本記事は『オーディオの電源を強化しようpart10~18』の2週目総集編になります。2週目は主にPCオーディオ編になります。

さて、皆さんPCでネットワークオーディオを楽しんでいると思いますが、PCは元々オーディオ向けに作られたものではありません。その為、音質を上げる余地が多く残されていると思います。そこでPCオーディオの問題点は何かを測定と実験で突き止め、音質向上を目指したいと思います。

さあ、レッツ、オーディオ沼!

PCオーディオの方もひと段落。それからFiiO K7のステップアップとしてK9 AKMを新たに導入しました。新戦力加入でオーディオもさらにレベルアップ!こちらのレビューは後ほど記事にしたいと思います。

PCオーディオのリファレンスはFiiO K7 DACアンプとBeyerdynamicsのヘッドホンDT990PROです。

『MR.DT990PRO』BeyerdynamicのヘッドホンDT990PROの擬人化です。自分で伝説のヘッドホンって言っちゃっています。

『MR.DT990PRO』呼んだかね?
『manotch』うん、今回も頼んだよ!

目次

■PCオーディオの構成について

本記事の自作PCの構成です。今年はAIイラストやモンハンでも遊んでみようという事でそれなりのスペックでマシンを組みました。皆さんのPCはどうなんでしょう。

・CPU インテル INTEL CPU Core i5-12400 / 2.5GHz
・MSI マザーボード MAG B760 TOMAHAWK WIFI DDR4 ATX Intel B760 チップセット
・メモリ CFD Standard デスクトップ用 メモリ DDR4 3200 (PC4-25600) 16GB×2枚
・記録媒体 キオクシア KIOXIA 内蔵 SSD 2TB NVMe M.2 Type 2280 PCIe Gen 4.0×4
・電源 オウルテック Seasonic xシリーズ SS660-KM GOLD 80PLUS
・筐体 アンテック ANTEC 25 SOLO2

■発端。猫ミームの投稿。

さて、ブログの更新が遅れている間にもオーディオの方はちょこちょこやっていて記事の方が追い付いていないわけですが最近のXの投稿で個人的に気に入っていたのがこれ。

今話題の猫ミームです。動画編集スキルがありませんので画像で作ってみました。

その後、なんと!フォロワーさんがXに投稿した画像を猫ミームの動画にしてくれました!!面白かったです。本当は自分でこれがやりたかったんですが。感謝ですね。(見たい方はXの投稿を見てね)

作った発端ですがある日、Xのオーディオ界隈がいつものように定期で荒れていたのでとりあえず場でも柔らかくしようということでネタとして投下してみたのですが残念ながらスイッチング電源VSリニア電源の論争は特に起きませんでした。

■電源沼再開。ATX電源でACアダプターの音質を超えよう!

そこで、こうなったら自分で確かめてみようと思ったことなんですね。特にスイッチング電源の方は650WのATX電源を機会があれば実験しようという事で購入していたのでこれをヘッドホンアンプに使って豪快に鳴らしてみようと思ったことが発端になります。

玄人志向 電源 KRPW-BKシリーズ 80PLUS Bronze 650W ATX電源 KRPW-BK650W/85+です。

ATX電源ですがピンキリなので、選択するときはなるべくローコストで入手性が良く、誰でも実験できるようなもので考えています。これでないとダメというものはないです。今回は下記のATX電源を使用しています。

玄人志向
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■オーディオ的な観点から見たATX電源のメリット

ACアダプターとATX電源に共通する良さは『とにかくコスパが良い』です。ACアダプターだと2,000円程度、ATX電源でも8,000円程度も出せばそれなりのパフォーマンスの電源が購入できてしまいます。感覚的なものですがオーディオ機なら外部電源方式ですと3~4万程度で出来たものが内部電源方式にすると5~8万程度に上がりそうです。

なぜか?

理由ですがPC向けに大量に生産しているのでパーツも大量に購入できるので量産単価が下がってきます。そうすると必然的にコスパが良くなります。オーディオ用のスイッチング電源でもやっていることは基本的にPC電源と同じなのですがオーディオの生産台数はPCに比べて恐らく1桁は少ないです。その為、電源にかけられるコストは限られてきます。

ATX電源はなぜACアダプターより音質が良くなる可能性があるのか、また、そうするにはどうすればよいか記事にしていきたいと思います。

では早速、ATX電源とACアダプターを分解して中身を見ながら考察したいと思います。分解写真ははい!こちら!左側が一般的なATX電源、右側が一般的なACアダプターです。

どちらもスイッチング電源で、ATX電源の方が見て明らかに部品がごっついです。トランス、巻き線のコイルなどACアダプターより定格電力が大きい分大型になっていると思います。(そのため単純な比較はフェアーでないかもしれません。)

大きな違いはどこか?

【筐体の材質や構造】

ATX電源は金属でシールドケースになっています。それに対しACアダプターはプラスチック筐体です。スイッチング電源はノイズが結構出るのでノイズの影響を受けにくく、ノイズの輻射が抑えられるATX電源は有利になる可能性があります。それからATX電源の筐体は強度がありますね。がっちりしています。オーディオで剛性や電源などの物量が効くという都市伝説?ですが経験則からいくとある程度は合っていると思います。ぺにゃぺにゃな安価な筐体で苦労した記憶があります。その時は低音出ないし、しっかりした音も出なかったです。

機構屋さんに相談しようにもデザインも変わるし、コストも上がるしでNG。(苦笑)まぁどこかで妥協するしかないです。という訳で余り検証できていない領域です。どうなんでしょう。これは楽しみ!

【回路構成やパターン】

ATX電源ですが使用する部品数が明らかにACアダプターより多いです。こんなに要るんでしょうか?

回路的にみると力率改善回路がおごられているようです。この回路はAC100V系の何十アンペアにもなる突入電流を抑えて正弦波の電流に近くするものですね。電流波形がなだらかになり電源効率が良くなる効果があります。音質的な効果ですがこれは差を見たことがないので分からないです。推測ですがレギュレーション(AC100V系の電源電圧の低下度合い)は良くなりそうです。

どちらかというとATX電源の電流供給能力がACアダプターの27倍(2A⇒54A)に上がっているあたりは直接音に効きそうです。大電流を流すにはパターンも十分太くする必要があります。スイッチング電源は定格電力の高いアンプでも定格電力の低いアンプでも鋭いピーク電流が流れる箇所があるのでこの辺は関係がありそうですね。

■音のファーストインプレッション

接続方法など後で図説しようと思いますが、音のファーストインプレッションは、んっ?結構荒っぽい感じだけどスケール感があって音の出方は中々いいなーです。骨格がしっかりした感じがあります。

スイッチング方式のACアダプターと比較するとこんな感じでした。しかし、スイッチングノイズは多い可能性大なのでフィルターなどの対策が必要かもしれません。じゃースイッチング電源にメリットはないか?というとあるんですね。

個人的な見解ですが一つは同一出力とした場合、トランスの巻き線抵抗がリニア電源のトランスよりずいぶん小さいこと。それでいてパワーが取れる事です。レギュレーション特性のポテンシャルが高いんですよね。音の出方が軽くて楽に出る感じ。

そしてもう一つは出力段の平滑コンデンサがリニアに比べて小容量で済むことです。高周波でスイッチングしているのでリップルが小さくリニア電源の数十分の一の容量で済んでしまいます。小容量のコンデンサが使えるとこちらも中高音からのレスポンスで有利と思っています。デメリットはノイズですね。ここをどう対策するかです。

という訳で音質向上に向けてやってみる価値がありそうです。次に何を準備したらよいのか?結線はどうしたら良いか?そして音を鳴らすまでの手順はどうするのか?を順を追って記事にしていきます。

■オーディオ機器を鳴らすまでに必要なもの

ここでは実験に何が必要かを書いていきます。

【ATX電源】

玄人志向 電源 KRPW-BKシリーズ 80PLUS Bronze 650W ATX電源です。

そうそう、オーディオ機器はATX電源が12Vメインなので12V入力のものに限られます。ATX電源は12V,-12V,5V,3.3V出力があるようですが今回は12V出力を使用します。写真のものはファンが付いていますので少し動作音が気になります。そこで、発熱を確認したうえで筐体のねじを外し蓋を開けてコネクターを外し、ファンを止めています。実験するときは自己責任でお願いします。ファンレスの電源ならいいですね。

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筐体のカバーを外して内部を見るとファンと回路が赤黒のケーブルに白いコネクターでつながっていますのでこれを外せばOKです。オーディオ機器を連続動作させ、温度上昇を確認します。手で触っても熱くない程度なら大丈夫だと思います。くれぐれも電源を切ってから触ってくださいね。感電するかもしれませんので。

それから別に650W必要という訳ではありません。使用するオーディオ機器に対して定格の数倍上回ればまずは使用してよいかと思います。650Wにしたのは別の理由があり、一つは今のPCの電源が650Wなので壊れた時にすぐ代用できるというものです。そしてオーディオ的の観点からだとパーツ類が大電流を流せる設計なので経験則ですが音への効果が期待できるというのもありますね。実験に使用したオーディオ機器はFiiO K7 DACと真空管ヘッドホンアンプXDUOO MT602ですが数W程度の電力なので余裕はありまくりです。

■ATX電源検証ボードの紹介

ATX電源の使いこなしですが外付けの検証用ボードというのがあり接続することで電源をスイッチでONOFF出来るようになります。例えば下記の写真のボードを見つけました。結構便利です。

写真ですが青色の基板には既に部品がはんだ付けされており組み立てるのはねじ止めによるアクリルパネルのみです。下記は商品説明から抜粋したものです。赤色LEDによる電源インジケーターやスライドスイッチは簡単に操作出来ます。なお、お値段のせいかビルドクオリティーは低いです。赤黒のターミナルの取り付けがばらついていました。まぁ、ケーブルを止めるには問題なかったです。

  • ATX電源から各電圧を取り出せます。ON/OFFスイッチ付きですので単体動作が可能です。アクリル保護カバー付き。
  • デジタルアンプやLEDの駆動に安価なATX電源を流用できます。
  • 入力:24ピンATXポート 出力電圧:-12V、12V、5V、3.3V
  • 各出力ポートには5Aヒューズが付いています。
  • 電源インジケータ、電源スイッチ付き
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よく似たコンセプトで下記のケーブルねじ止めタイプの電源取り出しモジュールもありました。こちらは配線をねじ止めするタイプです。どちらでもコネクターを差し込んで電源ONOFF出来るようになります。

組み立てるとこんな感じになります。最初に説明したタイプより小型になります。こちらはUSB端子から5Vを取り出せますね。こちらの方がコンパクトでカッコいいかな。機能的には同じです。しかし、この内容でこのお値段。採算取れているんでしょうか。下記は比較写真です。

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電源取り出しモジュールを使用しなくてもコネクタで取り出す方法もありますがピンとピンを接続したりする必要があります。こちらの方が配線はシンプルになりますが電源がONOFF出来ないので少し面倒です。電源本体のスイッチでONOFFはできますがLEDが点灯するわけでも無いので切り忘れますね。これは余り宜しくない。(苦笑)

写真をのせておきますので興味がある方はコネクタの仕様を調べて接続してみてください。写真の白いコネクタは購入する必要があります。ブログの趣旨としては誰でも簡単に試せるほうが良いと思いますので紹介のみにとどめておきます。

■面白そうな電源ノイズフィルター紹介

電源ノイズフィルターですがACアダプターでもATX電源でも効果があると思います。どちらもスイッチング電源なので恐らく必要かなーと思って準備しました。必ずしも期待した効果があるとは限りません。個人的な見解ですが音変アイテムだと思います。

色々付け替えて好みの音色を探ります。最近、フォロワーさんで電源フィルター基板を自前で起こしている方もいらっしゃいましたのでそういったタイプも検討しても面白いかも。この辺は試したことがない領域です。使用するコンデンサや半田でも音が変わるとか。オーディオの楽しみ方は無限にありますね。

電源の強化とノイズ対策について過去part1~part9までをまとめたものを記事にしていますので興味がある方はご覧ください。長いです。

電源のノイズフィルターで定番アクセサリーのFX-AUDIOさんのPedit Susieとtankです。簡単に付け替えが出来るので試してみるにはちょうどいいですね。まとめて過去にpart1~9の中で記事にしていますので興味がある方はご覧ください。

一方、下記はFX-AUDIOさんの電源アクセサリーに関するレビューにフォーカスした記事になります。

それから、今回は650WクラスのATX電源という事で電源フィルターもなるべく大電流を流せる定格のものを購入してみました。FX-AUDIOは5Aですがこちらは10Aクラスです。流石にコイルやパターンはごつくなっています。この差はどうでるか?楽しみですね。

■COSEL SNR-10-223T紹介

電源メーカーでメジャーなCOSEL社の直流用電源ノイズフィルターですが、これのいい所は分解しやすくケースが簡単に外れることです。そして一枚物の片面プリント基板に部品が実装されていて部品の取り換えもしやすい。これは良いですねー。しかし、アマゾンさんでは売っていないようです。今回、私はモノタロウから購入しました。

裏面から見るとこんな感じです。パターン幅を見ると10Aいけそうです。メンテもしやすくパターン設計も好みですね。写真のGNDのシャーシは強度が高くがっしりしています。これはお勧めできそう。DC入力専用の電源フィルターなのでAC100V系には使用できません。注意してください。回路的には同じようですが、パターン間の距離(沿面距離)が取れていません。

項番 項目 SNR-10-223
入出力形状:コネクタ
1 定格電圧(DC)〔V〕 50
2 定格電流(DC)〔A〕      ※1 10 (ピーク 20)
3 試験電圧(端子 – 取付板間) AC500V(カットオフ電流= 100mA),1 分間,常温 常湿
4 絶縁抵抗(端子 – 取付板間) DC500V 50MW min 常温 常湿
5 直流抵抗〔mW〕 20max
6 使用温度 - 40 ~+ 71C (ディレーティング特性参照)
7 使用湿度 20 ~ 95% RH (結露なし)
8 保存温・湿度 - 40 ~+ 75C,20 ~ 95% RH (結露なし)
9 振動 10 ~ 55Hz,19.6m/s2
(2G),周期 3 分 X,Y,Z 方向各 1 時間
10 衝撃 196.1m/s2
(20G) 11ms X,Y,Z 方向 各 1 回
11 安全規格 UL60950-1,C-UL(CSA60950-1),EN62368-1
12 外形寸法(突起物含まず)/ 質量 52X35X117mm(WXHXD)/ 140g max (オプション:- D,- T,- DT は外形図参照)

■TDK RSEN-2010D紹介

ティーディーケーラムダ TDKラムダ 電源ライン用EMCフィルタ RSEN-2010Dです。こちらはアマゾンでも購入出来ました。

こちらは高級感がありますね。手に持った感じ重いです。COSELの2倍くらいですね。音は良さそうな感じですがどうなんでしょう。

こちらも分解は出来ました。蓋は外せます。しかし基板タイプではなく端子に直接リードを巻き付けていました。そしてコイルやコンデンサは黒色のモールドが施されていました。これで重いのか・・。

改造はしにくい・・・というか出来なさそうです。(汗)今回使用したのは下記の製品になります。他にも定格が異なるタイプがいくつか販売されていますがこれだけどういう訳か安い!お買い得ですね。

TDKラムダ
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電気的特性 TDKカタログより抜粋

定格電流10A
定格電圧 [AC]250V
定格電圧 [DC]250V
耐電圧AC2500V, 60s [line – earth]
絶縁抵抗 (Min.)100MΩ [DC500V, 1min.]
漏洩電流 (Max.)1mA [250V, 60Hz]
直流抵抗 (Max.)40mΩ
コモンモード減衰保証量 (Min.)25dB (0.2MHz~20MHz)
ディファレンシャルモード減衰保証量 (Min.)25dB (0.2MHz~30MHz)

形状と寸法

形状 / 取付DINレール
長さ(L)52mm Nom.
幅(W)98mm Nom.
高さ(H)43.4mm Nom.
質量260g Typ.

■電源ノイズフィルターを分解して並べてみる

さて、ここで電源ノイズフィルターを並べて分解した写真をアップしておきます。

比較してみるとTDKはコイルが大きいですねー。ノイズカットの効果は高そうです。モールドでがっちり固めていますが効果はどうなんでしょうね。これは楽しみ!

『ノンマル=コモンさん』電源ノイズフィルター?私を無くすなど不可能・・・。蹴散らしてくれる!

高周波ノイズの擬人化です。完全になくすことは難しく不滅の存在です。

ATX電源、ATX電源コントローラー、ノイズフィルターなどが準備できたら結線して音を聴いて見ましょう。わくわく。

結線方法ですが、ATX電源に電源コントローラーを接続します。コネクタでガチャっと接続したら念のため電源オンオフのスライドスイッチを動かして12Vが来ているか確認します。電源コントローラーには電源オンを表すLEDのインジケーターが点灯しますので分かりやすいと思います。

写真は電源ノイズフィルターの出力に抵抗負荷を接続しテスターで電圧を確認しています。7W負荷で11.9Vですね。

■ATX電源、その他電源のレギュレーション特性を確認しておく

ここでATX電源やACアダプターの電源、iFiのローノイズACアダプター、AND社リニア電源などのレギュレーション特性を比較しておきます。レギュレーション特性とは電源に負荷電流を流した時にどの程度電源電圧が低下するかをグラフにしたものです。一般的には負荷電流を多く流しても電圧の低下が小さい電源の方が良い性能と考えられます。

こうしてみると、単一バッテリーは電源の低下が大きくレギュレーションが悪いことが分かります。しかし、聴感ではバッテリーは聴き疲れもしないし好きな音色です。その為、一概にレギュレーション特性だけでは音の好みは分からないことが言えます。

次に産業用電源のAND AD-8724Dは非常にレギュレーション特性が良いことが分かります。リニア電源方式ですが出力電圧の低下をモニターしてフィードバックすることで正確な12Vを生成しているようです。電圧が落ちませんね。リニア電源の方はまた後で記事にしたいと思います。

今回のATX電源はレギュレーションは低ノイズACアダプターやFiiO K7純正アダプターとどっこいどっこいの特性です。あれ?それ程特性は良くなかった?

ただ、この辺のレギュレーション特性は実はある程度コントロールする事が出来ます。

ATX電源のいい所は電源のコンデンサやパーツ類に大電流の仕様の部品が使われていることで基礎的な電流供給能力が高いことだと思います。経験則ですが電源や部品の電流供給能力が高いと音の出方が良くなって多少の粗があっても聴けてしまう傾向があることです。いわゆる物量作戦というやつです。
車で例えると分かりやすいと思いますがシャーシがしっかりしているとかエンジンの排気量が大きいとかと例えられます。車としての特性は変わらないかもしれませんが乗り心地が変わるというイメージですね。

■ATX電源から発生するスイッチングノイズを測定してみる

以前、電源の強化とノイズ対策を行ったとき(part1~9参照)ACアダプターから出るスイッチングノイズが影響して音が曇ったりすることを経験しました。

今回も同様にATX電源にノイズフィルターを入れて音への効果を確認していきます。まずはATX電源に7W出力になるようメタルクラッド抵抗を接続してノイズを確認します。552mVppくらいでした。これはACアダプターより大分大きい値です。むう、結構出ていますね。ただし、ピークの出ている時間が短いのでノイズ成分としてはメガヘルツオーダーのようです。これならノイズカットできそうです。

もともとこれらの電源ノイズフィルターはスイッチング電源のラインノイズをカットする目的で作られたものですのでそれなりに効果はあると思います。オーディオ用のスイッチング電源でも基本的に行っていることは同じだと思います。

準備した電源ノイズフィルターを接続してノイズ低減効果を確認してみましょう。

全部スクリーンショットを取るのを忘れましたが下記はCOSEL SNR-10-223Tの出力をオシロで確認しています。これを見る限り、奇麗にノイズ成分はカットされているように見えます。552mV⇒20mV以下になりました。

ノイズの減衰特性はCOSELのサイトに記載されていましたので参考までにリンクを貼っておきます。メガヘルツオーダーで減衰量は-40dB(1/100)程度のようです。まずは必要帯域で十分な減衰量がありそうです。

■ATX電源+電源ノイズフィルター3モデルの音のインプレッション

【FX-AUDIOのPETIT SUSEIとTANK LIMITED】

最初に、ATX電源の出力にFX-AUDIOのPETIT SUSEIとTANK LIMITEDバージョンの組み合わせで聴いて見ます。SUSEIは以前、改造した電解コンデンサの並列を減らしてフィルタを軽くしたバージョンです。この辺は音変アイテムとしてあれこれ改造したり楽しめると思いますよ。

音の方はというとちょっと荒っぽくて聴き疲れする感じが改善し、音楽が聞き取りやすくなる効果があると思いました。面白いのはSUSIEって一般的なACアダプターの時は音が少しやせる傾向があってTANKでそれを補うイメージでしたがATX電源だと余り感じないことです。元の電源の鳴りがいいのでそう感じるかもしれないです。これは勉強になりました。

TANKの効果も低音に瞬発力が出てきますね。一般的なACアダプターに比べると低音に厚みがあって力強いです。ただ、やっぱり低音は少しもこもこ感がありますね。余りに多くの電源のコンデンサを並列にするとそういう傾向があったと記憶しています。なのでこの辺は一長一短と言えそうです。

【COSEL SNR-10-223T】

次に電源メーカーでメジャーなCOSEL社の電源ノイズフィルターです。中身のインプレッションでも言いましたが中々使い勝手が良いです。この電源ノイズフィルターのいい所は出力に270uFの電解コンデンサが付いていることでFX-AUDIOで言う所のTANKの役割も果たしていそうなところです。音はというと3つの電源フィルターの中では一番好きな傾向でした。

ATX電源の鳴りっぷりの良さとノイズフィルターの組み合わせ、そしてTANKのような後段に電解コンデンサなどの追加がなくても音がやせたりせず屈託のない鳴り方です。FX-AUDIOの電源フィルターより構成がシンプルでスケール感が出る所が良いですね。特に後段にTANKのような電解コンデンサの段を入れる必要はないかなと思いました。

これはかなりお勧めできると思います。

ただ、一点問題があったのです。それは筐体のカバーが取り外せるのですがIN/OUTがさかさまに取りつけても問題なくハマることで電源のプラスとマイナスの表示が逆になっても気が付かないことです。

これで一度極性を間違えてケースをはめて結線したので電解コンデンサがパンクしてしまいました。煙が結構出てびっくり。皆さん、気をつけましょう。(苦笑)

ここは電解コンデンサがパンクしたついでに固体コンデンサやフィルムコンデンサなど取り替えて遊んでみると面白いと思います。写真だと茶色いスリーブの電解コンデンサです。

さて、COSELの電源ノイズフィルターですがAmazonでは購入できないようです。私はモノタロウで購入しました。FX-AUDIOのフィルターを試してみて音変アイテムとして面白いと思った方はぜひ試してほしいアイテムだと思います。

【TDK RSEN-2010D】

TDKも電源ノイズフィルターをリリースしていますが今回はAmazonでどういう訳か安価で販売しているのを発見しましたので購入してみました。

重さがあり、高級感があります。これは期待できるかも?と思いましたが・・・。

中身を見る事が出来ました。黒いモールドで含浸しているようです。これで重量感が出るようです。コイルの直径は3モデルの中で最も大型です。

音はというと予想に反して穏やかで静寂感の出る感じです。ノイズフィルターとして優秀な感があります。しかし、穏やかすぎてもう少し鳴りっぷりが良くても良いのではと思いました。こういう音が好みの方も恐らくいるだろうと思います。荒っぽさが取れて落ち着きがあるし音場は奥に広くなったと思います。なんだろう、モールドしている効果かなぁ。モールドすると確かにこういう風に鳴るイメージがあります。こういうのも音変アイテムして面白いですね。

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お次はリニア電源の方です。ここ最近のテーマはスイッチング電源vsリニア電源でしたからね。

元ネタ↓

特に論争は起きませんでしたー。(苦笑)皆さんは『スイッチング電源派』、『リニア電源派』どっちでしょう。まぁ気にしていない方も多いでしょうね。

■リニア電源のメリットとは?

最近はオーディオ機器に限らずスイッチング電源が増えてきています。それはリニア電源より一般的に効率が良かったり、小型、軽量といったメリットがあるからでしょうね。スイッチング電源の進歩はリニア電源に比べると大きいなと感じます。

それではリニア電源はどうなるのかというと、無くなるという訳ではなくスイッチング電源とリニア電源とでお互いのメリットが生きる分野で使われていくのではないかと考えています。

リニア電源のメリットは何と言っても回路的にシンプルなのとスイッチング電源のような高周波ノイズが小さいという事ですね。音的にも聴き疲れしない処は良いと思います。

さて、リニア電源ですがAmazonとか見ても余り見当たりありません。産業用の電源もスイッチング電源が殆どです。時代の流れでしょうか。でも、よーく見るとありました!

メーカーは業務用電源で有名なKIKUSUIとANDというメーカーですね。家にもKIKUSUIの古い電源が1台ありますが中々重宝しています。しかし、菊水は良いのですが結構値段が高いです。ちょっとしたものでも5~8万円程度。AND社は今まで知らなかったのですがローコストなリニア電源を何モデルかリリースしていますね。国内メーカーという事と評価もまあまあでしたので実験用に購入してみました。こちらは同じような仕様で1~2万程度ですね。大分安いです。

奥の電源がKIKUSUIの直流電源、手前がANDの電源です。どちらもリニア方式です。

ANDの電源はデザイン的にはレトロ感があります。菊水のように出力ON/OFFスイッチがないので頻繁にON/OFFするような実験には使いづらいですが、今回のようにオーディオの12V用といった固定電圧の電源に使う分には問題ないです。

【AND AD-8724D製品概要】

ブランドエー・アンド・デイ(A&D)
商品寸法 (長さx幅x高さ)23.5 x 9.5 x 15 cm
商品の重量3.9 キログラム
電流定格2.5 アンペア
メーカーエー・アンド・デイ(A&D)

【スペック】

  • 出力 出力電圧:DC 0~30V
  • 出力 出力電流:DC 0~2.5A
  • 定電圧特性(CV) 入力変動:±(0.05%+2mV)以下(AC100V±10%)
  • 定電圧特性(CV) 負荷変動:±(0.05%+3mV)以下(負荷0~100%変動)
  • 定電圧特性(CV)リップル、ノイズ:±5mVrms以下
  • 定電流特性(CC) 入力変動:±(0.2%+2mA)以下(AC100V±10%)
  • 定電流特性(CC) 負荷変動:±(0.2%+3mA)以下(負荷0~100%変動)
  • 定電流特性(CC) リップル、ノイズ:±3mArms以下
  • 入力電圧:AC 100V±10% (50Hz/60Hz)

中身を見てみます。電源トランスがでかい!一点豪華主義という感じです。何と本体重量3.9Kg。重い!

それから筐体のビルドクオリティーはそれほど良くありません。ケースの取り付けが短いタッピングねじでした。何回か取り外すとバカになりそうです。後、ファンが付いていたのでどうなるかなと思っていたら無負荷でも常時回る設定のようです。ヘッドホンアンプやDACの動作用(3~4W程度)なのでファンの電源はカットしました。ヒートシンクも大型なので触った感じ温度上昇的には使えそうです。

この辺は自己責任でお願いしますね。

AND社のリニア電源はモデルがいくつかあるのですがAD-8724Dは0~30V,0~2.5Aなのでオーディオ用途には使いやすいと思います。後は前述のように定電圧特性が良いので電流が流れても電圧変動が殆どありません。

■リニア電源AD-8724Dの音のインプレッション

さて、音はというとあっさりとしたアルプス天然水といった感じで中々良いです。特に高解像度とか高音質とかといった要素は余りないのです。しかしながら自然で変な癖も無く、長時間聴いていても聴き疲れしないのが良いですね。何と言っても電圧が可変出来て実験にも使える!電圧と電流を常時モニター出来るのもおかしなことが起きていないか目視で確認出来て良いです。値段も安いしこれは良い買い物をしました。結構お勧めできると思います。

エー・アンド・デイ(A&D)
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写真はKIKUSUIの最近のモデルです。最近のモデルはファンを付けて小型化しているようですが旧モデルのようにファンレスも良かったと思います。KIKUSUIは実績がありますし1台欲しい所ですねー。しかし、ちょっと高い。

アニメ、葬送のフリーレン⇒ダンジョン飯⇒ゆるキャンと聴きましたがこのAND社のAD-8724D、リニア電源を暫くリファレンスにしようと思います。他にも良さそうな市販のリニア電源はあるのですが上を狙いたくなったら検討したいと思います。

■リニア電源の使いこなしについて

さて、このリニア電源の使いこなしを考えてみます。スイッチング電源の時に接続していたPetit Tank Limitedを入れたらどうなるでしょう。FiiO DAC K7に接続して聴いてみます。

Tank limitedのコンセプトは電源強化のため容量の大きい固体コンデンサを並列に積んで電流の供給能力を上げようというものです。確かに音は瞬発力が上がって高音の出方もきれいになる感じがあります。これはTank limitedの固体コンデンサの音色が乗ってきているようです。ただちょっと音がソリッドというか硬質な感じもありますね。

最近分かってきたのですが元々の電源の供給能力が高いとこういったブースト系のコンデンサは入れなくてもある程度鳴ってくれるようです。入れないのはそっけない感じですが自然に感じます。音の出方も屈託がありません。私は入れない方が好みでした。iFi社のiPowerローノイズ電源も所有していますが鳴りっぷりはAND社のリニア電源の方がいいですね。iPowerのいい所は高音の質感や立体的な音場の表現かなぁ。まとまりは良いもののこじんまりとしたところが有りますね。

スイッチング電源vsリニア電源ですが、誰でも簡単に音質を良くできそうという点で今回の一連の検討ではリニア電源の方に軍配が上がると思いました。スイッチング電源はATX電源を使う事で鳴りっぷりも良いのですが、ノイズフィルターを入れるなどの工夫が必要かと思いました。その為、誰でも使いこなせるという訳にはいかないように思います。その分、面白さはありますけどね。

■PCオーディオの問題点は何か?

しかし、オーディオの電源ネタですが尽きませんねー。ブログの趣旨としてはオーディオの面白さを伝えていけたらというコンセプトなんです。

それではオーディオの面白さって何か?

一つは自作することにあると思います。自作の良い所はあれこれやって自分の好みの音に近づけられるというものです。これは強い。

しかし、昨今のデジタルオーディオってブラックボックスで中々自作できるような余地がないと思っていました。所がありましたよ。そう、電源関係です!これからお話しするのはPCオーディオの電源強化編になるのですがそれでは時間を少し巻き戻して発端から話していきましょう。

■発端。デジタルオーディオの高周波ノイズが可聴帯に聞こえる!

以前、デジタルオーディオの音質は変わらないは本当か?という記事を投稿したところおかげさまで多くの反響を頂きました。1と0しかないデジタルオーディオでもどういう訳か音質が変わる!変わるわけないという方も多いんですよね。

そこでわざとデジタルオーディオの音質が悪くなるよう配線して誰でも明らかにわかる音質劣化の一例を記事にしました。興味がある方は下記をご覧くださいね。

それでは、そもそもなぜ音質が悪くなるかというと先の一例ではデジタル回路から発生した高周波ノイズが飛んできてヘッドホンアンプの入力側で拾ってそれがノイズとして可聴帯に聞こえるという理屈でした。ジージーとかいうような無機の嫌な高音の音でした。そのため音楽を聴いていて明らかに聞こえない場合でも何となく耳が痛くなったり、音が曇っているなーというときはノイズが問題だったのかもしれません。

そうなると高周波ノイズがどこから飛んできてどのように影響が出ているのか興味がわきますよね!

■PCオーディオのノイズを測定してみる

ここから現在聴いているPCオーディオにフォーカスして何が問題になっているか実験を行う事にしました。PCオーディオではATX電源からスイッチングノイズが出ていますし、CPUやビデオカードなど大電流が流れて負荷が変動するような回路が多く積まれています。

そこでスペアナ(スペクトルアナライザ=ノイズの周波数成分と大きさを見る測定器)を使ってPCオーディオから出ている高周波ノイズを測定しました。

分かった事はCPUやビデオカードなどに電源を供給するケーブルから出る輻射ノイズが極めて大きいことです。まぁ大電流が流れますから言われてみればその通りと言えるかもしれません。単に12Vのラインと言っても直流だけではなくノイズが重畳された汚い電圧波形になっていました。

『ノンマル=コモンさん』高周波ノイズの擬人化です。ノイズ対策するほどミニサイズになって可愛らしくなるとか。

『ノンマル=コモンさん』へっ、変な設定を加えるのやめろー

■PCオーディオのケーブルは音質に配慮していない

輻射ノイズが多いCPU電源ケーブルやビデオカードのケーブルを見ていると気が付くことがありました。それはCPUやビデオカードの性能を出すために必要な仕様ではあるのですが、音質に配慮しているわけではないという事です。

どういうことかというと電流を流せるように何本も平行に配線していますがこれが輻射ノイズ的には宜しくないことです。輻射ノイズが大きくなり、外部からのノイズも拾いやすくなります。また、ループと言って配線がドーナツのような経路で流れるのも宜しくないです。音が妙な感じになったりすることがありますね。違和感があるといいますか・・・。

音が悪くなるのでオーディオではやらないですねー。少なくとも私はやった記憶がありません。

写真はCPUの電源ケーブルです。規格のようなのでどのPCでも同じだと思います。

そのためいくら良い低ノイズなATX電源を積んでも性能を十分発揮しきれていないと考えられます。これは勿体ない。

■『CPU電源ケーブルのリケーブル』という提案

そこで、ATX電源のCPU用のソケット、ピンレセクタプル、電源ケーブルを購入してCPU電源ケーブルを自作することにしました。そうそう、ピンレセクタプルをカシメてケーブルと圧着する工具も必要です。出来上がりはこんな感じです!慣れれば20~30分もあれば1本完成できると思います。興味のある方はぜひ試してみて下さい。

準備するものを書いておきます。必ずしもコレじゃないとダメという訳ではないです。色々試してみましょう。沼の始まりです。

【電源ケーブル】

まずは許容電流に注意する必要があります。CPUの電源ケーブルってどれくらい電流が流れるかというと例えば65WのCPUですと12Vで割って最低5.41A(アンペア)は必要です。元々のCPUの電源ケーブルはAWG18線の4本並列接続でAWG18線が1本16Aなので4本で64Aの許容電流になりますね。

一般的には流れる最大電流の2倍は許容電流が欲しい所です。そうなると私の環境では5.4A×2=10.8Aは必要そうです。AWG、許容電流で検索してみてください。ただ、元々付いているAWG18でも16Aなので1本でもなんとか良さそうです。

後は念のためケーブルを触ってみて温度が熱くなっていないかとか確認しましょう。許容電流が足りていない可能性があります。

今回は写真の2種類のケーブルをDIYしてみたいと思います。ベルデンの方はたまたま手持に有ったので使いました。丁度撚ってあるのでそのまま使えて楽です。こちらはスピーカー用のオーディオケーブルなのですが耐電流もあるし使えそうです。

下記の2種類のケーブルを使ってみました。それぞれ許容電流は41A、22Aです。

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【コネクター】

CPUのコネクターですが、コネクターと専用のレセクタプル(ピン)がありますので購入しました。安価なのでリケーブルで線材まで変えて楽しむ場合は2~3セットくらい持っておいて良いと思います。ピンは余ると思いますがとっておきましょう。

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【カシメ工具】

AWG18のレセクタプルをカシメ出来る工具という事でIWISS社の下記を購入しました。極小・小型端子対応を購入しました。

適応表を載せておきますので適した工具を購入します。圧着の仕方は『圧着端子、圧着方法』などでネットで検索すれば出てきます。

【注意点】

レセクタプルピンの圧着はケーブルの芯線が太いと入りきらないかもしれないのでその場合は先端の所で少し本数を減らして余分な線はカットしてしまいます。その状態でカシメます。抜けないかしっかり引っ張って確かめます。失敗してもピンは余分にありますのでとにかくしっかりカシメます。

写真は芯線しかカシメていません。芯線が太かったので。本来はビニル被覆を少しはさんでカシメます。ちゃんとカシメたい方はネットで見本を検索してみましょう。

レセクタプルピンをカシメたらコネクタに差し込みます。一度差し込むとロックがかかって抜けなくなります。ロックがかかるまで差し込みます。写真で見ると上4列がプラス、下4列がグランドです。

上側の1ピンと下側の1ピンにプラスマイナスを絶対間違えないように注意して差し込んでください。間違えるとATX電源が破損する可能性があります。

例えばプラス側なら上部4か所の差込口どれでも動作するのですが今回は写真のようにグランド側の線と対角に接続しています。これは余り離すとループが広がるので良くなさそうというのと、線と線が当たりそうだったので少し離したという意味合いがあります。ピンアサインは下記のサイトが参考になると思います。

【ケーブルの長さについて】

ケーブルの長さは少し余裕をもって作成した方が良いと思います。後で片側を切って新しいコネクタを取り付ければ短くすることもできます。

【ケーブルの撚り方について】

フォロワーさんによるとケーブルを撚るピッチによっても音が変わるようです。ピッチとケーブルの周波数特性は何らかの相関があると思います。また、テンションをきつく巻くかゆるく巻くかなどの要素もありそうです。以前試した時はテンションは余りきつくない方が音もきつくなくて良かった記憶があります。ピッチは1センチから数センチくらいまでが良さそうに思います。色々試してみましょう。

完成した感じを動画で撮ってみました。

■『ツイスト1ペアリケーブル』音のインプレッション

この方法を『ツイスト1ペアリケーブル』と命名しておきます。
ツイスト2ペアリケーブルもあり得ると思います。1ペアに比べて抵抗値は半分ですがループは増えるので音には一長一短が出ると思います。

さーここまでうまく出来たでしょうか。早速音出ししたい所ですが、配線は十分間違いがないか確認してから電源を入れます。無事PCが起動しても異常がないか少し様子を見ましょう。この辺は自己責任ですよー。

さて、音はというと嫌な感じの音が少なくなったなーというのがファーストインプレッションです。音場の静寂さが増して雰囲気が良くなりました。ボーカルも色気が出て良くなりましたね。これは最近では中々のヒットだと思います。Amazon musicって中々、静寂さや色気、艶といった音が出にくいのかなぁと思っていた時もあったのですがPCにも問題があったことが分かってきました。そして、まだまだ伸びしろがありそうです。これは勉強になりました。

写真や動画のように輻射ノイズが多い環境なのでそれがどうやらマザーボードや他のケーブルにも干渉したり飛び込んだりして音を劣化させるようです。ビデオカードやメインのマザーボードのケーブルも未対策ですが適応すれば効果が期待できそうです。

CPUの電源ケーブルで音が変わるというのは信号系のケーブルと違って今一イメージが湧きにくいのですが、以前アナログオーディオでやっていたことが使えそうなことが分かりました。アナログもデジタルも結局やる事は同じような気がしますね。

【おまけ1】

ケーブルは2種類試してみましたがケーブルによる音色の差もあるようです。AWG12のシリコンケーブルは被覆が柔らかく音も柔らかめだと思いました。芯線が凄く細くて何十本と束ねてあるようです。ただ、少しエネルギー感が落ちる感じがしました。おとなしい感じです。

一方、ベルデンのケーブルは情報量が多く芯のある感じの音だと思いました。個人的にはこちらが好みでした。ついでに現行のリニア電源のケーブルもホームセンターのビニルケーブルからベルデンのケーブルに全部変えてみました。音の雰囲気も良くなったと思います。これは試してよかった!色々線材を変えて遊べそうです。

【おまけ2】

ついでにこの際、フロントパネルの使っていないUSBケーブルなどのインターフェイスのケーブルは全てマザーボードから外しました。WIFIの使っていないアンテナも外しました。泣けることに外すほど良くなる感じです。なんだろ、ノイズの影響かな。経験則ですが一般的に動作していない配線でも外すほど音は良くなる傾向があると思います。もっと早く気が付いていればなぁ。まぁ良くなったので結果オーライですね。PC内部配線の方は大分シンプルになりました。

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■使っていない配線ケーブルは基板のコネクタから完全に抜こう

さて、先週からPCオーディオをいじくっていて、結構良かったので続けてビデオカードの補助電源ケーブルもツイスト1ペアリケーブルしてみようと思います。PCオーディオにノイズ対策は結構有効かも。

PC筐体内の配線も随分シンプルになりました。最初は下記の写真でしたが・・・。

下記の写真になりました。使っていないフロントパネルのUSB用配線とか全部抜きました。オーディオの使っていないフロントパネルに接続されていたケーブルも抜きました。ケーブル類が大分なくなりましたよ!シンプルになっています。これ、音も良くなる傾向に思います。後で比較すると何というか、んっ?っていう違和感が減って雰囲気が良くなったという印象です。経験則ですが配線がシンプルだと音が自然な感じになっていくんですよね。

ワイヤリングして音を整えます。線の長さはベストではないと思いますがとりあえずバンドで固定しておきます。

後で片側接続していないケーブルをスペアナでノイズがどれくらい乗っているか見たのですがオープンなのでアンテナになってノイズが盛大に飛んでいるようなんですよね。これは音的に宜しくない。やはり、不要な配線は完全に抜いたほうがいいかもです。フォロワーさんによると、コネクターのピンまでカットする方もいらっしゃるとか。ただ、そこまでするのは後戻りできない対策なのでちょっとやりにくいですよね。

一般的にアンテナの感度は大きさによるところが有るので例えば50センチのケーブルと5mmの長さのピンではノイズを拾う感度が全然異なると思います。個人的な感覚ですが数ミリのピンであればほぼ影響ないかなというイメージです。近接プローブというアンテナの一種のような測定治具を買ったのですが小さいもほどノイズを拾いにくくなります。スペアナについているロッドアンテナは長いのでノイズを良く拾います。

Xにオープンのケーブルの先端付近のノイズを測定した動画をアップしておきました。

■注意。コネクタ許容電流は1pinにつき9A

基本的にはCPUの電源ケーブルと同じで1対のツイスト線に撚って接続するのですがフォロワーさんにアドバイス頂いたので注意書きです。ご指摘ありがとうございます。

【注意書き】

ケーブルの許容電流とコネクタの許容電流に気を付けよう。です。

特にコネクタ部分は許容電流がMolex 5556のコンパチ品という事で仕様を確認すると9Aでしたので目安としてはそれを下回るのが良いと思います。カタログには線径などで変わるという記載もありますが電子部品の許容電流は主に電流を流した時、温度上昇が大丈夫かどうかで決まります。

私は手で温度上昇を感覚的にまぁ大丈夫だろうとか見ていたのですがやはり基本的には仕様に基づくことをお勧めします。

CPUでいうと1本のコネクタに9Aですから12Vだと9×12でTDP108Wですね。それ以下ならまぁツイスト1ペアでいけそうです。私の現行CPUはTDP65Wなので大丈夫そうです。

TDP108W以上のCPUのリケーブルでは2ペアにするとかお勧めしておきます。これならTDPが216Wまでいけそうです。この辺は温度上昇との兼ね合いですが自己責任でお願いしますね。

ループの観点や配線のシンプルさからいくと1ペアが最も良さそうに思いますが、直流抵抗の観点から行くと2ペアだと半分ですので音にも一長一短が出ると思います。この辺はまだやったことがないのでどちらがいいかは分かりません。機会があったら試してみようと思います。

■ビデオカードの補助電源ケーブルをツイスト1ペアリケーブルしてみる

ビデオカードの電源ケーブルですがCPUの電源ケーブルとは互換性はないです。ただ写真で見ると黄色がプラス、黒がマイナスとなっています。注意すべきは黒側は単純にグランドという訳ではなくセンサーと呼ばれる端子があります。ただ、PCI-Eのピン配をみるとセンサー端子をグランドに落とすことでTDP175Wまで行ける仕様のようです。(グラントに落とさないと75Wに落ちるが動作はする)

つまりビデオカードの性能をフルに生かそうと思ったら黒側は全てグランドに接続する必要がありそうです。そこで写真のケーブルをリケーブル用に改造したいと思います。リケーブル用に購入したのはこちらです。

手持のATX電源はPCI-Eケーブルは12PIN⇒(6PIN+2PIN)が2セット並列という仕様ですが1セット分の6PIN+2PINは何も接続する先がありません。そこで下記の写真のように改造してみました。はい、こちら!

凄くシンプルになりました。えっ?これでいいの?というあなた。そうなんです。元々電源なのでプラス12Vとグランドの2本の線があれば動作します。許容電流が許せばこれでも良いと思います。

それでまず、12PINの方ですが左から3列目の黄色と黒色の配線1ペアを残し、後は思い切ってカットしてしまいます。そして6PIN+2PIN側については残った1ペアのケーブルは残し、それ以外の黄色ケーブルは全てカットしてしまいます。それから黒色のグランドのケーブルの所はもう少し詳しく解説すると・・・。

下の写真のように黒色のグランドケーブルが2本つながった状態になっているので一番上部でカットします。

コネクタですが1ペアになっている黒色のケーブルを除いてグランドの4本の黒色ケーブルを全てはんだ付けでショートしてしまいましょう。

完成するとこんな感じになります。

そうそう、何もしないと撚線になっていないので下記の写真のように撚ります。これでツイスト1ペアリケーブル線の完成です。ビデオカードの12PIN電源用コネクタとレセクタプルのキットが見つかっていないので入手可能か調査中ですが今回はこれで良しとします。

ビデオカードの方のTDPは最大175Wなので14.5Aという事で補助電源に半分流れるとすると7.25Aなのでコネクタの許容電流9Aに対してマージンが余りないですが、ギリギリ良さそうかなと思います。手で触った温度上昇の感じは良さそうでした。

ビデオカードの負荷が高くなりそうなモンハンやりながら確認する必要があるかなぁ(汗)ここは2ペアにする必要があるかもしれませんので残課題としておきます。

■ビデオカード電源ケーブルのツイスト1ペアリケーブル、音のインプレッション

先回、CPU電源ケーブルのツイスト1ペアリケーブルの音のインプレッションを記事にしましたがビデオカードの電源ケーブルのリケーブルはどうでしょうか。今回は線材は変えていないので単純に4本平行線から1本のツイストに変更したときの音になります。

1ペアツイストにすると音は何かふくよかで雰囲気が良くなった感じがしますね。耳障りが悪く嫌な感じが減るように思います。これって他のマザーボードの配線もやるともっと良くなるのかなー。

反面、高音の伸びは抑えられるような。少し抑制的な感じがあります。線材のストレスかなぁ。撚った直後なのでストレスがあるかもしれません。暫くエージングして様子を見てみることにしてみましょう。

次の日に聴いた感じでは気になった抑制的な感じが小さくなったと思いましたのでとりあえずふたを閉めてみます。ベルデンのように最初から撚ってあるケーブルの方がストレスに関しては経時変化で落ち着いていると思うのでケーブル類は少し慣らして様子を見た方が良いかもしれないと思いました。

ところでオーディオケーブルが要因となるノイズの問題について SHUREのサイトに解説がありました。これは分かりやすいかも。参考までに載せておきます。

■CPUの電源を別電源にしてATX電源2基にしてみる

さて、グランドのループについてATX電源,CPU,マザーボード,グラフィックカードのグランドがループになっている問題ですが、フォロワーさんからのご指摘の通りCPUなどを独立電源にするという手がありそうです。 ATX電源をCPU用に1台追加し、ループを減らしたブロック図を作成しました。はい、こちら!

ATX電源1とATX電源2があるわけですが、注目すべきはATX電源1台の時にATX電源側のグランドがぐるっと1周ループしていたのがCPUのグランドが独立してループが1つ減っていることです。

グランドの経路がシンプルになるのは音的にも良い効果があるようです。グランドにノイズが乗りにくく、電位が安定する効果がありそうです。

ちょっと絵的にカッコ悪いのですが、実験したときの写真はコレ。PCの上にATX電源をもう1台持ってきています。そこから以前の回でお話ししたATX電源コントローラーを使って上のATX電源をONOFFします。CPUの電源を独立させて動作させるわけですがうまく動作するかなと思っていたら、これであっさり起動できました。

CPUの電源とマザーボードの電源と2つできたわけですがどのようなタイミングでスイッチを入れたらいいかというとシビアなわけではなくマザーボードの電源を入れておいてCPUの電源を入れればよいようです。CPUの電源を入れなければ起動できませんが忘れていて後で電源ONしても私の環境では特に問題なく起動しています。後で配線周りはカッコ悪いので整理してみることにします。(汗)

■CPUの電源に入れたノイズフィルターの効果を確認する

そういえば電源に入れたノイズフィルターの効果をオシロで見ていなかったのでここで確認しておきましょう。

ATX電源のCPU電源ケーブルに入れた電源ノイズフィルターの効果ですが動画ではフィルター端子下側が入力側で上側が出力側です。 ノイズカットの効果はありそうです。しかし、CPUの電力が大きいせいか残留リップルも大きく改善の余地がありますね。

ATX電源は玄人志向製の一般的な電源であり、この波形を見ると電源ノイズフィルターで改善するもののもう少し基本的に低ノイズなATX電源を使用するという手もありえるなーと思いました。オウルテックのSEASONICシリーズが本体に載っていますがこちらの方が明らかに低ノイズです。まぁ、上を見ればきりがないですが。

■CPUの電源を別電源にした音のインプレッション

電源を別電源にした効果ですが、音の出方は良くなって印象は良いです。しかし、予想に反してノイズ感はそれほど良くならないというインプレッションです。ループをシンプルにすると音の出方が良くなって臨場感が増したり解放感などの雰囲気が良くなる事がありますね。私はこちらの方が好みです。大体ループはシンプルな方が好みの場合が多いですね。

別電源方式ですが今回は良さそうな方向に行っていると思いましたが、必ずしもメリットばかりではなく別電源のクオリティーも良くする必要がありそうです。そうじゃないとトータルで音が良くない場合もあり得ると思います。2台目は低ノイズな電源も試したいなぁ。しかし、今手持にないので残課題にしておきましょう。

■ATX電源3機体制ブロック図

残課題ですが、もう一つあります。それじゃーグラフィックカードの電源も別電源にしたらいいんじゃないの?という方もいらっしゃると思いますのでその場合のブロック図も載せておきますね。はい、こちら!

こんな感じでしょうか。グラフィックカードのグランドのループが1つ減って更にシンプルになります。しかし、これって起動できるのでしょうか?詳しい方に聞いて見たいところです。ネットでは別電源を試している方もいるようですがグラフィックカードの別電源をどうやって起動しているか分かりませんでした。案外そのままで動作するかも。ここも残課題ですね。

更にマザーボードの5Vとか3.3Vとかあるんですが、これも別電源にするといいんでしょうか・・・(汗)

■CPU電源ケーブルに流れる最大電流波形を測定していたら被覆が溶けたので要注意

CPUのTDPが65WでしたのでMAXで5.4Aくらいだろうということで計算していましたが念のため電流も測定しておきたいと思います。結論から言うと思ったより大きかったです。理由は電力設計についてですが現在使っているCore i5 12400ベースクロック動作時のProcessor Base Powerが65Wですが、ブースト動作時というのがあり、Maximum Turbo Powerは117Wになる事が分かったからです。Maximum Turbo Powerという項目を見落とししていました。

そうするとMAXで9.75Aくらいになります。約2倍です。測定したらどうも最大で10Aは流れていたのでおかしいと思ったので調べてみるとCPUの周波数がターボがかかっているときは更に電力が増すようです。

これは勉強になりました。

写真は電流を測定するため作成した測定治具です。メタルクラッド抵抗の0.1Ω/100Wをシリーズに入れています。CPUの最大負荷テストの為、ベンチマークソフトを動かしていたら被覆が熱で溶けてしまいました。

うーん、最大負荷テストの時に被覆が溶けたと思われます。最悪ショートしそうなのでやばかった!ATX電源のケーブルはAWG18で1本あたり許容電流16Aとなっていましたがコネクタ部分は1本9Aとなっていましたので抵抗値の高いコネクタの接点あたりが発熱したようです。

動画では縦軸1目盛りが5Aとなっていますのでベンチマークソフトによる最大負荷テストの時、10A程度は流れていそうです。普段の時は5A切っていますね。2Aくらいでしょうか。そうすると通常時の電力は24W程度という事になります。

10Aクラスになるとパワーエレクトロニクスの分野ですね。オーディオで言うとカーオーディオや出力の高いスイッチング電源を積んだアンプあたりが該当しますね。こうなると大電流を扱うことを想定した電源強化やノイズ対策が必要になりそうです。

10Aくらいまでは以前設計したことがありますがそれ以上となるとやったことない領域です。これは面白い。・・・が、何か業務っぽくなってきたなぁ・・・。個人的には趣味の範囲でやりたい所です。(苦笑)

以前、オーディオの電源強化とノイズ対策でpart1からpart9までを1周目最終回としましたが今回はpart18で一旦2週目最終回という事にしようと思います。理由としては頼んでいる部品で足が長いのが入手できていないこととか、FiiO K9 AKMをMyNewGearしたこととかありますね。

FiiO K7を所有していますがそのステップアップとして検討していたDACアンプですがまた機会があったら(分解など出来たら)レビューしたいと思います。これは楽しみ!

■電源強化策の再掲

さて、最終回という事で以前の記事でオーディオの電源強化について書いたので思い出してみます。まぁPCオーディオでも当てはまると思います。

大きく分けてAの電源供給能力アップとBのノイズを減らすがあるのですが今回はBのノイズを減らすにフォーカスしています。電源のケーブル類をツイストしてループを減らす対策についてはEMC対策の基本と言えば基本ですが概ね良い方向に向かったかなと思います。また、おかげさまで結構な反響も頂きました。ありがとうございます。

しかし、ノイズを減らすのはキリがないとも言えます。その辺ですが先行してPCオーディオの高音質化に取り組んでいる方もいらっしゃいましたので参考になりますね。

■ATX電源=必ずしも音が悪いわけではないかも

PCオーディオではATX電源を使うわけですが余りオーディオでは評判が良くありません。

しかし、今回の実験結果を見ていくと必ずしも音が悪いという事はないように思いました。どうも音が良いのと悪いのがあるように思います。悪いのは恐らく出力電力は取れているがノイズやリップルといった特性に配慮していない電源ではないかと推測します。元々オーディオ用途ではないので音質に配慮しているわけはないですよね。

じゃあそういう場合どうするのかというとノイズ対策が必要になると思います。低ノイズな回路にしたり、パターンを工夫したり、ノイズフィルタを入れるといった対策です。

対策を入れることで随分オーディオ的な鳴り方になっていきます。THD+Nといったノイズや歪特性的にもリニア電源と同等にまでもっていくことは出来ると思います。ただ、測定器なしには特性を追い込むことは難しいかもしれません。後は音を良くするためにパーツを選定することも必要かもしれないです。

ATX電源もアレコレ試したわけではありませんが音を良くしていこうと思ったら2つのアプローチが考えられると思います。

【アプローチ1】低ノイズ、低リップルなATX電源の使用

オウルテック社のSEASONICシリーズを分解して中を見ましたがケーブルレスというだけあって配線が殆どありません。不要な配線は全て外す事が出来るので輻射ノイズをまき散らす心配がないです。これはオーディオ的には有利な仕様だと思います。写真は一般的な玄人志向のATX電源とSEASONICシリーズ電源の内部比較ですがケーブルが殆ど無いのが良く分かると思います。

また、写真は同じ650Wの電源ですが同じ出力でもリップルと言って細かい電源変動の大きさの違いが出てきます。分かりやすい例だと平均が同じ650Wでも激しく電圧が変化する電源と変化しない電源があるわけです。

音にも影響があって安定してしっかり音が出るか出ないかといった違いが出てくるようです。そういったわけでATX電源もどれでもいいわけではなく、ある程度低輻射ノイズ、低リップルの電源を選択して使うといったオーディオ向きの電源を選択する必要がありそうです。

最近のATX電源はこれらの低輻射ノイズ、低リップルを謳ったものがリリースされているのでPCオーディオで音質を良くしたいと思ったら検討する価値はあると思います。

■磁性体フィルターは材質の音色が乗るのかも

【アプローチ2】電源ノイズフィルターを使いこなす

電源ノイズフィルターの方は誰でもチャレンジしやすいようにポン置きで使えるような市販のものを使ってみましたが必ずしもこれじゃないといけないわけではないと思います。今後の為にメモ書きですが書いておきたいと思います。

フェライト系のコアを使ったノイズフィルター=必ずしも音が悪いわけではないかも

フェライト系の磁性体はノイズカットの効果は高いものの、確かに音が少し、んっ?というような違和感のある音が乗るときがあるのですがそういう時は使い方にも問題があるように思います。音楽信号が大きく乗ったりする出力の回路や電源などでも大電流が流れる回路に入れると顕著になるように思います。なのでアンプなどの信号系にはフェライト系の磁性体パーツはほぼ使った記憶がありません。あってもフェライトビーズくらいでしょうか。

イメージとしてはVin-Vout/Ton(電流の流れる期間)が大きいような場合です。計算式はうろ覚えですが電流の傾き(⊿I)に相当します。※間違っていたらごめんなさい。こうなると磁性体の非直線性歪の特性が目立ってくるようです。そういった理由で信号の振幅が大きいACラインやスピーカーネットワークが特に影響が出ると予想します。

オーディオ界隈ではファインメットのような磁束飽和密度が高いコアを使ったノイズ対策が音が良いという事で対策している方を見かけるのですがこれはフェライトに比べると磁束が飽和しにくく一般的に非直線性歪が小さいことからきているように思います。

実際フォロワーさんのお勧めで日立のファインメットでフィルターを組んでみたのですが定数的にもカットオフが高いのにもかかわらず、ノイズカットの効果が感じられオーディオ的な音になる感じです。色気とか艶といった音色が感じられました。ノイズカットの方はまだわかるのですがファインメットがオーディオ的な効果があるというのはもう一つ良く分からないですね。磁性体にも磁性カーブの特性があるのでそれが音の個性になるかもしれません。

ファインメットを使った音対策はやったことがなかったのですがこれは勉強になりました。

写真はフィルムコンデンサとファインメットで作成したフィルターのサンプルですが感覚的にこれくらいなら良いかなという適当な定数です。しかし時間の都合でやれなかったです。機会があったら定数も検討してみたいです。写真のようなビーズタイプとリング状のタイプもあります。

試しにLTSPICEだとこんな感じの特性(100KHzくらいのローパスフィルター)になります。コンデンサの容量は実際はマザーボード側にもあるので実際はもっと低い周波数からノイズカット効果が出ると考えられます。

個人的な見解ですが、磁性体を使ったようなLCフィルターより抵抗とコンデンサだけで構成したシンプルなフィルターの方が恐らく音が自然に思います。しかし、今回のような大電流が流れる回路では抵抗の発熱が大きすぎて使えそうにありません。

また、磁性体を使わない空芯コイルのフィルターもよさそうに思います。しかし、こちらもサイズが大きくなりすぎてこれも使えそうにありません。まだまだ改善の余地はありそうです。

■オーディオの電源強化2周目総括

2週目最終回という事でここまでを纏めてみました。

PCオーディオは魔窟ということもお聞きしましたが、それを面白いかと思うかですね。パーツが多いしケーブルも引き回しが多いし、ソフトウエアは内部でなにやっているか分からないしで音を変えるファクターが多いと思いました。特にCPU周りは大電流が流れるため音への影響が大きいように思いました。グラフィックカードの方はもっと電流が流れるので影響はさらに大きそうです。

PCオーディオの電源強化やノイズ対策は比較的コストがかからず音質改善が期待できると思いました。

これは3周目あるかなぁ。それではまた、どこかでお会いしましょう。

今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。

『ノンマル=コモンさん』高周波ノイズの擬人化です。ちょっと小さくなったかな。

『ノンマル=コモンさん』今日はこれくらいで許してやるわね。うぅぅー。

以前記事にしたpart1~part9までの総括はこちらからご覧いただけます。

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By manotch

■自己紹介 manotch まのっち ■職業 以前、オーディオメーカーで回路設計と音質チューニングにたずさわってきました。専門はオーディオ用パワーアンプ、AVアンプ、デジタルアンプ、スイッチング電源など。現在もエンジニアとして仕事をしています。