こんにちは、manotchです。色々謎だらけのネットワークオーディオ。今回は最初に『LANケーブルを流れる信号ってどんな感じ?』っていうのを測定やら実験で確認しておきたいと思います。後々、二重ルーターやVLANの効果を確認する上でも必要な知識になってきます。

■LANの信号をオシロで観測する
では、LANケーブルの信号をコネクタから取り出してオシロで測定してみます。回線スピードが22Mbpsだった頃の波形です。はい、こちら!
アレ?0と1の矩形波のような綺麗な波形では無いですね。ゆがんだり不規則だったりと様々です。この波形、基本の波形になります。この波形にさまざまなノイズが飛び込んだり重畳されたりして汚い波形になっていきます。また、この汚い波形は逆に空間に伝播したり(不要輻射ノイズ)他のオーディオ機器にケーブルを伝って(伝送ノイズ)影響を及ぼしたりします。
さて、手持のオシロですが周波数帯域は50MHzなので正確な波形ではないかもしれません。良くMbpsという回線スピードの単位を聞きますがビット(0と1の情報)パーセコンド(1秒に付き)という事になりますのでbpsを2倍にすると信号の周波数です。つまり回線スピード22Mbpsは周波数で44MHzですね。オシロの周波数帯域が50MHzなので足りていない感じですがまぁ雰囲気は分かると思います。
デジタルの波形をある程度正確に見ようと思ったら周波数の5倍程度の周波数帯域が必要だと聞いた記憶があります。つまりこの場合、220MHzくらいの周波数帯域を持ったオシロが必要そうです。高くて買えない(苦笑)
現在は440Mbpsまで回線スピードが上がりましたのでそうなると880MHzの周波数。到底手持ちのオシロでは観測不可能です。そこでオシロによる波形観測はここまで。
■LANの信号はごちゃ混ぜだった
次にLAN信号を流れるデータを表示してくれる『WireShark』というフリーソフトを使って観測してみましょう。下記は現在の444Mbpsの回線スピードになったときのパケットの様子になります。二重ルーターやVLANなどの対策は行っていません。

このリストの見方ですが左からTime『時間軸』、SORCE『発信元』,Destination『行先』という感じになっています。最初に観た時は驚いたのですが殆どCiscoという機器(おそらく建屋の基幹ルーター)が発信元でBroadcastという信号がダダダダーっと流れていきました。これはLANを流れる信号の全データです。Broadcastは全部の機器に全配信されてそれぞれのIPアドレスに『もしもしー○○さんいますかー?』といった連絡を送るようなイメージのデータですが殆どオーディオと関係ないデータばかりのようでした。
さて、同じ信号を違った角度から見てみます。今度は横軸が『時間軸』、縦軸が『パケットの種類とデータの大きさ』になります。

こうして見てみるとパケット全体のデータ(黒)は常に一定ではなく不規則な大きさで流れているようです。その中でデスクトップPCに向けられているデータ(黄)をフィルタリングしてみると全体に比べて大分少ないようです。差分は先ほどのBroadcastといったオーディオの信号とは関係ないパケットになると思います。
更にデスクトップPCのデータの中にアマゾンミュージックを聴けばアマゾンミュージックのデータが割り込んでくるのですが、こうしてみる限りLAN信号はオーディオ以外の様々なデータがごちゃまぜになった多様なデータと言えそうです。
■二重ルーターのメリット
前回の記事でルーターの役割はどこの機器にどのようなデータを送るか?を決める司令塔のような役割というお話をしました。ネットワークの書籍を読んだ自分なりの解釈でルーターを擬人化してみましょう。間違いがあったらご指摘お願いしますね(汗)
【二重ルーターではない場合(ルーターが一つ)】
『ルーターさん一つ目』もしもしー、このデータは誰に送ればいいですか?ええーい、分からない場合は全配信で全ての機器にデータを送りますよ。(BroadCast)
『オーディオ機器、ネットワーク機器達』うわっ、いっぱい全配信でデータが来た。どれが自分あてのデータになるのかな?あっ、IPアドレスが自分宛てのデータがあった。これだな。見つけ出して自分あてのデータを組みなおしてと。でも、目的のデータに処理する(オーディオの信号を取り出す)のが大変だなぁ。
『ルーターさん一つ目』そうは言っても、オーディオ機器の他にもテレビやゲーム機もあるしリビングのWiFi機器にもデータを送らないといけないし。何も設定しなけりゃそうなるよ。

【二重ルーターの場合(ルーターが二つ)】
そこで二重ルーターの出番です。
二つ目のルーターは一つ目のルーターのLAN出力を二つ目のルーターのWAN入力に接続します。二つ目のルーターのLAN出力はオーディオ機器のみにするとLANのごちゃまぜのデータからオーディオ機器のみのデータに分離するように接続することが出来ます。一例ですが下図のように配線します。

一つ目のルーターは二つ目のルーターのIPアドレスが分かると二つ目のルーターにはオーディオ機器に向けたデータを送るように通信先を割り振ってくれます。(ルーターのルーティング機能)
一つ目のルーターからのブロードキャストやリビングノートPC、リビングTVといったネットワーク機器に送られるLAN信号は二つ目のルーターを通過できなくなるのでピュアオーディオ用の信号は不要な信号が排除されノイズの少ない通信が出来るようになるのが音質が良くなる原理のようです。
一つ目のルーターと二つ目のルーターは別々のネットワークのグループになり互いのネットワーク間で通信できなくなるようです。※この方法をネットワークのセグメントを分けると言うそうです。
『ルーターさん一つ目』ルーター二つ目さんはピュアオーディオ用だね。WiimとPC向けの信号を送りますよ。
『ルーターさん二つ目』それじゃあWiimとPC向けの信号を貰います。WiimさんとPCさんは受けっとって下さいね。
『WiiMさん、PCさん』LAN信号が混ざっていなくなったので分かりやすくなったな。オーディオ用の信号処理も前より大分楽ちんだね。
音質が良くなるもう一つの理由として考えられるのが、推測ですがオーディオ機器のデータ処理の負荷が低くなることもありそうです。経験則ですが一般的に不要な処理が増えるほど回路に流れる不要な電流が多くなって音質は悪化する傾向があったと記憶しています。
例えばリモコン回路だったり、LED点灯回路だったりとかです。まぁ付けなきゃいいんですけどね。付けても音質を良くしようと思ったらそれなりに対策をとる必要があります。その分検討代やらパーツ代などコストアップする事になります。
ただ、この辺のネットワークオーディオの信号処理はやった事がないので因果関係は良く分かりません。この辺、詳しいエンジニアの方に聞いて見たいところです。
さて、二重ルーター後のLAN信号を同じようにデータどりしてみます。ブロードキャストの信号は殆どなくなったように見えます。

残りの信号はPCに入るデータのようですが詳細は良く分かりません。しかし、二重ルーター前のブロードキャストがダダダダーと流れてくる訳の分からない状態が無くなって大分すっきりしたように見えます。
■二重ルーターのデメリット
二重ルーターのメリットはオーディオ観点から見ると効果がありそうでした。逆にデメリットは無いのでしょうか。この辺はネットで検索すると出てきますので参考までに紹介させて頂きます。回線スピードが遅くなったり不安定になることがあるようです。
そのため、何らかの設定を変えるごとに回線スピードを確認するようにしています。私の場合は二重ルーターにしても回線スピードに特に変わりは無いようでした。測定すると大体400~600Mbpsくらいは出ているようです。良かった良かった。
今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。
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