前回は実際にスピーカーのケーブルを変更して音にどのような変化が出るか聴いて見ました。確かにケーブルによる差はありそうです。オカルトという方が多いですが何か理屈があるような気がします。それからケーブルの音の差が分かるのは誰でもある程度できることではないかと思います。いつも気にして聴いていると耳が鍛えられて良くなるような気がします。それだけのポテンシャルを人間の耳は持っているのではないかと思います。さて、前回ケーブルの何が音質を決めるのか?part3最終回という事で終わりにしようかと思いましたがベルデンさん以外のケーブルも1本くらい聴いて見ようという事でカナレさんの4S8を購入してみることにしました。ここで気が付いたのはケーブルの被覆に施すメッキによっても音が変わるのではないか?という件です。そのため、追加でpart4ということになりました。

結論から言うとベルデンさんのケーブルよりカナレさんの4S8の方が好みの音でした。

到着したカナレ4S8ケーブル5Mです。@370/Mでベルデンさんのケーブルと大体同じような価格帯です。梱包状態ですが真空パックされていました。真空パックすると導体が酸化しにくいので良いと思います。ケーブルをあれこれ購入するときは真空パックしてくれるメーカーさんが良いと思います。
真空パックを取ったところです。ベルデンさんのケーブルに比べて艶消しの黒色に白地の印字があり高級感があります。
白地の印字を拡大してみます。SPEAKER CABLE 4S8 CANARE 2205と記載があります。スピーカーケーブルと記載があるのがなんとなく嬉しいです。オーディオ用っぽくて。
これは被覆を向いているところです。4本の芯線がありますので赤、薄赤を一対として結び、白と透明白をもう一対として結びます。4本の線をこうして結ぶことで外界に出るノイズ成分が小さくなります。それから抵抗を半減する効果も出ると思います。では8本とか増やすのが良いかというと聞いたことが無いので何とも言えないですね。オーディオはシンプルイズベストという法則もあり、全てを満たす解はないからです。
カナレ4S8の被覆を向いたところです。細い銅線が何本も束になっています。しかしベルデンさんのように銀色ではありません。銅のむき出しのようです。ベルデンさんのケーブルが銀色の理由ですが調べたところどうやら錫メッキのようです。錫メッキすることで半田がしやすくなるというのはあるとおもいます。音質的なメリットもあると思いますが、私としては錫メッキの錫が音質に関係しているように思います。また、錫メッキは密着性などをよくするため下地に磁性体であり導体抵抗の高いニッケルなど使う事もあるので逆に音質にとってデメリットになる可能性もあると思いました。

ケーブルの何が音質を決めるのか?の現行版の図ですがこれに導体へのメッキの項目がいるかもしれませんね。

また、カナレさんのケーブルは4芯ということで追記事項の図も2芯以外に4芯、8芯というような芯数の項目も必要かもしれません。シンプルなのに奥が深いと言いましたが複雑で奥が深いものだったようです。いやーわからないことが多いです。(汗)

さて、音質の方ですが音の好みをどう表現するかなのですがベルデンさんのケーブルは割とドライな感じに聞こえるという事でした。ドライは明快で飾り気がないようなニュアンスですが後は質感がちょっともう一つのように思います。情報量もあってちゃんと聞こえているのですがカナレ4S8と比較するとやっぱり気になります。カナレ4S8は情報量もあって耳触りの良い感じがあります。ただ、全部が良いかというとそうでもなくて音がカラッと前に出てこない分おとなしくて勢いという点ではベルデンの方が良い感じがしました。この辺は好みという事になりますね。ただ、今回の比較でまだまだケーブルの音質を決めるのは別の要素も大いにあるという事が分かりました。ベルデンのケーブルとカナレのケーブルの音の差はメッキだけではなくその他の要素、例えば2芯と4芯の違いやケーブルの素材などがあり得ると思います。ケーブルはやっぱり面白いですね。

ケーブル沼は続く。どこまでもー(BGM)

今日はここまでにします。

By manotch

■自己紹介 manotch まのっち ■職業 以前、オーディオメーカーで回路設計と音質チューニングにたずさわってきました。専門はオーディオ用パワーアンプ、AVアンプ、デジタルアンプ、スイッチング電源など。現在もエンジニアとして仕事をしています。