レビュー総集編を公開しました!分解写真、イラストなど盛りだくさん。⇒こちら https://audiocolumn.com/fiio/1544/

前回はいつもと趣旨を変えてFiiO K7を分解して内部写真を撮りました。それで主に製造技術や構造といった所に焦点を当ててレビューしました。今回はFiiO K7をデスクトップオーディオで使ってみようという事でイヤホンの方はどんな感じに聴こえるのかを中心にレビューしたいと思います。デスクトップオーディオといっても様々で周りに配慮してあまり大きな音で聞けない方もいますよね!

現在リファレンスで使用しているsennheiser ie100proとie300です。ie100proの方はイヤーピースをフォロワーさんに教えていただいたspinfit W1に付け替えています。W1の良いところはie100proの音色をガラッと変えてくれるところです。ie100proはフラットでモニター的な鳴り方をするのですがw1に付け替えることで音に柔らかさが出てきますね。それでいて情報量が多く感じるんですがどうしてなんでしょうね。不思議な感覚です。純正イヤーピースより個人的にはこちらの方が好みです。という訳でこちらの組み合わせは現在寝ホンに使用しています。
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所有しているドングルDACとの比較になります。左側はFiiO KA3で右側はSHANLING UA2です。

以前FiiO KA3とかSHANLING UA2のレビューを行いましたが、その時はLightnig DACとの比較だったりして随分とドライブ力に余裕が出てきて楽しめる感じになってきたと記事にしたのですがその時より据え置き型のK7に変更した時どうなるかですね。先にヘッドホンのsennheiser HD660SとHD555のレビューも行いましたがイヤホンだとどうなるでしょう。イヤホンはヘッドホンより振動板が軽くてインピーダンスも32Ωとドライブはしやすいと思います。

今までドライブ力といっていたのはどれくらい振動板を動かす力があるか?的な話をしましたが振動板を動かすにはまずは十分な電圧がかけれらることが必要です。そこでこれまでオシロでどれくらいの電圧がかけられるか測定してきました。KA3のようなドングルDACですと3Vくらいの駆動なのでどうしても1.5Vppとかしかかけられないので出力電圧も200mWくらいになります。

音量としては十分位出るかもしれませんがどうしてもアタック音とか切れの良さのような感じが欠けるよ、という場合はこういった据え置き型のパワーが出るアンプが付いたDACは良い選択肢になると思います。

こちらはiPhoneの出力から正弦波の信号を入れてK7の出力電圧が最大どれくらいまで出るか確認しているところです。

1KHzの正弦波信号を入れてボリュームを上げて最大で7.6Vpp出ることを確認しました。KA3に比べて大きいですね。これが音に効いてくるのだと思います。

20KHzの正弦波信号を入力して周波数特性を見てみます。

20KHz以上から信号出力の減衰が始まりますがこの辺はどうなんでしょう。ハイレゾ再生ですともっと再生周波数が高くても良さそうですがここはK7の問題か携帯の仕様なのか良く分かりませんでした。しかし1KHzから20KHzまでは大変フラットな特性であることを確認しました。

こういった数値の特性は音と関係ないとかあるとか議論がありますが、オーディオは人ぞれぞれの楽しみ方があるので一般的には特に気にしなくても良いと思います。私はどうしても機器として正常かどうかとか基本性能はどうかとかは見ておきたいし、スペック通りかとかも気になるので電気特性は確認する派ですね。電気特性は音に関係するところと音に大きくは関係ない所があると思います。真空管アンプは数値以上の音の鳴り方をする!とか聞いたことがあるかもしれません。それは一般的に測定できるようなオシロやテスターなどでは測定できないパラメーターがあり人間はそこを聞き分けることが出来るからだと考えています。

ie300とonso04バランスケーブルの組み合わせの写真です。ie300ですがie200が出てきたせいか少し安くなっているようですね。
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さて、イヤホンの場合ですがドライブ力が高いとどうなるかですがK7で聴いた感じは音の一つづつがクリアになりしっかりしたベースのうねりやドラムのアタック音が出てきたりしますね。ボーカルは生々しいし、聴いていて楽しいです。でもこれはドライブ力が単に高いというよりICチップの出来がいいのではないかとも思いました。

ちょっと調べた感じではTHXのAAAというアンプの技術を使っているそうです。一般的にはオーディオアンプの歪を小さくする方法としてはNFB(ネガティブフィードバック)を使用するのですが音的にはちょっと音が堅苦しくなるような感じがあります。ネガティブフィードバックを書けることで0.001%くらいの低歪は容易に実現できてしまいますが・・。

THXのAAAはフィードフォワードという方法ですがこちらも昔からある技術ですが技術の進歩により実用性が出てきたようです。フィードフォワード方式は試したことがありませんがNFBのように歪を打ち消さない分、良いのかもしれません。

NFBの難しいのは電気的に歪を打ち消すこともありますが、電気信号のフィードバックループを形成するパターンが電磁気的に影響を無くすのが難しい所にあるのかなぁと思っています。電気的なひずみは打ち消して小さくできますし、回路構成でも歪が小さい回路も発表されていますのである程度の低歪は実現できるようになってきたようです。

しかし、電磁界の影響はNFBでは解決できない問題です。当時は3D電磁界シミュレーションもありませんでしたが今ではその辺の解析をしたらもっと音が良くなる可能性があるかもと考えています。THX AAAという技術は低歪をアピールしていますが低歪が必ずしも音質と関係は無いと考えています。音がいいのはそれ以外の技術もしっかりしているからだと思いますがどうなんでしょうね。

THX AAAの歪でこちらの方が凄いなと思ったのはTHD+Nの測定で低歪であることです。Nはノイズを含んだ歪率という事ですが機器から発生するノイズ込みで歪が小さいという事は非常にノイズも小さく仕上がっていることを差します。それを考えると驚異的なスペックと言えます。

まあ、THD+Nも測定の仕方で数値が変わるので正味かどうかわからないですがそれを含めてもです。

さて、オシロで低い周波数の方もどれくらいまで再生できるか確認して見ることにします。

こちらは非常に低い周波数で5Hzで信号再生してどれくらいの電圧が出るか確認しています。

低い方は5Hzくらいまで低周波を再生できることを確認しました。これは優秀な周波数特性ですね。チップセットがプラスマイナス電源で出力の直流阻止コンデンサを廃止しているため直流に近い所まで再生出来ているのかもしれないと思いました。

直流に近い所なんて殆ど再生音には含まれていないし音に関係ないのでは?と思われるかもしれませんが試しに凄く低い低音をカットするとあれ?風圧のような押し出すような低音が出ない。という感じになります。なので重要なんだと思います。たかが1個のコンデンサを省くだけで低音の出方まで変わって聞こえます。あ、これはk7チップセットの回路を確認したわけではないので推定です。

おまけ

出力が7.6Vppくらいしか出ていないのでこれでは2W@32Ω出ないなぁーと呟いていたらフォロワーさんにその接続では出力出ないのでは?と言われて気が付いたのですが・・・。シングルエンドの方で測定していました!これではバランス出力はでませんね。

気を取り直してバランス接続に再接続してオシロで測定します。
バランス接続で1KHz 15.4Vpp(無負荷)を確認しました。

まだ、2Wはいかないので何かまだおかしいのか分かりませんがだいぶ出力が出ることが確認できました。据え置き型は電圧が高く取れるのでパワーも出るし設計もしやすいと思います。むしろ携帯のような低電圧で出力を稼ぐ方が難しいかもしれませんね。

■総括

イヤホンの場合、ドライブ力が高いとどうなるか?ですがK7で聴いた感じは音の一つづつがクリアになりしっかりしたベースのうねりやドラムのアタック音が出てくる。ボーカルは生々しいし、聴いていて楽しいです。でもこれはドライブ力が単に高いというよりICチップの出来がいいのではと思いました。

今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました!

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By manotch

■自己紹介 manotch まのっち ■職業 以前、オーディオメーカーで回路設計と音質チューニングにたずさわってきました。専門はオーディオ用パワーアンプ、AVアンプ、デジタルアンプ、スイッチング電源など。現在もエンジニアとして仕事をしています。 開発経験DC~110GHz。