FX-AUDIOさんの真空管ヘッドホンアンプのレビューはこれが2台目になります。以前購入したTUBE02Jは音の鳴りっぷりが良くて良かったです。そんな中、2023年12月に発売されたばかりの新製品となるTUBE-05Jを視聴用に貸し出ししているという事を知りましたので興味があり借用を依頼したところOKを頂きました。なんと!分解の許可まで頂きました。という訳で早速レビューしていきたいと思います。
左は以前購入したTUBE-02Jです。右が今回レビューするTUBE-05Jです。大きさの比較用です。以前TUBE-02Jのレビューを行った記事はこちらになりますので興味がある方はご覧くださいね。
■開梱の儀!
外観などにダメージがあった場合は弁償(買取り)という事で慎重に行っていきます。(汗)
エージングしてくださいという事でしたので2日(計50時間ほど)以上エージングしてからの音のレビューをしたいと思います。通常はファーストインプレッションを書いていますが、今回はエージング後の音になります。
梱包状態です。ロゴが入っていますね。ニョロニョロは音の波形でしょうか。
開梱したところはこんな感じです。本体、真空管、リモコン付きです。電源は別売です。ただし、今回はACアダプターが同梱されていましたのでそれを使用しましょう。
12V3.5Aという事で定格出力は余裕がありそうです。ただ、電源は音質に大きな影響があるので後で取り換えて使いこなしを考えてみたいと思います。
動作させるには同梱されている真空管を表にある白いソケットのピンに方向を合わせて差し込む必要があります。
電源のACアダプターは裏面のDC12Vとなるジャックに接続します。上のRCA端子がLINE IN下がLINE OUTです。
■ギミックてんこ盛り!
今回の新製品はTUBE-02Jに比べると多機能になりギミックてんこ盛りです。これは面白いです。ただし、真空管の交換やオペアンプの交換などはアナウンスがないので自己責任という事ですね。オーディオマニア向けというより、より一般的な方向けに完成度を高めることで部品の交換をしないでも良いという考えなのかもしれません。まぁ、普通はそうですよね。
【外観】
以前のモデルである左写真のTUBE-02Jに比べてフロントパネルの六角ねじが無くなりより洗練されたデザインになっています。そして縦長ですね。今はラックに積まずに横にDACと並べて鳴らしていますので縦長の方が場所を取らなくて良いです。
真空管も12AU7 PSVANE製でブランド品です。球が1個ですが左右のチャンネルが一つに合体した構造のようです。見た目は高級感があってサイズは6J1などに比べると一回り大きくなっています。
フロントパネルはディスプレーがあり表示の輝度の変更もできます。輝度は100%は明るすぎる感じで50%くらいが良い感じでした。一定時間後表示OFFになります。常時ONがあっても良いと思いました。
【ビルドクオリティー】
300Bの真空管アンプを所有していますがPSVAN製の300Bはビルドクオリティーは良かったです。付属の12AU7はピンもきれいで曲がりもなく良さそうです。フロントパネルは厚手の金属製、筐体のカバーも肉厚があるので持つと思ったより重量感があります。マットなざらざらした質感もなかなかいいと思います。今回はデザインに力を入れてきましたね。
【リモコンによる操作】
トグルスイッチもなくなり電源ON/OFFはリモコンかもしくはボリュームで行います。ボリュームは押すことができ、フロントパネルの画面から真空管モードと真空管をパスするモードの切り替えなど各機能を選んで変更することができます。リモコンでも同じ操作ができます。最初はリモコン?使うのかな?と思ったら本体ボリュームをポチポチせずに使えるのが意外に便利。注)単4電池2本要りますが別売です。買わないと使えません。
最初、電源OFFはリモコンからしかできないと勘違いしていました。それって不便ですよね。しかし、もしや?出来るのかな?と思って取説を読んだら電源はボリューム長押し(2秒)で電源OFFに出来ました。皆さん、取説は読みましょうね(苦笑)
と、いう訳でリモコンがなくても本体のボリュームで一通り操作が可能です。無くしても大丈夫!
■製品仕様について
スペックは公式から抜粋です。スペックを見ることでメーカーさんの考え方を垣間見ることができると思います。仕様を確認してみましょう。TUBE-02Jとの相違点で見ていくと電子ボリュームの採用とディスプレー搭載が大きな違いでしょうか。面白いのはパワー半導体の型名を明示していることです。
一方不思議なのは周波数特性や歪率、定格出力などの記載をしていないことです。TUBE-02Jの時もそうですがスペックを重視していないのかもしれません。と、いうのもTUBE-02Jの時、ドライブできる電圧を確認したのですが高インピーダンスのヘッドホンも十分駆動出来そうなレベルだったと記憶しています。その辺はどうなんでしょう。オペアンプもTI社のLM833に変更しています。音への影響がどうなるか興味がありますね。
【製品仕様】
ブランド:FX-AUDIO-
製品型番:TUBE-05J
カラー:ブラック
製品保証期間:お買上げ日より6ヶ月間
入力端子:ステレオRCA端子
出力端子:ステレオRCA端子 *ボリューム連動出力(ヘッドフォン出力と排他利用)
ヘッドフォン出力:[2系統*排他利用]6.3mm TRSステレオフォーンジャック / 3.5mmステレオミニジャック ※4極プラグは動作保証対象外
電子ボリューム IC:日清紡マイクロデバイス NJW1194
ヘッドフォン回路前段オペアンプ:Texas Instruments LM833/TL072
ヘッドフォンアンプ:D882・B772 パワートランジスタ
機能:リモコン操作/真空管動作モード切換/トーンコントロール/MUTE/出力モード切替/ディスプレイ輝度調整/ディスプレイ自動OFF
電源:DC12V / 電源容量2A以上 (ACアダプター別売)
電源コネクター:外径5.5mm 内径2.1mm (センタープラス仕様)
付属品:12AU7(ECC82)真空管1本・リモコン・説明書
サイズ:幅78mm×奥行き123mm×高さ58mm(突起部を除く)
重量:400g
■音のファーストインプレッション
さて、前置きが長くなりましたがエージングも進みましたので音の方もチェックしていきます。真空管アンプは何台か所有していますが音が本調子になるには時間がかかると思います。一つは電源投入時から数分、これは電源が安定するまでの時間かな。
それから本体が温まるまでの時間、これは数十分程度でしょうか。そして、今回のような新品のエージング(数十時間以上)です。何が効いているんでしょうね。
TUBE-02Jと本体を交換して後は電源など同じ条件で聴いて見ます。まずはヘッドホンアンプという事でBeyerdynamic DT990PROを接続しています。
『MR.DT990PRO』伝説のヘッドホンらしいです。自分でパッケージに伝説って書いちゃっています。
『MR.DT990PRO』呼んだかね?
『manotch』そうそう、今日も頼んだよ!
音の方ですが強調された感じがなく、全体的にうっすらと艶のある上品な音だと思いました。TUBEモードがあるのですがONにするとふわっと艶が乗ってきます。元の半導体アンプの素の音にそのまま艶が乗った感じです。12AU7の特長でしょうか。癖がなくノイズも聞き取れないほどで良好です。
TUBE-02Jと比較すると線が少し細く感じますが奇麗な音色です。内部回路の差かなぁ。TUBE-02Jはゆったり目で押し出しの良い感じ。TUBE-05Jは全体的に歪み感が小さく整った音の感じに思いました。ちょっと驚いたのは12AU7を指ではじいてもマイクロフォニックノイズがヘッドホンから聞こえてこないことです。
TUBE-02Jで換装した6J1などは結構マイクロフォニックノイズが鳴るんですけどね。チーンって感じで。これが音の艶になっているのかなと思っていましたが、12AU7は構造がしっかりしているのか全然聞こえません。この辺、艶感が上品でうっすらしている理由なのかもしれません。
それでは後で分解してどの辺に音の秘密があるのかみてみるとしましょう。ムフフフ。
■イヤホンで聴いたときの音量問題について
次に最近購入したSennheiser IE600を接続して聴いて見ます。IE600はボーカル良し、色気、艶あり、低音もしっかりという4拍子(!)揃ったイヤホンでこれは期待できそう!と思ったのですが気になる点が出てきました。ボリュームが0~99レベルで細かく変更出来て便利なのですが0から1に音量を上げたとたん無音から結構大きな音で鳴ります。
音量を絞りたいときもありますのでこれはちょっと改善してほしいと思いました。TUBE-02Jは普通のボリュームなので音量が0まで絞れます。しかもゲイン調整が0と-10dBとあるので小さい音から大きい音まで調整ができます。イヤホンもヘッドホンも音量調整が出来て問題ありません。
試しにAmazon musicを排他モードをoffすると音量が少し小さくなりますが、DACから直で音楽を聴けないのでちょっと勿体ないですよね。なんとかならないかなぁ。
TUBE-05Jは恐らくゲインが高いからでしょうか。ボリュームの調整範囲を増やすとかスイッチなどで-10dBとか音量の可変範囲を広くできると良いと思いました。ただ、イヤホンの感度が低ければ恐らく問題ないと思います。
ヘッドホンの方はイヤホンよりは感度が低いのかもう少し小音量でなりましたのでそこまで気になりません。
■音量問題の対策について
そういう訳で音量問題の対策を考えました。
FiiO K7はLINE OUTの出力が高そうなのでTUBE-05JだけではなくDAC側の使い方の問題ともいえそうです。LINE OUT出力が高いのはメリットもあるので欠点とは言えないのですけどね。
ボリュームで音量調整できるPRE OUTモードがありますのでそちらを使えば小音量からイヤホンを鳴らせるようになります。 その為、DAC側にボリュームがあるタイプであればイヤホンでも良さそうです。これは一つの解決策ですね。
他に携帯にドングルDACのようなK7より出力が小さい機器を接続したときどうなるかも聴いて見ました。
写真はiPhone11proからFiiO KA3 USB DACを経由してTUBE-05JのLINE INに接続しています。
KA3は一般的な出力(1.5Vppくらいだったかな)のドングルDACです。こちらでIE600で聴くと音量は0から1にしても小さな音から始まり先ほどのような少し大きい音で始まることもありませんでした。
もちろんヘッドホンを接続しても問題なかったです。使い方の参考になれば幸いです。
今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。
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