こんにちは。manotchです。いやー、大変興味深い結果となりました。
先日ブログとX上で開催いたしました、「オーディオマニア向けガチ仕様・USBケーブルブラインドAB当てクイズ(全8問)」。
デジタルデータ(0と1)が正常に転送されているにもかかわらず、USBケーブルの物理層(メタル導体 vs 光ファイバー)の違いによって、DACのアナログ出力の音質(キャラクター)が変わるのか、変わらないのか?このオーディオ界隈において常々賑わすホットなテーマに「統計学(数学)」で結論付けるべく、無音の残留ノイズ音源をランダムシャッフルして、ブラインドABクイズをお届けしました。
ケーブルの情報は選択肢①、選択肢②と書かれたWAV音源のみ。もちろん外観も手触りも分からないように伏せてあります。高い安いも一切分かりません。完全なるブラインド状態での音質比較になっています。果たしてこの状態で応募者は選択肢①と選択肢②のケーブルの音質差を聴き分けられているのでしょうか。

今回は、その集計結果と、応募者の方々から寄せられた鋭い超一級の分析、そして測定データから浮かび上がった「数々の興味深い真実」を公開します。応募して頂いた方々には本当に感謝しています!私自身も凄く勉強になりました。
目次
1. 【集計結果】
まずは結論から。
ブログのお問い合わせフォームとXのDMから合計11名の方たちにご参加いただきました。
その結果は……
「11名中、11名全員が8問全問正解(パーフェクト)」!!!!!!!!
主催者である私が一番驚いています。(アレ?簡単だった?)
もし「USBケーブルで音は変わらない。差なんてないから全員勘や思い込み(50%の確率)で答えている」という仮説が正しいとします。その場合、1人が8問全問正解する確率は 1/256(約0.39%)。
【8問版】正解数と判定基準表
- 8問正解(100%): 【合格】驚異的な識別能力(まぐれの確率は約0.4%)
- 7問正解(87.5%): 【合格】科学的な有意差あり(信頼度96.5%・まぐれの確率は約3.1%)
- 6問以下: 勘(当てずっぽう)の範囲内
これだけでも十分な有意差を持ってケーブルの音質差を聴き分けていることが証明されました。
しかし、凄いのはここから。これが11人全員が全問正解だという事。
これが11人連続で起きる確率を数学的に計算すると、こうなります。
【確率:約3,000 𥝱(じょ)分の1】じょ・・・?
もはや「数千億の1兆倍の、そのまた1兆倍分の1という、天文学的な数字」です。
つまり、「オカルトや思い込み、プラセボでたまたま全員が当たった」という可能性は、数学的・科学的に完全に0。
この音源には、「人間の耳で100%確実に識別できる物理的な『差』が存在する」。これは動かぬ事実です。参加いただいた11名の皆様、文句なしのブラインドABクイズ完全合格、おめでとうございます!(誰も応募が無くて嫁にテストを頼まなくて本当に良かったです笑)
■正解はこちら
クイズ:どちらが「耳障りな高音が出ているUSBケーブル」か?
問1:選択肢2
問2:選択肢1
問3:選択肢2
問4:選択肢1
問5:選択肢1
問6:選択肢2
問7:選択肢2
問8:選択肢1
■結果一覧はこちら

ブラインドテストの結果は11人全問正解です!
2. 解答者コメント。聴感とREW解析による物理特性が一致。
全員が満点というだけでも快挙ですが、いただいた感想や分析のレベルが「プロのエンジニアか音楽関係の方なのか?」と思うほどの鋭いコメントも頂きました。余りにも勿体ないので個人情報は伏せた上、いくつかのアプローチに分類してご紹介します。
① ケーブルのアイソレーション構造を指摘した「理論派」の視点
【参加者コメント】
「ノイズ全体が大きすぎてわかりやすすぎます。これはケーブルの線材の差というよりかは、PC-DAC間の電気的絶縁(アイソレーション)の差、GNDループの差なのではと思います。巷のメタルケーブル線材で音質差があるという話とは違うかなと」
【主催者見解】
核心をついています。今回の実験の正体は、導体の材質(銅か銀かなど)の比較ではなく、「メタル導体によるPC-DAC間のGND直結(ノイズのバイパス)」vs「光ファイバーによる電気的絶縁(アイソレーション)」の差を比較するものでした。実はUSBケーブルの音質差が生じる原因は一つだけではないと主催者側では考えています。今回は色々なファクターの差が多いのですが、その内の原因の主要な一つ、主にアイソレーション性能の差による音質差を確認して頂いたことになると思います。
② 絶対音感で周波数を測定「音楽的観点の専門家!?」の視点
【参加者コメント】
「うるさい方は(高いB(シ)の音程)のノイズが聞こえる。ホワイトノイズの音程が高めでレベルも大きい」
【主催者見解】
ノイズの音程で周波数が分かるとは!凄いです。平均律において、4kHzの周波数(今回のノイズのピーク周波数)はまさにピアノの最高音付近の「B7(シ:3951Hz)」に合致するそうです。後述するREWの測定結果とも一致しており、「人間の耳の測定器としての正確さ」を証明していただきました。聴感と物理特性が見事に一致した評価結果です。
③ ノイズの「質感」を言語化した「一流の分析家」の視点
【参加者コメント】
「判断に1秒で十分なほど高音(4KHz)のノイズがうるさい。残留ノイズの低い(光ファイバー)方は、バックグラウンドホワイトノイズが綺麗な滝の音に聞こえます。要するに理想的な右肩下がりの自然な音。ノイズが高い方は騒々しいだけの不自然な作り出されたノイズに感じられます。
【主催者見解】
最新の洗練されたシステム環境での検証、ありがとうございます。「理想的な右肩下がり」という表現は高域に向かってエネルギーが減衰するノイズを「ピンクノイズ(自然界の滝や雨の音)」と呼びますが、光ファイバー側はまさにこのオーディオとして自然なフロアノイズの減衰する様を維持していました。対するメタル側は、PCの内部回路が撒き散らす「人工的な高周波のノイズ」がそのまま流れ込んでいたため、一瞬で「不自然なノイズ」だと判別できたのだと考えられます。
④ 手軽なスマホ環境でも聴き分けが可能だった「モバイル派」の視点
【主催者見解】
今回、数名の方は本格的なオーディオシステムではなく「スマートフォン+イヤホン」という手軽な環境でご参加いただきました。それにもかかわらず全員が満点だったということは、このノイズの差が「数十万円、数百万円のハイエンドシステムでしか見えない微小な世界」ではなく、一般的なオーディオ機器でも判別できるほどの明確な「物理的音質差」であることを裏付けています。
3. 【答え合わせ】REWによるFFT解析グラフ
最後にREWによるFFT解析グラフによる考察です。こちらが今回出題した2つのサンプルの「物理的な特性差」です。答え合わせをしてみましょう。

グラフを見ていただければ一目瞭然ですが、メタルケーブル(GND直結)側には、4kHz〜6kHz付近にかけて、光ファイバー側には存在しない明確な高音のノイズのトゲ(赤丸のスパイク)が何本も立っています。
人間の耳は「等ラウドネス曲線」といわれる、この4kHz付近の周波数を最も敏感に聴き取る特性を持っているそうです。実音圧(dBFS)としては非常に低いフロアであっても、耳の感度が高い帯域に人工的なトゲが集中したため、参加者の皆様は「体感でかなり大きく、耳障りな高音に聴こえた」と考えられますね。
それからフロアノイズにも注目です。光ファイバーの方が5dB程度低く静寂さで上回る結果(緑)となりました。比較するとメタルケーブルの方は全体的にバックのノイズが大きくなることで、ノイズ音の大きさの差として判別できたのだと思います。
4. 【新たな発見と考察】光ファイバー側に潜む「ハムノイズ」
さて、ここからはちょっとディープな考察(裏話)です。
実は、「光ファイバー側」には、メタル側にはない別のノイズが聴こえるように思いました。それは、わずかな「ブーン」という低くうなるようなハムノイズ(青丸)です。REWで見てみると確かに60Hz付近にピークが立っていることが分かります。
なぜ光ファイバー側にハムが乘ったのか?ここからは未解明の領域となります。
今回の光ファイバーUSBケーブルは、内部の光変換チップを駆動するために外部から5Vを供給する必要があります。私はここに、オーディオ用のクリーンな「リニア電源」を使用していました。しかし、そのリニア電源のAC整流リップル、あるいはDACとの間で電源タップを介して形成された新たなアース(GNDループ)により、メタル側とは全く別のルートから、低周波のハムがアナログ段へ侵入している可能性があるかもと後で思いました。光ファイバーといえど完璧では無く、外部電源の質やループの影響、光への変換過程での何らかの悪影響を受ける可能性が残されているようですね。
- PC直結メタル: PC由来の「高周波デジタルスパイクノイズ」が回り込む
- 外部電源光ファイバー: PCからの高周波は切れたが、外部5V電源由来の「低周波ハムノイズ」が滑り込む
5.総括
「デジタルデータ(0と1)が全く同じなら、USBケーブルを変えてもオーディオ機器の音質が変わるわけがない。変わると言うならプラセボ(思い込み)だ」というのは根強い通説です。しかし、今回のブラインドABテストでは11名全員が全問正解するという事実で通説に一つの強力な反証を提示したと考えています。
USBケーブルの物理的な接続アプローチや電源の引き方一つで、DACのアナログ出力ノイズフロアの「形」はこれほどまでに変化する。つまり、今回準備した測定系において「USBケーブルで音質は変わる」のです。
今回の実験は、参加いただいた皆様の素晴らしい耳と、このリニア電源の悪戯によって、これ以上ない形で証明されたのではないでしょうか。
オーディオ世界は、本当に奥が深くて面白いです!
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました!今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の記事の元になったブラインドABテスト応募要項です
USBケーブルに加わるノイズ波形をオシロで確認する実験検証です。ノイズが乘るEMC理論は既知の物理現象です。
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