音のファーストインプレッションの次は一部の方のお楽しみ!分解です。蓋を開けて基板を見るとたまらない!というあなた!まぁ、私もそうなんですが(苦笑)勉強になります。
さて、FX-AUDIOさんには分解の許可を頂き、分解の仕方を教えて頂いたので実際にやってみましょう。分解は自己責任ですので注意深く進めていきます。
目次
■慎重にTUBE-05Jのフロントとリアパネルを取り外して分解する
右側の写真がTUBE-05Jのリアパネルです。ねじは四隅のプラスねじを外すとリアパネルがとれるようになります。
フロントパネルについてはボリュームに6角メスねじが付いていますのでそれを外すと六角ナットが締めてありますので、ラジオペンチなどで回してやるとフロントパネルも外れます。下の写真でいうと右下のつまみがボリュームになります。
下の写真がフロントパネルとリアパネルを外したところです。リアのねじはなんとフロントパネルまで長さがある長いものでした。それから1か所フロントパネルと中の基板をつなぐ白色のフレキシブルケーブルがあります。
リアとフロントまでをつなぐねじ(4本)が長かった!
フロントパネルですがNCなどで切削加工しているように見えます。これは芸が細かいですね。上側に白色のコネクターがありますがその下側にあるのが黒いストッパーのようなプラスチックです。写真でいうと下側に引っ張るとケーブルも抜けました。
無事、分解できましたー。ふー。(汗)黒で統一された基板とケースで中身もかっこいいですね。
オペアンプは面実装ではんだ付けされていますのでソケットで抜き差しすることはできず難しいです。ヒートガンとか何か取り外す器具が必要です。他のオペアンプに簡単に交換できないのは残念ですね。ただ、ソケットがあるとその分接点で音が劣化するので直接はんだ付けした方が音は良さそうに思います。
真空管の12AU7は他社製のブランドが出回っていますので差し替えて音変を楽しむのはありかと思います。ただ、自己責任でお願いしますね。
■TUBE-02Jとの設計思想の違いについて
多機能な真空管アンプなのでTUBE-02Jのように1枚基板では収まらなかったようです。TUBE-02Jの以前分解したときの写真は下記になっています。通常1枚基板で収まるように設計したいところですが収まらないときは立ち基板といって垂直にもう一枚基板を立てたりします。それでも収まらないときは2階建てという手もありますが2階建ては組み立てが大変そうだなぁ。
上の写真はTUBE-02Jです。黄色字で部品の名前を記入してみました。
TUBE-05Jをサイドから見た感じです。入力のボリュームの所で上下の基板をコネクタで接続されていました。
こちらは下側の基板の写真です。
4個並んでいる3ピンの半導体は出力をドライブするバッファーアンプのようです。しかし、こうしてみるとTUBE-02Jとは使っている部品も違うし、パターンの配線も別のチームで開発したような印象ですね。単なるモディファイではなく全くの別物といってもよさそうです。
■中身のパーツが良さそうなものを使っている
TUBE-05Jの売りとして中身のパーツを音の良いものを採用しているという事で確認してみます。公式から抜粋してみます。
■高品質部品をふんだんに採用 ドイツWIMA社のフィルムコンデンサ、nichicon社の オーディオ専用コンデンサ「MUSE」シリーズを採用。 音声信号ラインにおいては高音質なMELF抵抗を採用し、 艶やかで鮮度の高い生々しい音像を劣化させることなく 出力する為に、音質を左右する主要な部品に対するコストとこだわりに妥協はありません。 |
以前、300Bなどを使用した真空管パワーアンプや半導体を使用したディスクリートアンプを何台か自作(業務ではなく趣味で)したことがありますが確かにパーツ類で音が変わりますね。しかし、元々のアンプの回路や配線など完成度を高めてからする必要があります。真空管アンプでいうと初段のプリアンプの入出力のカップリングコンデンサとかでしょうか。
4本立っている赤い部品がWIMA社のフィルムコンデンサですね。2個は斜めに配置しています。配線を短くするためでしょうか。
秋葉原で何社かコンデンサを購入して取り替えてみましたことがありますが随分変わった記憶があります。
抵抗も直方体の面実装タイプではなく円筒型のタイプを所々使用していますね。信号系の所かな。面実装抵抗は小型に回路を組めるのでパターンは楽ですが以前の記憶だとリード付の円筒タイプなどの大型抵抗に比べるとちょっと平板な音になる傾向だったと思います。小型にしないといけないし音質も良くないといけないし悩ましい所です。
TUBE-02Jに比べて電解コンデンサの数が減って固体コンデンサに代わっているようです。FX-AUDIOさんのFX-AUDIO- Petit Tankという電源強化アイテムがあって電解コンデンサが使われているのですが上位バージョンにLimited Editionというのがあります。こちらは電解コンデンサではなく固体コンデンサに置き換わっているという事で音を聴いて見ましたが、低音に瞬発力があって高音まで効果を感じることが出来ました。TUBE-02Jとの音の傾向の違いも使われているパーツの違いなどもありそうです。
■TUBE-05Jのドライブ力(最大振幅電圧Vpp)を測定する
分解したパーツを元通りにして組み立てます。今度は電気的特性を確認します。公式からはアナウンスがないのでどれくらいの特性か把握してみます。電気特性は音とは関係ないよ!という方も見えますが私は正常に動作しているかとか基本性能はどうか?とかあるので確認したい派ですね。
FiiO K7のLINE OUTからTUBE-05JのLINE INにRCAケーブルを接続し1KHzの正弦波を入力します。出力をオシロでモニターしながらクリップする電圧を確認します。試験条件は無負荷です。
1KHz、無負荷で24.2Vpp出ていることを確認しました。これはハイインピーダンスのヘッドホンでも十分ドライブできる電圧だと思います。これはTUBE-02J以上(12.72Vpp)ですね。クリップ波形も上下対称できれいです。各回路の電圧設定が正しく設計できていると思いました。実際にハイインピーダンス(250Ω)のヘッドホンであるDT990PROで音量を上げて聴いても音に余裕があり力強い鳴りっぷりだと思いました。
『MR.DT990PRO』私を鳴らすとはやるじゃないか。
■TUBE-05Jの周波数特性を測定する
周波数特性もついでに測定しておきます。1KHzで10Vpp出力する状態にして低い周波数と高い周波数でどれくらいまで再生できるか確認します。iPhone11proから信号発生器のアプリで周波数を振ります。正確な測定ではないので大雑把な数値です。
低い周波数は2Hzまで確認できました。これは優秀ですね。バッファーアンプは直流レベルに近い周波数まで再生できるようです。
次に高い周波数ですが21.4KHzまで再生できることを確認しました。それ以上はレベルが低下しますがアプリ側の問題なのか分からないので一応20KHz程度まで再生していそうということを報告させていただきます。良い測定器ほしいなー。
■その他のゲインなどの特性
先の課題として浮上したゲインが高い?件について測定しておきます。実測で15.3dB(約6倍)ほどでした。アンプなどは10~20dB程度で設計することは一般的ですのでそれほどおかしい値ではないことが分かりました。しかし、昨今の様々なデバイスをヘッドホンで適度な音量で再生するにはある程度幅を広く音量調整できる必要があるように思いました。
その他、電源ON/OFF時のポップノイズですがリレーで制御しているせいかほぼ出ていません。これは良いですねー。TUBE-02Jは少し出ていたのでここは随分改善されています。
『FE83NV2さん』TUBE-02Jの以前レビューした記事をリンクしておきますので興味があったら比較しながら読んでみてくださいね。
FOSTEXのフルレンジスピーカーFE83NV2の擬人化です。一応コーン紙と髪の色が同じでスピーカーと同じ白黒基調なキャラにしています。
『FE83NV2さん』今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。
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