という課題が見えてくるのですが今回はK7のレビューですのでK7中心にお話ししたいと思います。

FiiO K7のフロントパネルです。左がインプットの切り替えボタンでUSB⇒OPT⇒COAX⇒LINEと変わります。ここはプッシュ式ですがとなりのGAIN切り替えスイッチはトグル型でハイゲインが上側ローゲインが下側に押して切り替えます。全部タクトスイッチのような押しボタンじゃないのが面白いです。

■ゲイン切り替えスイッチについて

それからハイローを切り替えるスイッチがありますがこれはヘッドホンなどの相性でノイズが気になる場合は切り替えて使用するようです。HD660Sで聴いたときはどちらのポジションでもノイズが気になるようなことはありませんでした。

ノイズは皆無という感じでSN感も良いです。最近のオーディオ機器はSNが非常に良くなっているので以前のようなサーというようなノイズが気になったりすることが無くなりました。ここは技術の大きな進歩を感じます。

■シングルエンド出力とバランス出力の音質は?

右上のPOと書いてあるのが6.35mmシングルエンド 出力でその下側が4.4mmバランス出力になります。HD660Sをバランス接続で聴いて見ましたがシングルエンドでも聴いて見ることにします。K7のシングルエンドですがパワーは下がるのですがバランス接続のような音の分離の良さを感じます。

出来のいいシングルアンプはバランス接続に引けを取らないかもしれないと思いました。バランス接続はシングルの2回路でバランス用の反転アンプが追加になりますので出力は大きくなるのですが回路的には複雑になります。シンプルイズベストという場合もあるのでバランスアンプが必ずしも良いとは限らないと思います。

今回の試聴ですが宇多田ヒカルのBEST OF 宇多田ヒカルを聴いてレビューしています。宇多田ヒカルのボーカルはいいですねー。そっと語りかけるようなバラードとか美しいピアノソロとか音的にも聞かせどころが多いです。HD660Sですがその後、後継機のHD660S2が登場しましたので少し安くなるかなぁ。

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さて、大体の雰囲気がつかめてきましたので他のヘッドホンでも聞き比べしてみたいと思います。sennheiser のHD555で同じように聴いて見たいと思います。

左がsennheiser HD660S、右がHD555です。

■ヘッドホンで聴いて見る

HD555は660Sに比べてコスト的には低いのですが楽しめるという意味ではHD660S以上かなと思っています。全部が楽しめるという訳ではないのですが凄く良いところがあるんですよね。コストが安いからと言って音的にダメかというとそうではなくて一長一短がある所がオーディオの面白い所です。

HD555は古い機種で2004年頃の発売ですから18年も前のモデルになります。HD660Sはレンジがワイドで低い所から高い所までフラットに聞こえます。それと比較するとHD555はワイドレンジではないです。低音が出ないですね。これはハウジングの問題のようで完全に耳に密着しているわけではないので低音が漏れる様です。

低音が漏れると低いところが出てこなくなるので仕様というか頭にフィットしていないのかなと思います。ここは難しいのですが余りにフィットさせるため側圧を強くすると低音は出るかもしれませんが付けごごちが窮屈になります。HD660Sは側圧が強めなのでHD555の方が長時間の試聴は楽ちんなんですよね。それから、高音も出ているのですが差しさわりが無い高音で耳触りの良いやさしい感じの音が出ます。

K7との組み合わせで聴いた感じはHD555でもこういう低音が出るんだなぁというところです。音も現代的に聞こえます。レンジが広がって鳴りっぷりも良くなった感じです。長時間聴けると思いますのでリラックスして適当にリスニングするのにはこちらが良いかなと思いました。

■余談 オーディオラックのお話

FiiO K7を中心にデスクトップオーディオを組んでみようと思います。そうなるとオーディオラックでも自作してみようかと思いました。それで購入したのがこちら!集成材の棚板です。厚みが20mmくらいあるので釘で固定しても良いですしネジで固定して取り外せるようにしても良さそうです。

試しに棚板を一枚置いて様子を見ることにします。

棚板表面は軽く塗装がしてあるようです。ネットで購入したのですが中々の質感でよいです。これをどのようにしてオーディオラックにしようかなぁ。棚板一枚でとりあえず構想を練ってみましょう。

『この辺』に何かを置いて見たいですね。オーディオマニアっぽいやつがいいですね!残念ながらフィギュアは持っていません!

さて、自作オーディオラックの完成はもう少し先になりますが、こうやってあーでもない、こーでもないと言って工夫しているときが一番楽しいですね。

■中身を分解してみる!

FiiO K7ですが内部を分解してレビューした記事は検索しても見つからなかったのでもしかしたら世界的にもあまり例がないもしれませんね。いやー中身を見るといろいろ勉強になりますね。分解できるかなぁ。ムフフフ・・・。

FiiO K7ですが分解してみよう!という事でアドバイス頂いた底板のゴム足を外してみました。

manotch

『ここのゴム足とるね。ここに本体筐体の基板が取り出せる隠しネジがあるはずなんだ』

K7『そこはダメです。禁則事項です』

manotch『精密ドライバーでとりゃー!!取れた!』

manotch『・・・』

はい、残念!どうみてもただのゴム足です。本当にありがとうございました。

さて、次の日。気を取り直してFiiO K7分解の続編です!パネルのネジを外して見ます。(要・専用ドライバー)

manotch 『ここのネジとるね。パネルが少し動くからいけそう』

K7『そこはダメです。禁則事項です』

manotch『精密ドライバーでとりゃー!!取れた!』

K7『はい、ここまでです!』

ネジを取り外す前のリアパネルです。ネジは3種類あるので注意。専用の精密ドライバーが必要です。

やっとリアパネルが取れました。ネジも壊さずにとれたので一安心です。ネジは小さいのにかなりきつく締めてありましたのでドライバーがぴったり合わないとバカになってしまいますのでかなりの注意が必要です。こういった分解は保証が受けられなくなりますし、機器が壊れる可能性もあるのでくれぐれも自己責任という事でお願いします。

オーディオ人柱という事でちょっとリスクがあったのですが思い切ってネジを取ってみます。ヒートガンでとれるのではないかというフォロワーさんのご指摘もありましたがネジを取ってパネルを押していくとわずかに動く箇所がありました。

それでこれは接着ではなく単に勘合が良すぎてパネルが接着しているように見えるだけと分かりました。パネルの成型精度が高いですねー。外注かもしれませんが。中国メーカーはアップルなどに向けた高度な加工技術や加工機を提供しているベンダーがあると思いますのでレベルの高い加工機を入手できる環境があるのかもしれません。その為、設備的にはいいんでしょうね。


あと、グローバルに売っているので台数が出ているかもしれません。そのため質の高い加工をこれほどのリーズナブルな価格で実現してるのかなと思いました。

左側がRCAジャック端子です。右側はCOAXIAL端子です。

■リアパネルを取り外した写真

さて、リアパネルを外して見て最初に目についたのが写真の基板の端面から突き出ている金メッキのスプリングコンタクトプローブ端子です。写真では4本見えていますがこれは基板のGNDとリアパネルのGNDを接続するための機構のようです。面白いです。

据え置きのオーディオ機器ではあまり見かけない機構ですがリア側から基板をスライドして取り出すためこのようなピンコンタクト機構にしたのでしょうね。オーディオ帯域だけであればここまでGNDを取らなくても良さそうに思いますがこれだけGNDをとっているのはデジタルノイズに配慮したものかもしれません。この辺はノイズ対策のエンジニアとかに理由を聞いて見たいです。

オーディオ的にはGNDをピンであちこちコンタクトするのは妙な経路に電流が流れたりすることでおかしな音になる可能性があると思いますがどうなんでしょう。試しにGNDをピンコンタクト出来ないようにフィルムなどで絶縁することで音的に変化があるか見てみても面白いかもしれないです。・・・とここまで書いておいて気が付いたのですがこのリアパネル、他にGNDとる箇所が無いんですよね。そうか、だからピンコンタクトでGNDを取るしかなかったんですね。(汗)

となると逆にこれくらいのGNDをとるので良いのかなという気もしてきました。うーーん。どうなんだろ。

FiiO K7の分解ですが基板がスライドして取れそうなのですがここでフロントパネル側まで届くロング精密ドライバーが無いと出来なさそうと分かりました。いったん分解はここまでですね。残念。

それでも製造面の高い技術を感じました。

基板裏面側から見てみます。

はんだ付けの箇所ですが光沢がきれいですね。温度が適切にコントロールされて実装されているんでしょう。見た感じですがほぼ均一な感じの光沢のあるはんだ付けです。光沢がきれいだと音が良かった記憶があります。いやーいいですねー。

最近のオーディオ機器のレベルが高くなっているのか、それとも国内メーカーは技術的に置いて行かれているのかソニーさんの同じDACなどオーディオ機器でもどうなっているのか分解してみたいところです。

あと、筐体の形成方法はどうやっているのかなと思っていたのですがどうやら押出成形のように見えます。さすがにFANACのような切削は無いと思いますが・・・(削ると中身がもったいないので)しかし、リアパネルの所は段付きになっているので後加工でスライサーのような切削でざぐっているのでしょうね。芸が細かいです。

こちらはリアパネルです。

リアパネルはフォロワーさんによるとパンチング加工で丸穴、角穴を抜いているようです。きれいに加工できています。裏面にバリもないし見えないところまで手を抜いていないです。文字などのレタリングもきれいですが耐久性はどうかなぁ、これは継続使用しないと分からないですね。淵の方は湾曲に加工されていて一体形成の本体にピッタリ勘合するように取り付けられるようになっています。

・・・と、ここまで良い所が目につきましたが、すぐ故障したら台無しですね。そこは分かりませんので継続して使用して何か問題があったらレビューしたいと思います。

【後日談】その後、8か月間愛用していますが今の所、故障はありません。良かったです。

■イヤホンでの試聴・・・どんな音?

イヤホンの方はどんな感じに聴こえるのか手持ちのイヤホンで聞いたインプレッションです。デスクトップオーディオといっても様々で周りに配慮してあまり大きな音で聞けない方もいますよね!

現在リファレンスで使用しているsennheiser ie100proとie300です。ie100proの方はイヤーピースをフォロワーさんに教えていただいたspinfit W1に付け替えています。W1の良いところはie100proの音色をガラッと変えてくれるところです。

ie100proはフラットでモニター的な鳴り方をするのですがw1に付け替えることで音に柔らかさが出てきますね。それでいて情報量が多く感じるんですがどうしてなんでしょうね。不思議な感覚です。純正イヤーピースより個人的にはこちらの方が好みです。という訳でこちらの組み合わせは現在寝ホンに使用しています。
所有しているドングルDACとの比較になります。左側はFiiO KA3で右側はSHANLING UA2です。
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以前FiiO KA3とかSHANLING UA2のレビューを行いましたが、その時はLightnig DACとの比較だったりして随分とドライブ力に余裕が出てきて楽しめる感じになってきたと記事にしたのですがその時より据え置き型のK7に変更した時どうなるかですね。

先にヘッドホンのsennheiser HD660SとHD555のレビューも行いましたがイヤホンだとどうなるでしょう。イヤホンはヘッドホンより振動板が軽くてインピーダンスも32Ωとドライブはしやすいと思います。

今までドライブ力といっていたのはどれくらい振動板を動かす力があるか?的な話をしましたが振動板を動かすにはまずは十分な電圧がかけれらることが必要です。そこでこれまでオシロでどれくらいの電圧がかけられるか測定してきました。

KA3のようなドングルDACですと3Vくらいの駆動なのでどうしても1.5Vppとかしかかけられないので出力電圧も200mWくらいになります。

音量としては十分位出るかもしれませんがどうしてもアタック音とか切れの良さのような感じが欠けるよ、という場合はこういった据え置き型のパワーが出るアンプが付いたDACは良い選択肢になると思います。

こちらはiPhoneの出力から正弦波の信号を入れてK7の出力電圧が最大どれくらいまで出るか確認しているところです。

1KHzの正弦波信号を入れてボリュームを上げて最大で7.6Vpp出ることを確認しました。KA3に比べて大きいですね。これが音に効いてくるのだと思います。

20KHzの正弦波信号を入力して周波数特性を見てみます。

■周波数特性を見てみる

20KHz以上から信号出力の減衰が始まりますがこの辺はどうなんでしょう。ハイレゾ再生ですともっと再生周波数が高くても良さそうですがここはK7の問題か携帯の仕様なのか良く分かりませんでした。しかし1KHzから20KHzまでは大変フラットな特性であることを確認しました。

こういった数値の特性は音と関係ないとかあるとか議論がありますが、オーディオは人ぞれぞれの楽しみ方があるので一般的には特に気にしなくても良いと思います。私はどうしても機器として正常かどうかとか基本性能はどうかとかは見ておきたいし、スペック通りかとかも気になるので電気特性は確認する派ですね。

電気特性は音に関係するところと音に大きくは関係ない所があると思います。真空管アンプは数値以上の音の鳴り方をする!とか聞いたことがあるかもしれません。それは一般的に測定できるようなオシロやテスターなどでは測定できないパラメーターがあり人間はそこを聞き分けることが出来るからだと考えています。

ie300とonso04バランスケーブルの組み合わせの写真です。ie300ですがie200が出てきたせいか少し安くなっているようですね。
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■チップセットに関する技術の考察

さて、イヤホンの場合ですがドライブ力が高いとどうなるかですがK7で聴いた感じは音の一つづつがクリアになりしっかりしたベースのうねりやドラムのアタック音が出てきたりしますね。ボーカルは生々しいし、聴いていて楽しいです。でもこれはドライブ力が単に高いというよりICチップの出来がいいのではないかとも思いました。

ちょっと調べた感じではTHXのAAAというアンプの技術を使っているそうです。一般的にはオーディオアンプの歪を小さくする方法としてはNFB(ネガティブフィードバック)を使用するのですが音的にはちょっと音が堅苦しくなるような感じがあります。ネガティブフィードバックを書けることで0.001%くらいの低歪は容易に実現できてしまいますが・・。

THXのAAAはフィードフォワードという方法ですがこちらも昔からある技術ですが技術の進歩により実用性が出てきたようです。フィードフォワード方式は試したことがありませんがNFBのように歪を打ち消さない分、良いのかもしれません。

NFBの難しいのは電気的に歪を打ち消すこともありますが、電気信号のフィードバックループを形成するパターンが電磁気的に影響を無くすのが難しい所にあるのかなぁと思っています。電気的なひずみは打ち消して小さくできますし、回路構成でも歪が小さい回路も発表されていますのである程度の低歪は実現できるようになってきたようです。

しかし、電磁界の影響はNFBでは解決できない問題です。当時は3D電磁界シミュレーションもありませんでしたが今ではその辺の解析をしたらもっと音が良くなる可能性があるかもと考えています。THX AAAという技術は低歪をアピールしていますが低歪が必ずしも音質と関係は無いと考えています。

音がいいのはそれ以外の技術もしっかりしているからだと思いますがどうなんでしょうね。THX AAAの歪でこちらの方が凄いなと思ったのはTHD+Nの測定で低歪であることです。Nはノイズを含んだ歪率という事ですが機器から発生するノイズ込みで歪が小さいという事は非常にノイズも小さく仕上がっていることを差します。

それを考えると驚異的なスペックと言えます。まあ、THD+Nも測定の仕方で数値が変わるので正味かどうかわからないですがそれを含めてもです。

■低い周波数の性能

さて、オシロで低い周波数の方もどれくらいまで再生できるか確認して見ることにします。

こちらは非常に低い周波数で5Hzで信号再生してどれくらいの電圧が出るか確認しています。

低い方は5Hzくらいまで低周波を再生できることを確認しました。これは優秀な周波数特性ですね。チップセットがプラスマイナス電源で出力の直流阻止コンデンサを廃止しているため直流に近い所まで再生出来ているのかもしれないと思いました。

直流に近い所なんて殆ど再生音には含まれていないし音に関係ないのでは?と思われるかもしれませんが試しに凄く低い低音をカットするとあれ?風圧のような押し出すような低音が出ない。という感じになります。なので重要なんだと思います。

たかが1個のコンデンサを省くだけで低音の出方まで変わって聞こえます。あ、これはk7チップセットの回路を確認したわけではないので推定です。

■出力電力について(追記)

出力が7.6Vppくらいしか出ていないのでこれでは2W@32Ω出ないなぁーと呟いていたらフォロワーさんにその接続では出力出ないのでは?と言われて気が付いたのですが・・・。シングルエンドの方で測定していました!これではバランス出力はでませんね。

気を取り直してバランス接続に再接続してオシロで測定します。
バランス接続で1KHz 15.4Vpp(無負荷)を確認しました。

まだ、2Wはいかないので何かまだおかしいのか分かりませんがだいぶ出力が出ることが確認できました。据え置き型は電圧が高く取れるのでパワーも出るし設計もしやすいと思います。むしろ携帯のような低電圧で出力を稼ぐ方が難しいかもしれませんね。

■イヤホンの音の総括

イヤホンの場合、ドライブ力が高いとどうなるか?ですがK7で聴いた感じは音の一つづつがクリアになりしっかりしたベースのうねりやドラムのアタック音が出てくる。ボーカルは生々しいし、聴いていて楽しいです。でもこれはドライブ力が単に高いというよりICチップの出来がいいのではと思いました。

■スピーカーで聴いて見よう!

K7はデスクトップ用に開発された据え置き型のオーディオ機器なので楽しめる幅が広いですね。デスクトップにスピーカーを置ける方はぜひ検討して見て下さい。K7自体は小型で場所を取らないのでスピーカーもブックシェルフの小型なタイプと組み合わせればお手軽に良い音が楽しめると思います。

写真のスピーカーはKEFのIQ30です。正面から見た感じはそれなりに小型ですが奥行きがあるんですよね。なので、もう少し奥行きが無いと机においてもかさばらないんですけどね。同軸2WAYで音場は広くフルレンジのような鳴り方をします。

さて、K7ですが最初に言っておかないといけないのはフロントパネルにあるOUTPUTと書かれているトグルスイッチの使い方です。注意しなければならないのがPOのポジションがヘッドホン出力、PRE OUTと書かれているポジションが『ボリューム付きPRE OUT』への出力、LOと書かれているポジションが『ボリュームを経由しないLINE OUT』出力という事です。

私はてっきりLINE OUTの出力しかなくてボリュームを経由するのはヘッドホン出力だけなのかなぁと勝手に思い込んでいたのでスピーカーから音を出して音楽を楽しむ場合はLINE OUTのみと思っていました。

たまたま偶然、使っているのが今メインアンプのharman kardon CA215でカーオーディオ用アンプのためボリュームが無く、ボリュームのみの機能を持った機器が必要なのかなと勘違いしてしまいました。

その為、ボリュームBOXを自作しようという事になったのですが。これは後日談がありますので最後のおまけの所で成り行きをお話しさせて頂こうと思います。

フロントパネルの左側に書いてあるOUT PUTの所にトグルスイッチがあります。パワーアンプにつないでスピーカーを鳴らしたい場合はPRE OUTかLO(LINE OUTの略)側にスイッチを倒す必要があります。

■ボリューム操作と注意点について

パワーアンプにボリュームが付いていればLINE OUT経由でダイレクトに接続してパワーアンプ側のボリュームで音量を調整するのが音的にも良いと思います。どうしても何か経由するのは音的にもデメリットがあると思います。ただ、K7のボリュームで音量調整した方が便利という場合はK7のボリュームで良いでしょうけどK7のボリュームの気になる点は電子式のためか少し音量を上げたときの反応が遅い感じがあります。

わざとディレイをかけているのだと思いますが私は良くやるボリュームの上げ下げで音の出方を見るというやり方がうまくできないので個人的には欠点です。

一方、この電子式の良いところはPRE OUTからLOに切り替えたときにいきなりボリューム経由が無くなるのでパワーアンプの最大出力で鳴ってしまう所ですが、急に大きな音量になるのではなく少しゆっくり大きくなるので気が付けばすぐに音量を下げることでびっくりするような音量で鳴ることを防げます。時々、わたしはこれをやらかしてびっくりしてしまいました。そのうち気を付けるようになりましたが・・・。

ボリュームが無いパワーアンプとの組み合わせでしたら、PRE OUT出力を使うのが良いと思います。LINE OUTから直接パワーアンプに接続し、スピーカーを接続すればシンプルかつコンパクトなシステムで鳴らせます。

KEF IQ30とK7、harman kardon CA215の組み合わせですが据え置き型の安定感がありしっかりした鳴り方をする良さとharman kardon CA215の音に立体感があり力強さのある感じが組み合わさっていいですね。宇多田ヒカルの『君に夢中』を聴いて見ます。ボーカルがぱっと前に出てきて存在感がありますね。

ほかのメーカーを聞いたわけではないので何ともコメントできないのですが個人的に聞いた感じではFiiOのK7も音場の奥行きという点ではそれほどパーッと広がる感じを受けませんでした。これはCA215の方の問題かなぁ。ちょっと分からなかったです。

ただ、一つ一つの音はいいなとおもうんですけどね。明瞭さとSN感の良さが良い感じです。デスクトップオーディオは深夜になるとSN感が良くないとノイズっぽい所が気になるかもしれません。その点、K7は深夜でもノイズも聞こえませんし小音量でも音がぼやけるという感じもなくいいと思いました。K7買って良かったです。!

オーディオ機器で深夜になるとトランスやコイルがジーっとなってがっかりする機器もありますがK7は静かですね。その代わり静かなので電源を切り忘れることが多いです。(笑)

■最後におまけ(ボリュームBOX物語り)

FiiO K7でデスクトップオーディオしてみよう!という事でボリュームコントローラーを作成しようかと思いました。harman kardon CA215はボリュームも何もないのでK7でAmazon musicの排他モードにするといきなりフルパワーで鳴ってしまうので心臓い悪いです。

タカチ工業製の金属ケースにボリュームを配置してみます。これからボリュームの穴やRCA端子の穴をあけていきます。まずは部品を置いて見てデザインを考えます。
こちらは背面のRCA端子周りです。ケースにはフィルムが貼ってあるのでその上から鉛筆で線を引いてしまいます。後でフィルムをはがせば鉛筆の跡も残りません。

さて、このブログを書いている時のBGMは結束バンドです。曲は『カラカラ』。ぼっちちゃんが演奏しているのか分かりませんがノリがいいので筆が進みますね。ボリュームBOXは中の配置はこんな感じです。自作メインの趣味の方、突っ込みどころ満載だと思いますのでご指摘有ればツイッターまでお願いしますね。

フォロワーさんに教えていただいたモガミ3031です。これは細身ですが良いケーブルだと思います。芯線もシールドの網線も良い感じです。しっかり作っている感じがありますね。
イヤー久しぶりにDIYしてみましたが楽しぃーーー!!

デスクトップのメインアンプにボリュームが無いのでボリュームBOXを自作中ですがだんだん出来てきました!何だか色々ミスっていますがまぁそれも自作ならではの楽しさがありますね。

さて、メインアンプのボリュームBOXですが配線の方が出来たので鳴らそうと思います。

突っ込みどころ1・・・ボリュームの部の径が細くすぎてナットが見えている!(ちょっとカッコ悪い) 突っ込みどころ2・・・電源スイッチとして購入したトグルスイッチが中立タイプだった。

突っ込みどころ3・・・RCAケーブルが余分に無かったので鳴らせなかった!

最大の突っ込みどころ・・・あれ?K7ってLINE OUT以外にVRが中継されるPREモードというのがあるのか・・。えっ?つまりボリュームBOX要らない・・。

せっかくできたのになんてこった!シーン。

まぁ、LINE OUTからボリュームBOX通した方が音良いかもしれないし。何か別の用途も考えよう・・・(寝)

■ボリュームBOX物語り #オーディオ擬人化

これまでの経緯・・・FiiO K7のセレクターにPRE OUTがあることを発見。ボリュームBOXは必要が無かった!

『ボリュームBOX』皆聞いてくれ。このままでは使用されないぞ。考えるんだ!

『モガミ3031』私ならまだ4.5M残っているのでリカバリー可能よ。 『部品一同』沈黙・・・。

『トグルスイッチ』俺なんか間違えて買われちゃって中点があるON-OFF-ONのトグルスイッチだぜ。電源スイッチ無理じゃね?

『タカチケース』おいら穴が開いちゃったからなぁ。フィルムをはがされるまでが人生一番輝いていた。

『harman kardon CA215』でも私は嬉しいわ。使い勝手良くなるかしら。

『RCAケーブル』やあ!遅くなってごめん。あれ?どうしたんだい?皆、浮かない顔して。

『ボリュームBOX』僕たち使われないかもしれないんだ。

『RCAケーブル』なるほど、話は分かったけど一度LINEOUT経由で聴いて見ようよ。案外良い音かも。 『RCA端子』RCAケーブルは良いよな。つぶしが効くから。このまま使われなくなったら押入れ行きか・・。
『manotch』何だか騒がしいな。む?部品がしゃべっているのか?
『manotch』何だか騒がしかったけどまさか部品がしゃべるなんてTOY STORYじゃあるまいし。さてと、電源スイッチのケーブルを繋げて完成だ!ん?
『manotch』なんかノイズが乗ってくるなぁ。信号GNDシャーシに落としていないし。RCA端子付近で落とそうかな。後はVRもGNDに落とした方が良さそうだな。うん、意外といいな。アナログVRもダイレクトに音量が上がる感じが分かりやすいし。もう寝よっと。

『ボリュームBOX』皆聞いてくれ。僕たちは部品が集まって一つのチームなんだ。良い音出していこうぜ!

『モガミ3011』そうね。まだまだ私たち改善の余地がありそうです。

『RCAケーブル』トグルスイッチ君も特に突っ込み無かったな。

『トグルスイッチ』最低限の役目は果たせたかな。良かったっす!

『manotch』なんだよ、寝る前に覗いて見たらやっぱりあいつらしゃべってやがったよ。これだからオーディオは面白いね!

ボリュームBOX物語り(完)

今回のレビューはFiiO DESKTOP DAC K7のレビュー(総集編)でした。最後までお読みいただきありがとうございました!

皆!良い音出していこうぜ!!
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By manotch

■自己紹介 manotch まのっち ■職業 以前、オーディオメーカーで回路設計と音質チューニングにたずさわってきました。専門はオーディオ用パワーアンプ、AVアンプ、デジタルアンプ、スイッチング電源など。現在もエンジニアとして仕事をしています。