ATX電源の方は電源コントローラーと電源ノイズフィルターを使った使いこなしを記事にしてみました。お次はリニア電源の方です。ここ最近のテーマはスイッチング電源vsリニア電源でしたからね。
元ネタ↓
特に論争は起きませんでしたー。(苦笑)皆さんは『スイッチング電源派』、『リニア電源派』どっちでしょう。まぁ気にしていない方も多いでしょうね。
■リニア電源のメリットとは?
最近はオーディオ機器に限らずスイッチング電源が増えてきています。それはリニア電源より一般的に効率が良かったり、小型、軽量といったメリットがあるからでしょうね。スイッチング電源の進歩はリニア電源に比べると大きいなと感じます。
それではリニア電源はどうなるのかというと、無くなるという訳ではなくスイッチング電源とリニア電源とでお互いのメリットが生きる分野で使われていくのではないかと考えています。
リニア電源のメリットは何と言っても回路的にシンプルなのとスイッチング電源のような高周波ノイズが小さいという事ですね。音的にも聴き疲れしない処は良いと思います。
さて、リニア電源ですがAmazonとか見ても余り見当たりありません。産業用の電源もスイッチング電源が殆どです。時代の流れでしょうか。でも、よーく見るとありました!
メーカーは業務用電源で有名なKIKUSUIとANDというメーカーですね。家にもKIKUSUIの古い電源が1台ありますが中々重宝しています。しかし、菊水は良いのですが結構値段が高いです。ちょっとしたものでも5~8万円程度。AND社は今まで知らなかったのですがローコストなリニア電源を何モデルかリリースしていますね。国内メーカーという事と評価もまあまあでしたので実験用に購入してみました。こちらは同じような仕様で1~2万程度ですね。大分安いです。
奥の電源がKIKUSUIの直流電源、手前がANDの電源です。どちらもリニア方式です。
ANDの電源はデザイン的にはレトロ感があります。菊水のように出力ON/OFFスイッチがないので頻繁にON/OFFするような実験には使いづらいですが、今回のようにオーディオの12V用といった固定電圧の電源に使う分には問題ないです。
【AND AD-8724D製品概要】
ブランド | エー・アンド・デイ(A&D) |
商品寸法 (長さx幅x高さ) | 23.5 x 9.5 x 15 cm |
商品の重量 | 3.9 キログラム |
電流定格 | 2.5 アンペア |
メーカー | エー・アンド・デイ(A&D) |
【スペック】
- 出力 出力電圧:DC 0~30V
- 出力 出力電流:DC 0~2.5A
- 定電圧特性(CV) 入力変動:±(0.05%+2mV)以下(AC100V±10%)
- 定電圧特性(CV) 負荷変動:±(0.05%+3mV)以下(負荷0~100%変動)
- 定電圧特性(CV)リップル、ノイズ:±5mVrms以下
- 定電流特性(CC) 入力変動:±(0.2%+2mA)以下(AC100V±10%)
- 定電流特性(CC) 負荷変動:±(0.2%+3mA)以下(負荷0~100%変動)
- 定電流特性(CC) リップル、ノイズ:±3mArms以下
- 入力電圧:AC 100V±10% (50Hz/60Hz)
中身を見てみます。電源トランスがでかい!一点豪華主義という感じです。何と本体重量3.9Kg。重い!
それから筐体のビルドクオリティーはそれほど良くありません。ケースの取り付けが短いタッピングねじでした。何回か取り外すとバカになりそうです。後、ファンが付いていたのでどうなるかなと思っていたら無負荷でも常時回る設定のようです。ヘッドホンアンプやDACの動作用(3~4W程度)なのでファンの電源はカットしました。ヒートシンクも大型なので触った感じ温度上昇的には使えそうです。
この辺は自己責任でお願いしますね。
AND社のリニア電源はモデルがいくつかあるのですがAD-8724Dは0~30V,0~2.5Aなのでオーディオ用途には使いやすいと思います。後は前述のように定電圧特性が良いので電流が流れても電圧変動が殆どありません。
■リニア電源AD-8724Dの音のインプレッション
さて、音はというとあっさりとしたアルプス天然水といった感じで中々良いです。特に高解像度とか高音質とかといった要素は余りないのです。しかしながら自然で変な癖も無く、長時間聴いていても聴き疲れしないのが良いですね。何と言っても電圧が可変出来て実験にも使える!電圧と電流を常時モニター出来るのもおかしなことが起きていないか目視で確認出来て良いです。値段も安いしこれは良い買い物をしました。結構お勧めできると思います。
写真はKIKUSUIの最近のモデルです。最近のモデルはファンを付けて小型化しているようですが旧モデルのようにファンレスも良かったと思います。KIKUSUIは実績がありますし1台欲しい所ですねー。しかし、ちょっと高い。
アニメ、葬送のフリーレン⇒ダンジョン飯⇒ゆるキャンと聴きましたがこのAND社のAD-8724D、リニア電源を暫くリファレンスにしようと思います。他にも良さそうな市販のリニア電源はあるのですが上を狙いたくなったら検討したいと思います。
■リニア電源の使いこなしについて
さて、このリニア電源の使いこなしを考えてみます。スイッチング電源の時に接続していたPetit Tank Limitedを入れたらどうなるでしょう。FiiO DAC K7に接続して聴いてみます。
Tank limitedのコンセプトは電源強化のため容量の大きい固体コンデンサを並列に積んで電流の供給能力を上げようというものです。確かに音は瞬発力が上がって高音の出方もきれいになる感じがあります。これはTank limitedの固体コンデンサの音色が乗ってきているようです。ただちょっと音がソリッドというか硬質な感じもありますね。
最近分かってきたのですが元々の電源の供給能力が高いとこういったブースト系のコンデンサは入れなくてもある程度鳴ってくれるようです。入れないのはそっけない感じですが自然に感じます。音の出方も屈託がありません。私は入れない方が好みでした。iFi社のiPowerローノイズ電源も所有していますが鳴りっぷりはAND社のリニア電源の方がいいですね。iPowerのいい所は高音の質感や立体的な音場の表現かなぁ。まとまりは良いもののこじんまりとしたところが有りますね。
スイッチング電源vsリニア電源ですが、誰でも簡単に音質を良くできそうという点で今回の一連の検討ではリニア電源の方に軍配が上がると思いました。スイッチング電源はATX電源を使う事で鳴りっぷりも良いのですが、ノイズフィルターを入れるなどの工夫が必要かと思いました。その為、誰でも使いこなせるという訳にはいかないように思います。その分、面白さはありますけどね。
今日はここまでにします。最後までお読みいただきありがとうございました。
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