真空管ヘッドホンアンプに接続するAC電源のアダプターから結構なスイッチングノイズが出ていることが分かったのがきっかけで電源強化というテーマで音が良くなるか試して見たいと思います。例えばスイッチングノイズを取ることで澄んだ音になったり、細かな音が聴こえたりとかですね。他には電源の容量アップとかもあります。やりだしたら止まらないほどの面白さです。それでは沼の始まり始まり~。
目次
■オーディオの電源を強化するとどうなるか
あれこれ試した訳ではないですが、オーディオの電源を強化することは音が良くなることと相関があると思います。電源を強化する方法も様々ですが、ここでメモ書きですがイメージを纏めてみました。
はい、こちら!
大まかに分けて、Aの電力供給能力アップとBのノイズを減らすという方向性があるかなと思います。電源供給能力アップは音がパワフルになるイメージです。そしてBのノイズを減らすのは以前では余りなかったのですがスイッチング電源やデジタル回路から発生する高周波ノイズを取ってクリーンな電源にすることを指しているのですがこれも最近では重要な項目なのかなーと思います。広義では飛んでくるノイズをシールドするとかも含まれます。効果としては澄んだ音になったり、聞こえなかった音が聞こえてきたりとかです。
それから、電源強化といっても必ずしもすべてにおいて良くなる方向になるとは限らないです。あちらを立てればこちらが立たないことも。まあ、自分が良いと思う音にするのが一番ですね。そしてお金がかかるのも特長で、パーツを変えたり購入したりしているうちに本体価格以上になったりして結構な出費になることもしばしばです。右側の項では、沼へのご案内・・・とありますが巨大電源沼とか極太ケーブル沼とか色々ありますね。これがきっかけで趣味としてのオーディオ沼に沼ってもらえたら嬉しいですが当方は一切知りませんよ。ムフフフ。
■発端。ACアダプターから出るスイッチングノイズの測定
真空管ヘッドホンアンプのKOAG HA-Sは単三電池×2本駆動なのですが電池を切り忘れるという事でACアダプターから電源供給してみようという事で電池を外してACアダプターから電源を取ってみました。
その時にオシロで電源の波形を見てみることにしました。下記の写真はその時購入したACアダプターの電源波形ですが15KHzくらいにスイッチングノイズが乗っていました。15KHzというと可試聴領域ぎりぎりの所です。別にこの音がヘッドホンから聞こえるわけではないと思います。ただ、オーディオ機器の電源にノイズが含まれた汚い電流が回路に混入する可能性があります。それが音に曇りを与えたりするわけです。
他のACアダプターも確認してみます。
所でどうやってACアダプターから出るスイッチングノイズを測定しているかというと測定ジグを作成しました。ACアダプターから出る端子のプラスとグランド間に負荷を繋ぎます。
12Vの電源を使用するとして20Ω/50Wのメタルクラッド抵抗を負荷として使用してみます。これで0.6A流れて7.2W相当が抵抗で消費されるようになります。メタルクラッド抵抗にする理由は放熱板がついていることで若干は発熱しても温度が下がるだろうという事からです。セメント抵抗などですと放熱しないのでアチチチ・・・ということになりかねません。
本当は色々抵抗値を変えてみてみたいのですがノイズの状態を見てみるためとりあえずこれくらいにしておきます。黒い端子がACアダプターの出力を接続する箇所でそこから抵抗に接続します。7Wくらいなら発熱がありますが測定が終わったらすぐ電源を切れば特に問題なく使用できるレベルです。
他のACアダプターも測定してみます。接続の様子の写真は下記です。メタルクラッド抵抗の両端に電源の出力がつながっていてそれをオシロで波形を観測します。
以前、レビューしたデジタルアンプNobsound社のACアダプターではどうでしょう。
Nobsound社のACアダプターのスイッチング周波数は50KHzと結構高い周波数です。これくらい高ければ可試聴範囲を超えていますので良いかもしれません。しかしスイッチングノイズのレベルは150mVくらい出ています。出ているから駄目という訳ではなく、通常の使用には問題ないレベルでしょうしノイズ規格も通っていると思いますがこれがどれくらい音に効いているかですね。
■スイッチングノイズを取る方法(バッテリー駆動)
スイッチングノイズを取る方法ですが、根本的に対策するならスイッチングしない電源を使用するという方法があります。例えば電池による電源ですね。ただし、電池は充電したり、消耗したら交換するなど少々面倒です。音はというとスイッチングノイズに関しては0になりますからノイズは発生しません。電池は色々聴いて見ると電池系統の音というのがある感じです。SN感は良好で音場には静けさがある感じです。ホールの残響音が良く聴き取れたり、音色がきれいで小さな音まで聞こえたりという良さがあると思いました。しかし、パワーアンプなど電流を食う機器などではパワフルな音は出にくい感じです。ヘッドホンアンプなどはそれほどパワーが要らないからか、電池の電源は合っていると思います。ポタオデに使用される理由も分かります。
写真は真空管ヘッドホンアンプ、KOAG HA-Sです。単一電池×2本を並列にして聴いています。電池交換が面倒ですが聴いて見たくなる音色の美しさがあります。
■スイッチングノイズをフィルターでとれるかシミュレーションする
スイッチングノイズをどうやってとるかですが、ローパスフィルターを入れたらどうなるかちょっと解析してみようと思います。
ローパスフィルタは低周波のみ信号を通して高周波は信号を通さない機能があります。スイッチング電源は人間の音が聞こえない可試聴周波数を超える20KHz以上が多いと思いますのでその成分が減衰できれば良いわけですね。
フィルターにも様々なタイプがあるのですがシンプルなコンデンサ1個と抵抗1個のCRフィルターで試して見ようと思います。トロイダルコイルなどを使用したフィルターはノイズをカットする効果も高いのですが、効果が高い分音に与える影響も大きいので思った通りに鳴らすのが難しくなります。
今は便利なフリーソフトがあるので『LT SPICE』というソフトをインストールしてみてCRフィルターを入れたときの波形をシミュレーションしてみます。LT SPICEは低周波回路シミュレーションソフトとしては代表的なものです。説明書きはインターネットを見れば動画がありますのでとっつきやすいです。
参考にした動画はこちら!
LT SPICEは機能も豊富で操作も使いやすいです。まずはこちらをお勧めします。
写真はLT SPICEの画面です。
右側は回路でオシロで観測した波形の形状(周波数やノイズの電圧)をパルス電源として設定して抵抗とコンデンサのフィルタを通過させたときの信号をモニターしています。
緑色がスイッチングノイズの波形で赤色がフィルターを通過させたときの波形です。だいぶとんがった波形が三角形の波形になってなだらかになっています。R1やC1の値を変更すればもっとなだらかになります。
コンデンサの値を100uFと大きくしたときの波形です。青色が出力の波形です。先ほどの10uFよりさらに波形がなだらかになって平坦(直流)に近くなっています。これくらいであれば効果がありそうです。
CRを使ったフィルターはシンプルなので音も良さそうに思いますが、欠点は抵抗が発熱することです。1A流れたときに1Wですのでどう考えるかですね。実験としては面白いと思いますので部品を手配することにしました。届くのが楽しみ!
今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました!
『CA215さん』今回はオーディオ系サイトっぽかったわね。
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【後日談】それぞれやったことの詳細は、オーディオの電源を強化しようのpart1~part9のいずれかに書きましたのでそれぞれのページを参考にして見て下さい。一応下記にリンクを貼っておきますね。
ACアダプターから発生するスイッチングノイズに気が付いたことから物語がスタートします。
FiiO K7やその他、ACアダプターから発生するスイッチングノイズをオシロで見てみました。また、対策としてシンプルなノイズフィルターを作成して効果を確認しました。まさかのあの人物もヒアリングをしてくれました。
シンプルな電源に入れるノイズフィルターの定数を変更して音の変化を確認しました。また、市販の電源に入れるノイズフィルターも試しています。
市販の電源に入れるノイズフィルターの使いこなしや音のインプレッションなどを書きました。電源沼楽しー。
ノイズが小さいリニア方式のACアダプターを試して見ました。また、スイッチングノイズをAMラジオで受信して音を聴いてみる実験を行いました。(動画あり)
超ローノイズのACアダプターというiFiさんの電源を試して見ました。音のインプレッションや電源ノイズの波形観測など行っています。
電源ラインの強化という事で電源タップをオーディオグレードに変えてみました。音のインプレッションや一般的な電源タップとの比較で内部を分解して構造を比較をしてみました。
究極の低ノイズ電源といえばバッテリーですね。乾電池によるバッテリー電源の音のインプレッションやLANハブからくるスイッチング電源のノイズを取るとどうなったかなど記事にしました。
今までのオーディオの電源を強化してみようpart1~part8までの総括になります。
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