前回はケーブルの音質に関係ありそうなパラメーターについて考察してみました。しかし、実際のケーブルで音を確認してみないと何とも言えないなぁという事でオーディオ用のケーブルを購入して実際に音質に差が出るか聴いて見ることにしました。本日のお題はオーディオ用ケーブルの何が音質を決めるのか?シンプルなのに奥が深い!part3最終回です。今回はベルデンさんのスピーカーケーブル 9497と8460とを聴いて見たところから何が音質を決めるのか考察していきたいと思います。

こちらはどこのホームセンターでも売っているような平行線タイプのケーブルです。以前は太いケーブルで聴いていたのですが引っ越しの際、処分してしまったので現在はこれで聴いています。

ホームセンターで売っている銅線のケーブルですが切り売りしているのでまずはこれを購入してスピーカーに接続して聴いて見ると良いと思います。安価ですし音もそれほど悪くないです。適当でよい場合はこれでも良いと思います。

さて、今回購入したのはベルデンさんというメーカーですがオーディオケーブルのメーカーとしてメジャーなようです。良く名前を聞きますね。ベルデンさんのスピーカーケーブル 9497はamazonさんなどのネットでも購入出来て5メートル2,900円(@580/m)の物を購入しました。これを半分に切ってL,Rそれぞれのチャンネルに接続します。

色が橙と黒なので見た感じのインパクトがあります。通称うみへび、らしいです。

オーディオ用ケーブルというと何が違うのかといってもまずは外観ですがこのケーブルは非常に緊密な感じで線を撚っています。だからといってカチカチという訳ではなく屈曲は結構できるので取り回しで問題が起きることはなさそうです。それからホームセンターのケーブルは銅線なのですが銅線そのものなので銅がむき出しの状態です。ところがベルデンさんのケーブルは銅線なのか分からないのですが色が銀色です。おそらく銅線に何かメッキをしているのかなと思います。銅線にメッキをする理由は銅線が錆びるのを防止するのかもしくは音質的にメリットがあるからなんだろうな、と推測します。
橙色と黒色のケーブルの被覆は結構しっかりしていて固いです。この辺は経時変化で撚り線の状態が変わらないようにするためなのかなと思いました。

音質はホームセンターのケーブルと比較するとくっきりとした感じになって高音の方が目立つ感じです。色気があるとか艶がある感じではなく割とカラッとした音に思います。情報量はかなり増した感じがしますね。例えば割と分かりやすいのですがシンバルのチーンという音が実際はチーーンというように小さい音まで響いていて聞いているとあっ、こっちの方がシンバルっぽいなという感じに音が変わって聞こえます。普段聞きなれた曲でも色々な発見があると思いますよ。以前の経験則ですがテンションが高いケーブルは硬質な音調になった記憶があります。自動巻き線機で巻くトランスなどは音が固くなってあまりよくありませんでした。何が一番良かったかというと試作の手巻きのトランスで音も自然でこりゃ良い音だ!と喜んでいたのですが量産になるとうーん、それほどでもなかったな。という事がありました。その為、自分で撚り線を作成するときはテンションがきつくならないように巻いています。

それからもう一種類、比較のためケーブルを購入して聴いて見ることにしました。こちらもベルデンさんの(BELDEN) 8460になります。ベルデンさんのケーブルで2種類聴いて見ようと思ったのは同じオーディオケーブルなのに何種類かあるのはどうしてなんだろうという素朴な疑問からです。多分、価格相応とか目的の音質を求めたらこちらが良いとか好みもあるでしょうからその辺かなと思います。

ベルデンさんの(BELDEN) 8460ケーブルになります。こちらは白と黒の配色なので一般的といえば一般的ですね。価格はamazonさんで6m@2,280でした。@380/mでこちらの方が安価です。

同じベルデンさんでも線のひねり方が違いますね。ひねりのピッチが9497より広くてひねりもゆるくて巻き線ピッチも適当な感じです。こちらは手でひねっているのでしょうか。良く分かりません。

8460の方も単なる銅線ではなくメッキがかかった線のようです。メッキがある方が良いのでしょうか。

8460の音ですがこちらは9497より明瞭度は低くなる感じですが全体的に音が優しい感じでフラットなバランスに聴こえます。音の差をはっきり聴きたいのなら9497の方が良いと思いました。音楽を楽しみたいのなら8460の方が良いかなと思います。ホームセンターのケーブルは音は悪くないと思いますが少しなんというか良さも余りない感じです。でも、気疲れしないし特に悪いところが目立つわけでもないのでこれはこれでよいかなと思います。オーディオ用のケーブルはそれぞれに特長があって好き嫌いが出ると思います。色々取り換えて楽しむのがオーディオの面白さではないでしょうか。

おまけ

下記の図は前回と前々回のケーブルの何が音質を決めるのか?の図ですがこれを見て皆さんが思ったのはケーブルの音質を決めるパラメーターはこういうのがあるという事が分かったが、じゃあどう変わるの?といった所になると思います。その辺はケーブルをあれこれ取り替えたわけではないのでこうするとこうなるよ!!というコメントはできなかったです。ただ、ケーブルで音質が変わるのはオーディオの奥深さの一つではないかと思います。

また、そもそも人間はなぜその音の差を聞き分けられるか??という謎が残っています。この辺からは推測になってきますがいくつかの可能性があると考えています。機会があったら記事にしたいと思います。お楽しみに。

今日の文面は図の文字が長かったですね。おかげさまで、ケーブルの何が音質を決めるのか?は結構反響をいただきました。最後までお付き合いくださりありがとうございます。

今日はここまでにします。

By manotch

■自己紹介 manotch まのっち ■職業 以前、オーディオメーカーで回路設計と音質チューニングにたずさわってきました。専門はオーディオ用パワーアンプ、AVアンプ、デジタルアンプ、スイッチング電源など。現在もエンジニアとして仕事をしています。